高次脳機能障害について
更新日:2018年7月12日
お知らせ
はじめに
脳卒中や交通事故、高い所からの転落、脳炎、低酸素脳症などで、脳に損傷を受けた結果、以前と同じ能力を発揮できなくなったり、人が変わったようになってしまうことがあります。
例えば、記憶の障害が生じ、必要なことを覚えられず日常生活や、学業、職業生活等に支障が出る、感情のコントロールができず、対人関係がうまくいかなくなる等の症状が現れることがあります(現れる症状、程度は人によって異なります)。
東京都による調査からわかったこと
東京都の調査(平成20年)では、都内に約5万人の高次脳機能障害者がいると推計されています。
また、通院患者調査では、以下のような調査結果が出ています。
女性よりも男性が多い
60歳以上の人が全体の67.2%
発症原因は脳血管障害が全体の81.6%、脳外傷が10.0%
障害の内容では、行動と感情の障害が44.5%(意欲の障害、抑うつ状態、不安、興奮状態など)、記憶障害42.5%、注意障害40.5%、失語症40.4%と多く見られた。
本人も周囲も気付きにくい障害です
こうした脳を損傷したことによる、認知機能全般の症状を「高次脳機能障害」といいます。
受傷、発症後、身体的な後遺症を残さない場合が多いため、外見上障害があることがわかりにくく、周囲の理解を得られにくいといった問題もあります。
また、障害の程度によっては本人でも気付かないということもあります。
記憶の障害 | 古い記憶は保たれているのに、新しいことを覚えられなくなります。約束を忘れる、日時をまちがえる、現在どこにいるのか分からないなどの障害です。 |
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注意の障害 | 一つのことに注意を集中したり、多数の中から注意して必要なことを選んだりすることなどが難しくなります。気が散り、疲れやすいため、数分間しか作業や課題が行えないこともあります。ぼんやりした表情や変化の少ない表情をしがちです。 |
遂行機能障害 | 自分で物事の段取りが出来なくなる障害です。仕事が遅かったり、作業の手順も分からなくなってしまいます。このため、動作の開始や中断が難しくなることがあります。 |
社会的行動障害 | 感情が不安定になったり、我慢ができなかったり、こだわりが強くなったりするため、攻撃的になってしまい、まわりの人とトラブルを起こしやすくなります。ゆううつな状態が続く人もいます。 |
失行 | 手足の働きに問題がなくても、服を着る、箸やはさみを使うなど普段できていたことができなくなります。自分の意図した動作や指示された動作を行うことができない障害です。 |
失語 | 聞く、話す、読む、書くなどのことばの機能が障害を受けます。他の人に意思を伝えたり、他の人が伝えてきたことを理解したりすることが難しくなります。 |
失認 | 視力に問題はないのに、色、物の形、物の用途や名称が分からない、絵を見て全体のまとまりが分からないなどの症状です。視覚、聴覚、触覚の各感覚においての認識障害です |
半側空間無視 | きちんと見えているはずなのに、自分の左(または右)に何があるのかが分からなくなる障害です。例えば、左半側空間無視の場合では、食事の際に左側の食べ物を食べ残す、ドアを通ろうとして左側にぶつかる、車いすや歩いて廊下を移動していてだんだん右側に寄っていくなどの状態が見られます。 |
地誌的障害 | よく知っている場所で道が分からなり迷ったり、自宅の見取り図や、近所の地図が書けないなどの障害です。 |
高次脳機能障害のリハビリテーション
社会的リハビリテーション
デイサービスなどの福祉や介護のサービス等を利用し、仲間と交流するなど、社会参加を促進する
職業リハビリテーション
職業評価や職業訓練、就労支援等の就労や復職等を支援する
認知リハビリテーション
注意・記憶・遂行機能等の脳の情報の認識・分析の機能を認知と言います。高次脳機能障害に対するリハビリテーションを認知リハビリテーションと呼びます。
高次脳機能障害のつどいを開催しています
保健センターでは、事故や脳の疾患等によって高次脳機能障害を負ったご本人同士ご家族同士の交流を目的としてつどいを行っています。
⇒高次脳機能障害のつどいのページへ
高次脳機能障害ピアカウンセリング・地域交流会
事故や脳の疾患等によって高次脳機能障害を負ったご本人、ご家族、関係者の交流の場です。
⇒ピアカウンセリング・地域交流会のページへ
関連情報
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所沢市 健康推進部 こころの健康支援室
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