資料3 (仮称)所沢市障害者差別解消条例(案)策定における検討事項 1.市(行政機関)の責務に関する事例 事例1 近隣の住民との関係からか、夜9時にはほとんどの音声信号が音を止めてしまう。そんなときは、車の通行音により信号機の表示を確認しているところ、交通量が減ってしまうと、車の流れによる信号の判断は難しくなる。そして判断ができないまま赤で渡っているケースも多く、その結果車と接触しそうになったという話をしばしば耳にする。 問題の所在 対象となる主体:行政(警察) 信号機の表示は、通行者の安全を考慮するうえで不可欠なものであるところ、現状では視覚障害を有する者が夜間に外出する際、信号機を確認できず、身体の危険が生じている。この問題を解決するためにどのように対応すべきか。 事例2 市の開催するマラソン大会(FUN RUN部門)に参加した際、体調の問題で少し休憩していたところ、ランナーの最後尾で追走して警備にあたる警察官から「走るのか、走らないのかはっきりしろ」といった心無い調子で急き立てられた。最後尾では自分たちを含め3組程度の障害者が頑張って完走しようと走っていた状況であった。 問題の所在 対象となる主体:行政(市役所・警察) 本件イベントは、参加資格として「健康な人」という文言及び「60分以内に完走できること」という制限規定を設け、それらを公開したうえで利用者を募っていた。そこで本件においては、FUN RUN部門という参加し楽しむことに大きな意義が認められる部門にこのような規定を設けることの是非及び警察官の不適切な対応が問題となるところ、これらの点についてどう考えるべきか。 2.市民の役割に関する事例 事例1 障害当事者より、PTA広報誌の、教職員を紹介する記事の中で「子どもたちをお世話、サポートしてくださる職員の方々」という文言が用いられていたが、「お世話する」とはどういうことか、障害者を下に見ているのではないかという指摘があった。 問題の所在 対象となる主体:行政(学校)・市民(PTA) 本件では、PTAが何気なく用いた表現により、障害当事者が不快感を感じている。PTAは保護者で構成される市民団体であるが、学校という行政機関も関与していると考えられる。この場合各主体はどのように対応すれば良かったのか。 事例2 地元の自治会主催の太鼓の練習参加についての通知文に、「時間厳守でお願い致します。団体行動を守ってください。」「以上のことを守れない時は、お断りする場合があります。」という表記があった。これについて、当該児童の保護者は、「うちの子を差別している。排除している。」と主張した。 問題の所在 対象となる主体:市民(自治会) 自治会は有志の市民により運営されているものであり、大掛かりな配慮は難しい一方で、障害のある者も地域社会の一員として、地域の催事に参加することができるはずである。本件の問題を解決するためには、誰がどのように対応すれば良いのか。 事例3 左半身麻痺のある方が、エスカレーターを利用する際に右側に立っていたところ、他の利用者から邪魔者扱いされた。 問題の所在 対象となる主体:市民(一般) エスカレーターを利用する際に左側に寄り片側を歩行スペースとして空けるというのは東日本における慣習として存在している。本件相談者は、障害というやむを得ない理由からその慣習を守ることができないところ、それを理由に不当な扱いを受けている。本件について、どのように考えるべきか。 3.事業者の役割に関する事例 事例1 流動食しか食べられないというお客様が、自身でミキサーを持参して、お店の電源を借りて、ピューレ状のものを召し上がりたいとの要望があった。店舗内での調理の衛生面、他のお客様がその状況を見たときの違和感などの問題があるので、今後はお断りしようかと思っている。 問題の所在 対象となる主体:事業者 事業者は、基本的に営業活動において自ら決定する権利を有するものである。一方で障害を抱える者も、食事を楽しむ権利を有している。本件では、それらの権利が衝突し、問題となっているが、この問題を解決するためにどうするべきか。 事例2 飲食店において、障害者団体のグループが食事を注文するトレーニングのようなことを事前会計のレジでやっていて他のお客様がなかなかレジにて注文することができなかった。 問題の所在 対象となる主体:事業者 事業者は、基本的に営業活動において自ら決定する権利を有するものである。一方で障害を抱える者も、食事を楽しむ権利を有している。本件では、それらの権利が衝突し、問題となっている。この問題を解決するためにどうするべきか。 事例3 視覚障害者が契約を締結する際に、すべての内容について説明を受けているのかという不安がある。また、銀行、保険会社、カード会社との契約やカードによる商品購入、手術の同意など、署名を求められるケースが多くあり、不便を感じている。視覚障害者団体からの申し入れにより、銀行などは金融庁からの通知が出されて、銀行の行員によるダブルチェックで代替できるようになり、改善はされてきているが、まだ徹底されていないところもある。 問題の所在 対象となる主体:事業者 銀行等で作成する私文書を作成する際は、法的には署名か押印どちらか一方で足りるとされているところ、商慣習により、両方を求められることが多く、視覚障害者等が不便を感じている。これについては、行政の働きかけにより、徐々に改善が見られてはいるものの、完全には対応できていない。本件について、そうした不都合を解消するためには、何を考慮しどう対応すべきか。 事例4 所沢駅は平成26年の改修で改札の内に1か所、外に1か所テラスが設置されたが、階段しか設置されておらず、車いすなどで上がることができない。 問題の所在 対象となる主体:事業者 本件では、当該テラスが基本的にすべての駅利用者に開かれたものであるにもかかわらず、肢体に障害を抱える者がそこに行くことができないという不都合が生じている。どのような対応が考えられるか。