資料1 (仮称)所沢市障害者差別解消条例 目次  第1章 総則(第1条から第3条)  第2章 社会的障壁の除去(第4条から第7条)  第3章 障害のある人の自立及び社会参加のための支援(第8条から第12条)  第4章 障害を理由とする困難や必要な配慮に関する相談等(第13条から第20条)  第5章 雑則(第21条)  附則  日本国憲法の基本的人権の規定を遵守し、誰もがその人個人として尊重されるとともに、自分の夢や目的の実現を自由に目指すことのできる社会を実現することは、わたしたちの共通した願いです。  しかし、障害のある人にとって利用しにくい建物や設備、交通手段、障害のある人に対する誤解や偏見、あるいは手話等の意思疎通手段に対する無関心といったさまざまな社会的障壁により、障害のある人の自立や社会参加が十分に果たされず、障害のある人の権利が侵害されている状況が、今なお存在しています。  このため、市民、事業者、市は、障害のあるなしにかかわらず、誰もが自らの意志によって、持てる力を存分に発揮し、活躍できる社会を創るために、互いに手を取り合い、歩み寄り、助け合いながら社会的障壁を取り除いていかなければなりません。  わたしたちのまち所沢は、国内外の法整備の流れと連動して、「所沢市障害者支援計画」、「所沢市交通バリアフリー基本構想」、「所沢市ユニバーサルデザイン推進基本方針」を策定し、障害のある人の自立と社会参加を促すための施策を計画的に実施してきました。  また、障害者リハビリテーションの中核機関である国立障害者リハビリテーションセンターがあり、障害のある人とさまざまな場面で接する機会が多くあるという背景から、障害のある人への理解が深く、埼玉県内で初めてとなる障害者就労支援センターの設置、要約筆記者の養成から派遣までの一貫した実施、市の単独実施としては全国初となる在宅の重度精神障害者に対する精神障害者アウトリーチ支援事業の実施といった先進的な取組も行ってきました。  わたしたちは、今後そのような取組を発展させ、障害のあるなしにかかわらず、誰もが生まれながらに持っている権利の主体として、共に支え合い、認め合い、人と人との絆を感じながら、笑顔でいきいきと地域で自立して生活できる「共生社会」の実現を目指し、この条例を制定します。    第1章 総則  (目的) 第1条 この条例は、障害のある人も障害のない人も共に助け合い、あらゆる社会的障壁を取り除くことで、障害のあるなし又は意思疎通の手段にかかわらず、全ての人が個人として尊重され、社会に参加し、共に支え合い暮らしていける共生社会の実現に資することを目的とする。  (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 障害のある人 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、その他の心身の機能の障害(以下「障害」という。)がある者であって、障害及び社会的障壁により、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (2) 社会的障壁 障害のある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 (3) 意思疎通 言語(手話を含む)、文字の表示、点字、触覚を使った意思疎通、拡大文字、利用しやすいマルチメディア並びに筆記、音声、平易な言葉、朗読その他の補助的及び代替的な意思疎通の形態、手段及び様式(利用しやすい情報通信機器を含む。)をいう。 (4) 合理的配慮 障害のある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、意思の表明をした者と意思の表明を受けた者との双方の合意に向けた対話に基づき、その実施に伴う負担が過重でない範囲で行う、社会的障壁の除去をいう。 (5) 自立 第三者の支えを必要とするか否かにかかわらず、自らの人生を自らの意思で選択できることをいう。 (6) 市民 障害のあるなしにかかわらず、市内に居住し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。  (7) 事業者 市内において事業活動を行う者をいう。  (8) 支援者 障害のある人の保護者、養護者その他障害のある人を支援する者をいう。  (基本理念) 第3条 この条例の規定は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。  (1) 障害のある人が権利の主体であるという認識の下、その権利を尊重すること。  (2) 障害に対する理解を深めること。  (3) 障害のある人が、地域において自立して生活できること。  (4) 手話その他の形態の非音声言語が言語であること。  (5) 障害のある人の性別、年齢及び障害の状態に応じた適切な対応を行うこと。 (6) 社会的障壁の除去を実施する際に、可能な限り、障害のある人の意見を取り入れること。    第2章 社会的障壁の除去  (不利益な取扱いの禁止) 第4条 何人も、障害のある人及びその支援者に対して、障害を理由とする不利益な取扱いを正当な理由なく行ってはならない。  (市の責務) 第5条 市は、第3条の基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、次に掲げる施策を推進しなければならない。  (1) 障害のある人が自立した生活を送るために必要な支援  (2) 障害の理解を促進するための周知及び啓発  (3) 障害のある人同士又は障害のある人と障害のない人が交流するための機会の提供 (4) 市の職員及び所沢市立小・中学校服務規程(昭和32年制定)に規定する学校職員に対する障害の理解を促進するための研修等の実施  (5) その他必要な取組 2 市は、障害のある人の性別、年齢及び障害の状態に応じた合理的配慮をしなければならない。 3 市は、市民及び事業者がこの条例に規定する取組を行うことができるよう、必要な支援をするものとする。  (市民及び事業者の責務) 第6条 市民及び事業者は、基本理念に基づき、共生社会の実現に必要な施策に対し、市と協力して取り組むよう努めるものとする。 2 市民及び事業者は、障害のある人の性別、年齢及び障害の状態に応じた合理的配慮をするように努めるものとする。 3 市民及び事業者は、自ら障害に対する理解を深めるよう努めるものとする。 (障害のある人の役割) 第7条 障害のある人及びその支援者は、社会的障壁の除去の適切な実施のため、障害を理由とする困難や必要な配慮について情報を提供するよう努めるものとする。    第3章 障害のある人の自立及び社会参加のための支援  (意思疎通) 第8条 何人も、基本理念に照らし、必要な情報が得られないことで障害のある人が不利益を被ることがないよう留意するものとする。 2 市は、障害のある人が自ら選択する意思疎通の手段を自由に利用できるよう、意思疎通の手段の普及啓発及び利用の拡大を支援するとともに、意思疎通に係る相談への対応及び支援を行うものとする。 3 市及び事業者は、意思疎通を図ることが困難な障害のある人に対し、日常生活又は社会生活を営む上で必要なサービス及び情報を提供する場合並びに意思疎通を図ることが困難な障害のある人から情報を受け取る場合は、性別、年齢及び障害の状態に応じた合理的配慮を行うものとする。  (教育) 第9条 市は、障害のある人が適切な教育を受けられるよう、次に掲げる施策を講じるものとする。  (1) その障害の特性を理解し、その障害の特性に応じた適切な教育環境の整備  (2) 障害のある人及びその保護者に対する合理的配慮の提供  (3) 障害のある人との交流の機会の創出その他必要な取組 2 市民及び事業者は、前項各号の施策に協力するよう努めるものとする。 (就労支援) 第10条 市は、障害のある人の就労を促進するため、関係機関と連携し、次に掲げる施策を講じなければならない。 (1) 就労に関する相談の実施及び支援の充実 (2) 事業者に対する、障害のある人が働きやすい環境の整備の必要性に関する啓発及びこれらに関する情報の提供 2 事業者は、障害のある人の就労を促進するため、障害のある人が働きやすい環境の整備に努めるものとする。 (生活環境の整備) 第11条 市は、不特定多数の者の利用に供される建物その他の施設を市が設計し、及び整備する場合は、その障害の特性を理解し、障害の特性に応じた必要な配慮を行うものとする。 2 市は、不特定多数の者の利用に供される建物その他の施設の管理に当たっては、当該施設を利用する障害のある人の意見の把握に努め、その障害の特性を理解し、その障害の特性に応じた必要な配慮を行うよう努めるものとする。 3 不特定多数の者の利用に供される建物その他の施設又は公共交通機関の管理者は、障害のある人がこれらの施設等を利用する場合は、その障害の特性を理解し、その障害の特性に応じた必要な配慮を行うよう努めるものとする。 (居住場所の確保) 第12条 市は、障害のある人が可能な限り自分の選択した地域で生活できるよう、障害のある人が居住する場所を確保し、居住を継続するために必要な取組を行うよう努めるものとする。    第4章 障害を理由とする困難や必要な配慮に関する相談等  (相談) 第13条 何人も、第2章及び前章の規定に関連する事項について、市及び市が委託する相談業務を実施する事業所(以下「相談機関」という。)に相談することができる。 2 相談機関は、前項の規定により相談を受けた場合は、必要に応じて次に掲げる対応を行うものとする。  (1) 前項に規定する相談の関係者間の調整  (2) あっせんの申立ての支援  (3) その他必要な助言及び関係機関への取次ぎ  (あっせんの申立て) 第14条 障害のある人である市民又はその支援者は、前条第2項第1号の対応が行われた後も、なお問題が解決されない場合は、市長に対し、市及び事業者を相手方として、その解決のために必要なあっせんの申立てをすることができる。ただし、障害のある人本人の意思に反することが明らかであると認められるときは、支援者は、申立てをすることができない。 2 前項の申立ては、次の各号のいずれかに該当するときは、することができない。 (1) 行政不服審査法(平成26年法律第68号)その他の法令に基づく不服申立ての手続をすることができる行政庁の処分であるとき。 (2) 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)第74条の5に規定する紛争であるとき。 (3) 申立ての原因となる事実のあった日(継続する行為にあっては、その最後の行為の終了した日)から3年を経過しているものであるとき(その間に申立てをしなかったことにつき正当な理由があるときを除く。)。  (4) 現に犯罪の捜査の対象となっているものであるとき。  (5) その他あっせんの必要がないと認めるとき。 3 市長は、前項第1号又は第2号に該当することにより障害のある人又は支援者が申立てをすることができない場合は、しかるべき機関を紹介するものとする。  (あっせんの実施) 第15条 市長は、あっせんの必要があると認める場合は、第18条に定める所沢市調整委員会(以下「委員会」という。)に対し、あっせん案の作成を求めるものとする。 2 委員会は、前項のあっせん案を作成するに当たり、可能な限り当事者双方の意見を聴取しなければならない。この場合において、委員会は、必要があると認める場合は、当事者その他の審議に必要な者に対し、その出席を求めて、説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。 3 市長は、委員会が作成したあっせん案を基に、あっせんを行うものとする。  (勧告及び公表) 第16条 市長は、前条第3項の規定によりあっせんを行った場合において、あっせんを受けた者が正当な理由なくそのあっせんに従わず、勧告することが相当と判断するときは、当該あっせんに従うよう勧告することができる。 2 市長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由なくその勧告に従わない場合において、公表することが相当と判断するときは、規則で定めるところにより、その旨を公表することができる。  (意見陳述の機会の付与) 第17条 市長は、前条第2項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ当該勧告を受けた者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えるものとする。 (所沢市調整委員会の設置等) 第18条 この条例の規定に関するあっせん案の作成を目的として、所沢市調整委員会を設置する。 2 前項に定める事項のほか、委員会は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第18条に規定する事務を行う協議会等の関係機関と必要な情報交換を行うものとする。  (組織) 第19条 委員会は、委員5人以内で組織する。 2 委員は、障害当事者及び福祉、法律その他の障害のある人の権利の擁護について優れた識見を有する者のうちから市長が委嘱する。 (任期) 第20条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。 2 委員は、再任されることができる。    第5章 雑則  (委任) 第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 附 則  (施行期日) 1 この条例は、平成30年7月1日から施行する。  (所沢市非常勤の特別職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正) 2 所沢市非常勤の特別職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和43年条例第14号)の一部を次のように改正する。   別表第1障害者施策推進協議会委員の項の次に次のように加える。 調整委員会委員 日額 7,900円 1