平成30年所沢市議会第1回定例会施政方針・提案説明要旨(平成30年2月20日)

更新日:2018年2月20日

はじめに

 本日ここに、平成30年所沢市議会第1回定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご健勝にてご参集賜り、新年度予算をはじめ市政における重要案件につきまして、ご審議いただきますこと、厚く御礼申し上げます。
 市長2期目の就任後、2年と3か月が経過しました。その間、「人と人との絆を紡いでいこう」「自然と調和した生き方を模索しよう」との思いで、日々市政を運営してまいりました。
 新たに迎える平成30年度は、第5次総合計画基本計画の最終年度、8年間に渡る計画期間の集大成となる年であります。これからの所沢につなげていくべき事業は何か、熟考を重ねながら、予算編成に臨ませていただきました。
 それでは、平成30年度当初予算をはじめ諸議案の審議をお願いするにあたり、市政運営に関する基本的な考え方と、予算並びに条例その他の議案について、その概要を申し述べ、議員各位並びに市民の皆さまのご理解、ご協力を賜りたいと存じます。

昨年の振り返り

 さて、昨年を振り返りますと、スポーツ界をはじめ様々な分野で、若者の活躍が目立った年でありました。それと同様、本市でも、多くの若者たちがそれぞれの分野で活躍をしてくれました。
 まず、中学校の部活動では、小手指、美原、南陵中の3校の生徒がジュニアオリンピック陸上競技大会に出場し、山口中女子バスケ部は全国大会、また、狭山ケ丘、向陽中のコーラス部は関東合唱コンクールに出場し、青春の努力を結晶させてくれました。
 また、所沢市観光大使の北勝ほくと富士ふじは、九州場所で技能賞を受賞され、前頭筆頭として今後の活躍が期待されております。
 また、開催中の平昌ぴょんちゃんオリンピック・パラリンピックには、スノーボードで鬼塚おにつかみやび選手、フリースタイルスキーで鈴木すずき沙織さおり選手、アルペンスキーでは村岡むらおか桃佳ももか選手、本堂ほんどう杏実あんみ選手が本市ゆかりの選手として出場されておりますし、もちろん、さきのリオ大会に出場された競泳の坂井さかい聖人まさと選手、渡部わたなべ香生子かなこ選手、渡辺わたなべ一平いっぺい選手も、陸上の佐藤さとう拳太郎けんたろう選手、加藤かとう修也のぶや選手、野澤のざわ啓佑けいすけ選手など、今も本市ゆかりの選手たちも次なる戦いに向け練習を重ねておられます。
 また、同じく世界の舞台で飛躍すべく、車いすテニスの田中たなか愛美まなみ選手、水泳で西田にしだあん選手、車いすバドミントンで小倉おぐら理恵りえ選手、車いすバスケで伊藤いとう優也まさや選手(実は、所沢市の職員であります。)、さらに、テニスは小堀こぼり桃子ももこ選手、太極拳で池内いけうち理沙りさ選手、佳奈かな選手、ムエタイの宮越みやこし宗一郎そういちろう選手、慶二郎けいじろう選手、ボクシングで篠原しのはらひかる選手、トライアスロンで山本やまもとてつや哲也てつや選手も国内外のライバルとしのぎを削っておられます。
 そして、ベテランではありますが、所沢市出身、羽生はぶ善治よしはる竜王りゅうおうが史上初の永世7冠を達成し、国民栄誉賞を受賞されたことも市をあげてお祝いしたい偉業でありました。
 若者の活躍は私たちに夢と希望を与えてくれます。と同時に、私たち大人の使命は、その若者たちに誇れる「善きふるさと」を継承していくことであると、改めて感じたところです。

 そして、昨年も各分野で、そのための取組を進めてきたのでありました。
 例えば、子育てへの支援としては、耐震強度が不足していた、三ケ島、山口西、北秋津、中新井、安松の5つの保育園を一気に耐震化することができました。今までだったら、仮園舎の土地を確保し、それを建て、その後に耐震工事に入るため、5年6年とかかってしまいました。が、ことは耐震、早い工事が求められました。そこで、保育園、児童館、学校、保健センター、子どもも保護者も職員も、それぞれ苦労を分かち協力して、1年半で全ての工事を終えることができました。実はこれに限らず、各部の連携により仕事を成し遂げた、そんな例がたくさんありまして、このような仕事ぶりこそ平成29年度の本市の特徴であったと、まずは申し上げたいと思います。
 また、放課後児童対策としては、泉児童クラブを泉小学校内に移転し、保育スペースを広げ、定員を35名拡大し、また、まつば児童館とやなぎ児童館を改修して、生活クラブの定員を39名拡大しました。
 昨年1月オープンの「所沢市こどもと福祉の未来館」では、地域福祉や子育て支援、発達支援の充実に事業を展開しましたが、とりわけ評判の所沢市こども支援センター(大地)では、子育て支援エリア(ルピナス)で1月末現在延72,085人のご利用があり、また、発達支援エリア(マーガレット)では、4月から障害児通所支援を開始したところです。
 さらに、昨年は、家族等から十分な支援が受けられない退院直後の母子に対する産後ケア事業、不妊を心配する方に対する不妊検査費助成事業を開始し、子育てに関わる様々な場面でのきめ細やかなサポート体制を構築しました。
 また、小児初期救急医療体制の安定的な運営にも継続して努めたところであります。
 一方、教育環境の整備にも力を注ぎました。
 老朽化が進む学校トイレの洋式化やバリアフリー化に加え、地球温暖化防止を図りつつ教育環境も向上させることを目的に、中央中学校の普通教室や廊下の内装木質化工事に着手しました。
 また、学校給食センターの再整備に向けては、資金調達や民間活力の導入など、様々な手法について調査研究を進めています。
 このほか、就学援助事業のうち、新入学学用品費につきましては、新中学生に対して従来7月支給だったところを入学前に前倒しすることができました。
 環境の分野では、「マチごとエコタウン所沢構想」を推進すべく、様々な取組を実施いたしました。
 省エネに取り組む市民を募る「エコファミリー認定事業」では、パソコンやスマートフォンでの登録受付を開始し、取組を拡大しました。
 また、自然再生エネルギーを普及するため、太陽光発電や省エネ機器等の市民・事業者・自治会への導入補助を引き続き行う一方、電気自動車を普及するため、役所で使う前に市民にモニターとして使ってもらったり試乗会・展示会・シンポジウムなども行いました。
 さらに、温室効果ガスの削減や消費電力の抑制、そして自治活動を応援するため、自治会・町内会が所有する防犯灯7,068灯を一気にLEDに交換しました。これを市として行うのは、県内初の取組でした。
 一方、みどりの保全活動を行う団体を支援する「みどりのパートナー活動推進事業」を行っておりますが、昨年は、菩提樹池ぼだいぎいけ里山保全地域の保全活動を行う、菩提樹ぼだいぎ田んぼの会・山口の自然に親しむ会・菩提樹池ぼだいぎいけ愛好会の活動が評価され、「第37回緑の都市賞緑の市民協働部門」奨励賞を受賞したところでもありました。
 このほか、粗大ごみの再使用を増やすため、粗大ごみの収集と再生家具類の回収を一元化したところ、その回収量と再生家具の頒布量が、前年度比1.5倍以上となりました。
 福祉の分野では、共生社会の実現に向け、着実な取組を進めてきました。
 障害者福祉の取組では、第4次所沢市障害者支援計画を作るため作業を進めるとともに、障害当事者や関係する皆さまと協議を積み重ねながら、本市らしい「所沢市障害のある人もない人も共に生きる社会づくり条例」を作るための作業を進めることができました。
 また、精神障害者に対しての緊急一時保護事業では、家族に加えて本人も対象にして、支援を厚くすることができました。
 また、高齢者福祉の取組では、第7期所沢市高齢者福祉計画・介護保険事業計画の策定を進めたほか、地域で高齢者を支えられるよう、地域の様々な活動につなげていく調整役の生活支援コーディネーターを各日常圏域に配置しました。
 市の文化やブランドの魅力を高め、また、賑わいを創出する取組も、様々な場面で展開してきました。
 まず、文化芸術に対する市の役割を明記した大作、所沢市文化芸術振興ビジョンを作り上げましたし、その推進を確かなものとするために所沢市文化芸術推進会議も設置しました。
 株式会社KADOKAWAとの共同プロジェクト「COOL JAPAN FOREST構想」では、市としても「第3回ところざわ文化創造会議」の開催や新たなパンフレットを作成し説明会を実施するなど、その周知に取り組みました。
 また、音楽のあるまちづくり、本市の新たな挑戦「空飛ぶ音楽祭2017」では、出演者も来場者も、所沢の新たな1ページを作るという意気にあふれたイベントができましたし、その広報には市の職員皆が知恵を絞りました。また、北勝ほくと富士ふじの活躍で沸く大相撲では、43年ぶりに夏巡業所沢場所が開かれて、掛け値なしの笑顔に会場が満たされていたことを今さらながら思い出します。
 さらに、中心市街地にぎわい創出支援事業補助金を活用した「..Makeどっとめいくころざわ」、「神明宵しんめいよいの市」も、民の力が生んだ新たな催しでありましたし、市役所も負けず劣らず、「ちょいバル別館」は、何も役所前でやることはない、ほかの場所にも出張して約1,800人の来場をいただきましたし、上下水道局によるマンホールを広告にする取組も、西武ライオンズと連携して作った「『トコろん&レオ』コラボナンバープレート」も、ともに柔らか頭のなせる業でありました。
 このほか、中国常州じょうしゅう市とは、姉妹都市締結25周年という記念すべき年に常州じょうしゅう市を訪問し、行政、市民各レベルで友好を深めることができました。
 また、東京オリンピック・パラリンピックに対しましては、誘致の努力がここに実り、イタリア選手団のキャンプ地に決定、人々が交流するホストタウンにも登録されましたし、所沢市民体育館は、「ゴールボール」の強化拠点施設、ナショナルトレーニングセンターにも指定され、日本の代表選手がこれから続々とここ所沢にやってきます。また、所沢航空記念公園多目的運動場を人工芝に換える工事も、平成31年度の完成目指して県と連携して取り組んでおりますし、話題が飛んで恐縮ですが、農業の分野、休耕地を担い手にあっせんして耕作地として復活させる「所沢市農地サポート事業」でも、この1年で約5.3ヘクタールを耕作地として復活することができました。
 続いて、行政の分野で申し上げれば、まず、第6次所沢市総合計画基本構想と前期基本計画について、審議会、市民検討会議等で協議をいただき計画素案を策定中です。
 また、より便利に手続きができるよう、住民票などに加えて課税証明書もコンビニでこの2月から発行できるようにいたしましたし、パソコンやスマートフォンなどから納税するペイジー(Pay easyの略称)収納サービスの導入で、1月末現在19,765件の収納実績をあげることもできました。また、パソコンやスマホを持たない市民に対しマイナンバーカード交付申請サポートサービスも開始したところでありました。
 さらに、行政情報、暮らしに身近な情報をまとめた、「所沢市暮らしの便利帳」を官民協働で作成し、市内全世帯に無償で配布いたしました。
 そして、7月には元所沢市長の中井なかい眞一郎しんいちろう氏、斎藤さいとうひろし氏に対し、これまでの市政へのご尽力に敬意を表し、議会の同意もいただきまして、所沢市名誉市民の称号をお贈りすることができました。
 健幸けんこう長寿の取組では、保健センターにて、「レディースデーがん検診」に挑戦し、民の力もいただきながら魅力を増やし、定員の約6倍ものお申し込みをいただきましたし、また、市民医療センターでは、人間ドックのオプションに上部消化管 内視鏡検査を導入し、X線えっくすせん検査と選択ができるよう充実しただけでなく、よりスムースな人間ドックになるように仕組みを改善いたしました。
 まちづくりやライフラインの整備も進めています。
 所沢駅周辺では、市の表玄関にふさわしい賑わいを創ろうとまちづくりを進めてまいりました。所沢駅西口では、土地区画整理事業と市街地再開発事業を一体施行で進めておりますし、北秋津・上安松地区まちづくり事業や日東地区まちづくり事業につきましても、関係各所と連携し推進しているところです。一方、市の産業施策の指針を表す産業振興ビジョンについても、平成30年1月に策定いたしたところです。
 防災への取組としては、一昨年の教訓を生かし土嚢どのうステーション整備や水嚢すいのうなどの情報提供を予め行い、避難所の開設もより多く早めに準備して10月の台風21号に臨みました。が、山口中学校西側擁壁ようへきの崩壊・道路の陥没、また街路樹の倒木など、大きな被害がでてしまいました。被災された方の支援に努めるとともに、被災箇所の一日も早い復旧に向け取り組んでいるところです。また、大雨被害を抑えるための治水対策を埼玉県や東京都、近隣市とも連携しながら進めているところです。
 また、防犯対策では、売却・賃貸・適正管理など、空き家にまつわる相談を一括で受け付ける 空き家利活用等ワンストップ相談事業を民間と協定を締結し、始めたところであります。
 一方、インフラ整備としましては、都市計画道路北野下富線のうち、国道463号、行政道路の小手指陸橋北交差点から市道3-575号線まで、延長260メートルの区間を、昨年4月供用開始いたしましたし、清流せいりゅうえん第二の橋では、右岸の橋りょう下部と護岸工事を現在行っているところです。
 上下水道事業では、耐震補強や老朽化対策を計画的に実施するとともに、旧水道庁舎をどう活用するか、また、移転する下水道管理事務所の効率化をどう図るか、検討をしてまいりました。
 また、水道通水80周年を記念して、浄水場の見学会やペットボトルの水配布など、水道事業への理解を深めることを目的に 様々な事業を展開してまいりました。
 このように昨年を振り返りますと、持続可能な市政運営の、その礎となる大規模事業がこれから数年集中するのに備えるため、また、善きふるさとを未来に伝えていくために、職員皆が力を合わせ、機を見て敏にしっかりと準備を進めることができた1年だったと感じているのであります。

市政運営と予算編成の基本的な考え方

 さて、それでは、平成30年度における、「市政運営の基本的な考え方」について、述べさせていただきます。
 「東日本大震災」と「原発事故」、それは私が市長を志した原点であります。あの時、誰もが感じたあの思いを日本人は忘れてはならない。あの思いをもとに社会の軌道を修正して、意識して、実践に移して、未来の子どもたちに誇れる「善きふるさと」を継承していく。それが我々大人たちの使命である。そう確信して市政にあたってまいりました。誰もが感じたあの思い、それはきっと、人と人との絆があって人間は幸せなのかもしれない、という思いと、そして、人間はちっぽけな存在、人は自然と共生していくべきなのだ、という反省だったのだと思います。
 それを具現化していくべく「マチごとエコタウン所沢構想」を策定し、特に環境面から推進してきました。が、新たに第6次総合計画基本構想を策定していく今だからこそ、改めて、マチごとエコタウン所沢構想の精神を、市の施策、事業の全てに反映させ、その具現化を徹底していきたいと考えております。
 そして、その精神を全ての職員が共有し、既成概念を取り払い、できない理由を探すのではなく、どうすればできるのか、発想を転換し、知恵を絞り、汗をかきながら、市民の新たな幸せの実現に向けて、心と力を合わせ取り組んでまいります。
 なお、具体的な政策につきましては、「教育・子ども」「環境」「福祉・自治」「文化・ブランド」「行政」「健幸けんこう長寿」の6つを市政運営の柱とし、着実かつ積極果敢に取り組んでまいります。
続きまして、「予算編成の基本的な考え方」について申し上げます。
 企業収益は過去最高水準に達し、有効求人倍率も改善を続けるなど、日本経済は好循環の局面に入った とも言われております。
 しかし、市財政におきましては、平成28年度決算の経常収支比率が96%と過去最も硬直化した状態でありますし、社会保障経費や公共施設の老朽化に対応する費用もまだまだ増加するしかなく、市財政が厳しくなることは十分予想される事実であります。
 このままではいけない。持続可能な市政運営を目指すため、先を見据えた投資も必要であります。そこで、本市としては、COOL JAPAN FOREST構想関連事業や所沢駅周辺のまちづくり事業など、市民が誇りの持てるまちづくりを進めてまいります。とともに、東部クリーンセンターの延命化や市民文化センターの改修など、懸案の事業にも取り組んでまいります。
 もちろん限りある財源です。予算編成にあたっては、長期的視野に立ち、優先順位を意識しつつ、改めて「市が税金を使ってやるべきは、どこまでか」を問い、メリハリつけて編成するよう臨むとともに、先ほど申し上げましたとおり、すべての事業において、「マチごとエコタウン所沢構想」を貫く精神を反映するよう求めました。
 平成30年度当初予算は、以上の点を踏まえ、抑制を心がけて編成をいたしましたが一般会計の総額としては初めて1,000億円の大台を突破することとなりました。民生費は一般会計歳出予算の半分を占め、市政を持続可能にするための事業を盛り込む衛生費、土木費も増額となりましたが、同時に教育にもより厚く配分し、メリハリを付けさせていただきました。
 名付けて、「人と自然が調和した 未来あすへの扉を開く予算」であります。

平成30年度予算の概要

 それでは、平成30年度予算の概要を申し上げます。
 一般会計では総額1,002億5,000万円となり、前年度比3.4%、33億1,000万円の増、また、特別会計、事業会計を加えた全会計の合計は、1,868億7,635万2千円となり、前年度比1.1%、21億3,857万5千円の減となりました。
 一般会計が昨年度より膨らんだ主なる理由といたしましては、老朽化した施設を直すための東部クリーンセンター、市民文化センターミューズや学校などの修繕工事の増額と、将来にわたって福祉や教育などを維持していくための投資としてのまちづくり事業の開始や旧コンポストセンターの解体、とともに、民生費の増があげられます。歳出の約半分を占める民生費では、保育園の耐震化も終わり、国民健康保険特別会計への繰出金も減ったことで、約11億円少なくなるなど減額要因もあったのですが、それ以上に障害者・子ども・高齢者福祉費に要する費用が増える見込みで、結局約2億6,000万円の増額となりました。
 また、歳入につきましては、市税や各種交付金を社会情勢などに合わせて見積もるとともに、後年度の負担も勘案しながら市債や財政調整基金からの繰り入れなどにより対応することといたしました。
 なお、全会計総額の減少は、広域化に伴い国民健康保険特別会計が前年度比マイナス22%と大幅に減少したことが主な要因です。
では、議案第13号から第22号までの総予算について、はじめに「文教都市 所沢」の実現の集大成となる「6つの柱」に沿って主な施策をご説明申し上げ、続けて、市の成長に向けた施策についてご説明いたします。

1 「教育・子ども」日本一、子どもを大切にするマチ 所沢

 柱の一つ目は、「教育・子ども 日本一、子どもを大切にするマチ 所沢」であります。
 子どもを大切にするとは、甘やかすことではなく、伝えるべきを伝え、子どもの力を信じて、その力を伸ばしてやることです。社会がどんどん変化して、価値観の多様化も叫ばれて久しい現代社会ではありますが、教育における不易と流行、学校の持つ役割などを見極めつつ、教育を力強く推進してまいります。その中でも特に、「教育は人でもつ」、人の充実を施策の柱に、日本一、子どもを大切にするマチ所沢の実現に向けた取組を推進します。

教育の質を高める

 教育の質を高めるには、教職員の教育技術の修練と、思い切りやれるよう環境を保証してやることと、そして、子どもたちにしっかりじっくり向き合えるよう環境整備をしていくことが有効です。
 その、しっかりじっくり子どもたちと向き合えるようするために、所沢市では、学力向上支援講師、学習支援員、特別支援教育支援員、心身障害児介助員、心のふれあい相談員、AET(英語指導助手)、小学校外国語支援員など総勢263名(これは県内トップクラスの人数であります)の教職員を市で今までに採用し、県採用教職員とともに子どもたちの教育にあたってきました。
 平成30年度は、学力向上支援講師と学校司書を、それぞれ2名ずつ、特別支援学級の介助員は3名、計7名を増やしまして、教育の質を高めてまいります。
 また、これも教育の質に関わる「『学び創造アクティブプラン』学力向上推進事業」や「健やか輝き支援事業」、「安全・安心な学校と地域づくり推進事業」は、引き続き全ての小中学校で展開してまいります。
 さらに、電子黒板活用による授業の効果を高めるため、やる気ある学校を募って検証を進めるほか、ふるさと所沢を知るための社会科副読本を作成してまいります。また、平成32年度の(元号は平成として呼ばせていただきます)小学校での英語の教科化・早期化に対応するため、教職員の研修や教材・教具を整えてまいります。

教育環境の充実

 教育環境の整備も、引き続き進めます。
 管がボロボロで喫緊の課題たる学校トイレの給排水管の更新、併せての洋式化、バリアフリー化は、継続してこれを進めます。平成30年度は、泉小、安松小、美原小、北秋津小の各小学校及び柳瀬中学校、安松中学校で工事を行い、上新井小、林小、牛沼小、宮前小の各小学校及び中央中学校、北野中学校で設計に入ります。
 また、住民投票の結果に真摯に向き合い、対策を進めてきた防音校舎改修事業では、北中小学校の主に普通教室の工事を行います。 
 また、内部改修時に『マチごとエコタウン所沢構想』の精神を反映させた中央中学校内装木質化事業では、残りの普通教室棟1、2階の工事を進めます。
 さらに、これも喫緊の課題、学校給食センターの再整備につきましては、平成30年度中に事業手法を決定し、事業用地の取得を進めてまいります。
 これらに加え、暑さ対策として空調設備を今後導入していくことを発表させていただきました。導入にあたっては、地球温暖化を助長せず、他の事業をやめなくて済むよう財政にも配慮した、『マチごとエコタウン所沢構想』を持つ所沢市にふさわしい方策を模索するよう、小中学校空調設備整備調査事業として検討を始めます。
 一方、就学援助事業のうち、「新入学学用品費」につきましては、すべての新小中学生が入学前に支給を受けられるよう整備を進め、また、家庭の教育力向上を図る家庭教育推進事業、生涯学習推進センターでの学習講座の開催も引き続き進めてまいります。
 このほか、図書館施策の指針となる「所沢市図書館ビジョン」、「所沢市子どもの読書活動推進計画」が、ともに平成30年度で計画期間の満了を迎えますので、次期計画の策定に着手してまいります。

子育て支援の充実

 子育て支援の取組も進めます。
 まず、放課後児童対策ですが、そこに通う子どもが増えて施設が狭くなり、また、老朽化している実態があります。そこで、並木児童クラブでは、今ある場所で施設の建て替えを行います。また、民設民営児童クラブを伸栄小、美原小の校区に1つ、北秋津小、南小の校区へ1つ、合計2クラブ設置します。さらに、ひばり児童館、さくら児童館の改修を行い 生活クラブの定員を拡大してまいります。
 一方、保育園では、安定的に給食を提供し、かつ、食育を推進するため、平成28年度から小手指、新所沢両保育園で給食調理の委託を始めてまいりましたが、園児や保護者からも好評をいただいているところであります。そこで、平成30年度からは、松井、柳瀬、松郷、並木の各保育園でも給食調理の委託を開始いたします。また、保育定員については、認定こども園への移行により75名分をこの4月から増やします。
 妊娠・出産、子育ての環境も整備してまいります。
 核家族化や地域のつながりの希薄化で、妊娠・出産、子育てを担う妊産婦等の不安や負担が指摘されるところです。「子育て世代包括支援センター(かるがも)」では、妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援体制を築くとともに、産前・産後の相談支援等の充実を図ります。
 また、妊産婦と乳児のいる家庭に保健師等が訪問を行い、引き続き産後うつの予防や早期発見、新生児への虐待予防に向けた支援を進めてまいります。
 また、「所沢市こどもと福祉の未来館」の発達支援エリア(マーガレット)につきましては取組も2年目となり、安定した活動の中により良い修正を加えられる時期となりました。相談支援と通所支援の充実とともに、さらに地域への支援として、研修・啓発や幼稚園等への巡回支援を充実させてまいります。
 このほか、現行の「子ども・子育て支援事業計画」が平成31年度に最終年度を迎えますので、第2期計画の策定に着手をしてまいります。

2 「環境」 エネルギーの自立、マチごとエコタウン 所沢

 2つ目の柱は、「環境 エネルギーの自立、マチごとエコタウン所沢」であります。
 所沢市は、震災直後から「マチごとエコタウン所沢構想」を掲げ、ライフスタイルの変容にも言及し、エネルギーの自立を目指して、省エネ・創エネの普及に取り組んでまいりました。引き続きエネルギー・みどり・資源循環を有機的に連携させ、取組を進めます。

スマートエネルギーの推進

 市はこれまで、「とことこソーラー北野」などメガソーラーの設置をはじめ、様々な手法で再生可能エネルギー創出に取り組んでまいりました。
 地球温暖化を防止することを望み、かつ、原発反対を掲げ、福島の人々に心を寄せるのであれば、人は今何をすべきか、市としては何ができるのか、考えた末の答えの一つが、新電力会社の設立でありました。新電力会社を設立して、市域で使用される電力の再生可能エネルギー利用率を高め、二酸化炭素の排出を抑えることで、地球温暖化対策を推進してまいります。まずは公共施設への供給から始めますが、これらは一つの運動であり、市民とともにあらねばなりません。この事業に市民も参加し、各家の屋根にもソーラーパネルの設置が進み、「使う人」が「作る人」になっていけば、きっとエネルギーを大切に感じてライフスタイルも変わっていく、そんなことを新電力に期待します。
 また、「水素エネルギー」にも注目しております。特に交通分野での活用として、燃料電池自動車用水素供給施設、いわゆる「水素ステーション」の整備を、民間事業者に協力し、推進してまいります。
 このほか、所沢市民体育館では、マチごとエコタウン推進基金を活用して、水銀灯照明をLED化するとともに、東部浄水場には、小水力発電設備を設置して、未利用エネルギーの有効活用と環境負荷の軽減を図ります。

みどりのまちづくり

 未来の子どもたちにふるさと所沢のみどりを継承していくための取組も進めます。
 市内に残された貴重なみどりを保全するため、地域制緑地制度の指定を行うとともに、公有地化を進めます。
 平成30年度は、昨年度に引き続き上山口かみやまぐち堀口天ほりぐちてん満天まんてん神社じんじゃ周辺緑地を里山保全地域に指定するとともに、三ケ島二丁目里山保全地域、北中ふるさとの緑の景観地、三ケ島一丁目地内についても引き続き公有地化を進めます。
 また、三ケ島二丁目墓地計画地の公有地化に向けては、事業者との協議を進めてまいります。
 さらに、自然環境保全型の総合公園、所沢カルチャーパークにつきましては、樹林地の整備をするに先立って、動植物の生態系調査を行うとともに、特別緑地保全地区に指定したくぬぎ山地区につきましては自然再生事業実施計画を作ります。
 また、街なかみどりの創出として新所沢保育園の園庭の一部を芝生化してまいります。

3Rの推進と廃棄物の適正処理

 「もったいないの心」を大切に、リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再利用)、3Rすりーあーるの取組が市民みんなのものとなるよう引き続き各種事業を進めます。
 また、廃棄物を適切に処理していくため、廃棄物処理施設の適切な管理を推進します。
 東部クリーンセンターでは、延命化工事を継続するとともに、コスト削減や運営の効率化を図るため、18年間にわたる長期包括運営委託を開始します。また、西部クリーンセンターにつきましても、同様の趣旨により14年間の長期包括運営委託を開始します。
 一方、新たな一般廃棄物最終処分場につきましては、柳瀬地区は南永井下組自治会、坂之下自治会のご理解をいただき、整備に向けた覚書を結ばせていただいたところであります。ダイオキシンに苦しめられた私たち所沢市民も自区内処理の原則をようやく果たすことができそうです。平成30年度からは、専門部署を設置し、地元住民のご協力をいただきながら、用地交渉や基本設計など、整備に向けた具体的な事務を進めてまいります。

3 「福祉・自治」 人と人との絆を実感できるマチ 所沢

 柱の3つ目は、「福祉・自治 人と人との絆を実感できるマチ 所沢」であります。
 一般会計における民生費の割合を考慮すれば、所沢市は県内でも福祉に厚い自治体だ、といえるのだろうと思います。とは申せ、少子化はすすみ、高齢者は増え続けると分かっていても、人々は今までどおりに福祉の拡大を求め、その求めも年々複雑、多様化してきているのが現実です。システムとしての福祉はどこまで拡大できるのか、はたまた人々の支え合い、人間力の出番にどこまで期待するべきなのか、その範囲を見極めつつ、それでもきちんと福祉の維持をして、市民の幸せを図っていかねばなりません。

支え合う福祉の充実

 「所沢市こどもと福祉の未来館」は、子どもの分野のみならず、地域福祉の中心となる新たな拠点となりました。障害者やボランティア団体の活動支援はもちろんのこと、特に、福祉の相談窓口では生活困窮者をはじめ様々な問題を抱えている市民に対し、包括的な支援を行ってまいります。
 障害者福祉の取組では、永年、障害のある方々からご要望をいただいておりました「所沢市障害のある人もない人も共に生きる社会づくり条例」を、今議会に提出させていただきました。平成28年10月から作成に着手、障害当事者や知識経験者、事業者といった多くの皆さまの力を結集し、様々な角度から議論を重ね、ようやくここまでたどり着くことができました。今後は、条例に基づき、「共生社会」の実現を目指すソフト・ハード両面での取組を、一つ一つ地道に展開していきます。
 また、障害の種別によって格差があったサービスを見直し、より公平な制度にするため、重度心身障害福祉手当では、精神障害者保健福祉手帳1級所持者の手当支給額を引き上げ、また、重度障害者に対するガソリン費またはタクシー使用料金の補助制度につきましても、精神障害者保健福祉手帳1級所持者を対象に加え、かつ、県の制度に入ってタクシー券の利用できるエリアを拡大し、より公平に近づけました。ただし、制度の持続を図るため、サービスの縮小も一部しなければならなかったことを申し添えねばなりません。
 精神障害者アウトリーチ支援事業は、1月末現在、69人を支援しておりましたが、支援の甲斐あり、4人が支援を終了されました。そこで、これまでの目標支援者数を10人増やし、平成30年度は、80人を目標に支援をしてまいります。
 高齢者福祉におきましては、住み慣れた自宅や地域で自立し尊厳ある生活を続けるため、地域包括ケアシステムの推進が重要です。各地域における高齢者の生活支援を図るため、引き続き市内14の圏域に生活支援コーディネーターを配置し、生活支援サービスなどの地域資源の実情や地域の課題を把握するとともに、情報を共有して課題の解決につなげます。
 また、医療・介護関係者の連携や情報共有のために、所沢市医療介護連携支援センターを支援するとともに、所沢市医師会が導入した情報共有システム「絆ネットところ」の普及促進を図ります。
 さらに、認知症の方々への理解を普及、啓発していくとともに、認知症カフェや認知症初期集中支援チーム等が円滑に活動できるよう支援を進めてまいります。
 また、福祉施設への指導、監査の取組としては、28の社会福祉法人、115か所の指定介護サービス事業所に加え、平成30年度から市に権限移譲される約100か所の居宅介護支援事業所につきましても、適正な指導、監査を実施してまいります。
 また、生活福祉の取組といたしましては、様々な問題を抱えて孤立している生活困窮者の自立に向け、引き続き自立相談支援事業を通じた包括的な支援を行ってまいります。
 このほか、老朽化した老人福祉センターうしぬま荘の屋根を改修し、施設の延命化を図ります。

絆を育むまちづくり

 次に自治についてであります。人間には井戸に落ちそうになる子どもに思わず駆け寄って助けようとする「じゅってき惻隠そくいんじょう」があるものです。私は時に、それを「人間力」と表現しておりますが、その人間力を発揮して、身近な人が困っていたら助け合う。地域のことは地域で決めて、汗を流して良くしていく。それが自治なのだと思います。
 自治の原点である自治会・町内会活動を様々な形で応援していくのはもちろんのこと、地域づくり協議会にも引き続き支援を続けてまいります。また、まちづくりセンター一丸となって自治活動充実のため力を尽くしてまいります。
 さらに、地域づくり協議会の設立と活動の支援を行いながら、「所沢市地域コミュニティ推進プラン」の後継となる新たな推進プランの策定作業を進めます。

4 「文化・ブランド」 文化の風 薫るマチ 所沢

 果たして所沢市民は、我がマチに誇りを持ち得ているのでしょうか!? 結構便利で快適で、駅も多くて大学もあって、プロスポーツもあり、農業もあり、豊かな自然も残っている。これらは実は、すごい宝だと思うのです。ならば、それらを磨いて生かし、市民の胸にすとんと落とし、みんなが誇りと自信をもって、日々の生活を生きてゆく。そんな誇りあるマチにしなければいけません。
 そのための鍵となるのが、きっと文化とブランドであろう、この頃私はそう思うようになりました。

まちのブランド力を高める

 株式会社KADOKAWAとの共同プロジェクト「COOL JAPAN FOREST構想」では、1月末に地鎮祭を終え、遂に「ところざわサクラタウン」の建設工事が着手されたところです。何がどのような規模でできるのか、その詳細も発表され、アニメの聖地88か所巡礼の旅の構想も始まり、私たちの心は躍ります。文化の会社KADOKAWAが、創業70年のエポックに、世界に向けて日本文化を発信する。クールジャパンの新たな歴史がここ所沢から始まります。市としても平成32年(2020年)夏のオープンに向け、ソフト・ハード両面で事業を展開してまいります。
 まず、ソフト面といたしましては、文化創造会議や職員手作りの情報紙「サクラニュース」等により、構想を市民にしっかり周知してまいります。
 ハード面、周辺環境の整備としましては、隣接する旧コンポストセンター跡地を駐車場やマルシェなどに利用したいと考えて、基本計画の策定やPFI導入可能性調査などを行ってまいりました。平成30年度は、具体的な施設整備に向け事務を進めてまいります。
 また、東所沢駅前通りに自転車レーンを設置、さらに東川の景観を生かすため、桜並木に沿ってウッドチップ敷の遊歩道を整備するとともに、市道2-572号線に歩道を設けるため、東川の護岸工事にも着手してまいります。
 一方、東京オリンピック・パラリンピックに向けましては、イタリア共和国の事前キャンプ地並びにホストタウンに指定され、かつ、所沢市民体育館がゴールボールの強化拠点施設になりましたので、どんな交流、どんな施策ができるのか、具体的に事業を展開していきます。
 また、平成31年は、フォール大佐を団長とするフランス航空教育団の来日100周年にあたります。「航空発祥の地 所沢」を広くPRするため、実行委員会を組織して、在日フランス大使館、在日フランス商工会議所、さらには、日本の航空関係の企業・国・県・関係機関と連携しながら、記念イベントを企画します。
 なお、国内のみならず、海外からも注目される事業を展開するためには、今後、外国人観光客の誘客を見据えた戦略、いわゆるインバウンド戦略が重要となりましょう。そこで、商業観光課にインバウンド推進室を設置し、外国人観光客の誘致に向けた取組を検討してまいります。とともに、観光にはおみやげがつきもの、所沢市を象徴するような特産品作りに引き続き支援をしてまいります。
 このほか、多くの大会や興行に使用されている所沢市民体育館では、メインアリーナの床の改修を行いますし、所沢航空記念公園多目的運動場の人工芝化につきましても、平成30年度は約500席あるスタンドと照明施設の設置工事、平成31年度にはクラブハウスの建設工事が予定されていますので、引き続き県と連携して取り組んでまいります。

みどりに親しむ

 狭山湖とその周辺に広がる狭山丘陵は、所沢を代表する景勝地であります。観光や散策に訪れた方が安全にみどりを楽しむことができるよう、市道5-4号線、なかむらやから山口方面に少しくだったところに架ける人道橋じんどうきょうの工事に着手し、年度内の供用開始を目指します。
 さらに、狭山丘陵全体の魅力を向上させるため、所沢市だけでなく、武蔵村山市、東村山市、東大和市、入間市、瑞穂町といった隣接自治体と一丸となり、取り組んでまいります。
 さて、新鮮でおいしい農産物も所沢市の魅力です。
 まず、所沢産狭山茶の販路を拡大し、そのブランド化を進めるため、昨年度のフランス現地調査を生かして、所沢市茶業協会の海外展開やインバウンドの取組を支援します。
 また、「農のあるまちづくり」を推進し、体験農場や農産物収穫体験、地域住民との交流などを進めるとともに、「採れたて!農産物直売とことこ市」や「ちょいバル別館」を通じて所沢産農産物の消費拡大、ブランド化に力を注ぎ 併せて地産地消も推進してまいります。
 さらに、日本農業遺産に認定された武蔵野の落ち葉堆肥たいひ農法に続き、狭山茶の世界農業遺産、日本農業遺産への登録を目指すべく、継続して取組を進めます。
 このほか、国の「都市農業振興基本計画」策定を受け、県下に先駆け、市独自の基本計画の策定に着手し、併せて「農業振興地域整備計画」の改定を進めます。

文化と芸術の振興

 市民文化センターミューズは、文化芸術振興の拠点です。設備の老朽化への対応に加え、バリアフリー化や天井の耐震改修を図るため、平成30年12月10日から平成32年3月31日まで休館し、PFI手法による施設改修やリニューアルオープンの準備等を行ってまいります。
 また、暫定的に使用していた小手指のギャラリー、エバーとディアはこの3月をもって閉鎖して、旧庁舎閉鎖に伴う2つの団体にお貸しすることとなりました。 が、これに代わって平成30年4月1日からは「所沢駅東口市民ギャラリー」を新たに供用開始いたします。

5 「行政」 超親切な市役所 所沢

 柱の5つ目は、「行政 超親切な市役所 所沢」であります。
 まずは、親切な対応にしっかり取り組み、ベテラン職員の知識と経験、若手職員の発想と感性を融合させ、機を見て敏に、120%の力を発揮しながら、各部が連携し市政に取り組んでまいります。

新たな行政課題に向けて

 平成31年度以降の所沢市を規定する第6次所沢市総合計画基本構想及び基本計画は、平成30年第3回定例市議会に提出できるよう事務を進め、また、同じく平成31年度から発効する「男女共同参画計画」につきましても、市民意識・実態調査の結果などを踏まえて、計画の策定を進めます。
 さらに、埼玉県西部地域まちづくり協議会(ダイアプラン)では、平成30年度が設立30年目の節目の年となることから、記念式典や交流事業など、さらなる取組を進め、圏域の交流の活性化につなげます。
 一方、公共施設やインフラが老朽化していく中、公共施設の総量の適正化やライフサイクルコストの縮減をしていかなければなりません。そこで、経営企画課に公共施設マネジメント推進室を設置し、これを推進してまいります。
 このほか、新たに建設される所沢駅東口駅ビル(グランエミオ所沢)内に、市民課所沢駅サービスコーナーと所沢市パスポートセンターを移し、平成30年3月5日から業務を開始いたします。

投票率の向上

 平成31年4月には、所沢市議会議員と埼玉県議会議員の選挙が予定されております。その準備を進めるとともに、投票率を上げるため市内の高校3年生と大学生を対象とした啓発活動を推進します。

市民から学ぶ

 また、「市長のこんにちは訪問」も継続して行い、素晴らしい実践を学び、市政へ反映していくとともに、広く市民に紹介します。

6 「健幸けんこう長寿」 思わず歩きたくなるステキなマチ 所沢

 そして、6つ目の柱、「健幸けんこう長寿 思わず歩きたくなるステキなマチ 所沢」であります。
 市民が健康で生き生きとした生活を送ることができる「健幸けんこう長寿のマチ 所沢」の実現に向け取組を進め、健康寿命県内1位を目指します。

歩きたくなるステキなマチ

 「トコろん健幸けんこうマイレージ」の取組では、開始から1年半を迎え、生活習慣病に関する医療費がどれだけ抑えられるのか、その検証をいたしました。その結果、健幸けんこうマイレージに取り組んでいる人とそうでない人の医療費の推移から、その効果は1人当たり年間5万円以上にもなるという検証結果が出たところです。改めて効果を認識し、本事業卒業後も歩くことを中心に健康づくりに取り組んでいただけるよう支援してまいります。とともに、平成30年度は、新たに1,000人の参加者を募り、合計1,500人で事業を進めてまいります。

医療費等の適正化と薬剤費の抑制

 国民健康保険の医療費の適正化に向けましては、平成29年度から、所沢市医師会・所沢市薬剤師会と連携し、かかりつけ医・かかりつけ薬局の推進とともに、飲み残し薬の削減に向けた取組を開始したところです。平成30年度は対象を75歳以上の後期高齢者まで広げ残薬整理と分析を続け、さらなる医療費の適正化を図ります。
 また、引き続きジェネリック医薬品の利用を進め、平成31年3月診療分の目標値、70%の達成を目指します。

市民医療センターの充実

 一方、市民医療センターでは、可能な限り住み慣れた地域で生活を続けられるよう、在宅医療と連携した入院機能へ病床を一部転換するなど、地域完結型医療体制の整備に向けて取組を進めます。 
 平成30年度は、新たに理学療法士を採用し、「入院・治療」から「リハビリ」を経て「在宅復帰」できるよう地域包括ケア病床の稼働に向けて環境整備を進めます。
 このほか、市域全体で365日全ての時間帯で診ていただける小児初期救急医療体制は、所沢市医師会、防衛医科大学校病院、所沢市薬剤師会等の協力を得ながら、引き続き安定的な運営に努めます。

7 「成長作戦」 動き出した街づくりを成功させます!

 以上「6つの柱」に掲げた施策の実現には、それを支え、さらに推進していくため、継続的な財源確保が必要です。
 まちづくりへの投資は、雇用を生んで地域経済を活性化させ、ひいては税収増につながる好循環を生み出します。ゆえに、所沢市の福祉その他すべての施策を持続可能とするためのエネルギーの源として、メリハリつけて取り組んでまいります。

魅力と活気にあふれるまちづくり

 西武鉄道車両工場跡地を含む所沢駅西口地区につきましては、土地区画整理事業は平成37年度、市街地再開発事業は平成32年度の完成を目指し、一体施行で進めております。昨年10月に建築工事の始まった29階建てのビルを造る再開発事業では組合に対して必要な助言や支援を行い、また、ショッピングモールなど魅力と賑わいのまちづくりを進める区画整理事業としては、引き続き道路工事や下水道工事、宅地造成工事等を進めながら、移転補償交渉を進めてまいります。 
 また、北秋津・上安松地区のまちづくりにつきましては、組合施行による土地区画整理事業に対して、換地設計等への助言・支援を行ってまいります。とともに、埋蔵文化財の発掘調査等を実施し、記録・保存に努め、さらに、みどりの保全に配慮したまちづくりへの準備と手続きを進めます。
 日東地区のまちづくりのうち、所沢東町地区第一種市街地再開発事業(ねぎし菓子店などのある地域の再開発)では、事業地内の市道付替え工事をはじめ再開発ビルの建築工事も年度内に始まるよう、組合に対して助言や支援を行ってまいります。と同時に、ファルマン通り交差点(通称ねぎしの交差点)の改良のため、用地取得を進めます。
 また、西所沢駅西口改札の開設 につきましては、県道から送迎車用転回広場整備予定地までの市道の拡幅工事を始めるとともに、鉄道事業者と基本協定を締結し、西口改札開設の早期実現を図ります。
 ところバスにつきましては、皆さまの身近な交通手段としてご利用いただいているところですが、10月に皆さまのご意見やご要望を反映させたダイヤ改正・路線変更を行い、併せて、所沢市、東村山市をまたいだ乗り入れができるように調整を進めます。
 さらに、柳瀬川の松戸橋に面する松戸橋公園予定地につきましては、用地の取得を進めるとともに実施設計を行います。
 一方、都市計画に関する基本的な方針である「所沢市街づくり基本方針」 は、第6次所沢市総合計画等の策定状況を踏まえ、概ね20年先のまちの将来像を示すものとして、平成32年度の改定に向け事務を進めてまいります。

産業の振興

 産業の振興に対しましては、作り上げた所沢市産業振興ビジョンを着実に推進していくため 、(仮称)所沢市産業振興ビジョン推進会議を設置します。
 また、本市の立地環境を生かし、情報・通信やアニメーション・コンテンツ・ICT関連産業などの都市型産業の立地・拡大を進めるため、企業立地等奨励金を拡充するほか、新たに都市型産業等育成補助金を作って推進してまいります。
 一方、総合計画にも位置付け推進中の、三ケ島工業団地周辺、松郷工業団地周辺、関越自動車道所沢インターチェンジ周辺の産業用地創出につきましては、引き続き関係機関と協議を進めてまいりますが、ここで三ケ島工業団地周辺地区の地権者有志による発起人会が発足しましたことから、土地区画整理事業の実施に向けて地権者組織を支援し、関係機関との協議を進めてまいります。
 さらに、若松町地区につきましては、すでに市街地編入を目指して地権者有志による発起人会が発足しておりますので、準備組合の早期立ち上げを支援し、土地区画整理事業の実施を目指してまいります。また、その他の地区につきましても、年内にはその方向性を決定します。

安心・安全のまちづくり

 市民、地域・市が協力し、全ての人が安心して暮らせるまちづくりを進めます。
 災害に向けた備えとしては、台風や大雨災害に対応するよう地域防災計画を更新するとともに、昨年の台風21号の被災者支援を続けます。
 また、山口中学校西側の擁壁ようへき及び市道5-993号線につきましては、年度内完成に向け安全を確認しながら復旧作業を進めます。
 このほか、避難行動要支援者名簿は新たな情報に更新し、自治会長・町内会長、民生委員にお伝えしてまいります。 
 命を懸けたボランティア、消防団に対しましては配備から16年を迎えた第3分団の消防ポンプ車を更新し、また、防火衣の配備を引き続き進めます。
 もちろん、地域や団体で行われている防犯、防災活動など、引き続き支援してまいります。

道路・橋りょうの整備

 道路・橋りょうも整備を進めてまいります。
 都市計画道路北野下富線は、1工区と3工区(1工区はラーク所沢が面している市道3-5号線と都市計画道路松葉道北岩岡線に挟まれた470メートルの区間、3工区は立正佼成会付近から西富小学校前の主要地方道所沢狭山線までの862メートルの区間)の用地取得を進めるとともに、3工区においては、立正佼成会付近から三商団地半ばまでの215メートル分の工事を進めてまいります。
 都市計画道路松葉道北岩岡線は北所沢町交差点から北に190メートルの区間はすでに工事を進めていますが、今年5月の供用開始を目指し、新年度は確定測量を行います。さらに、その先の北野下富線と交差するまでの延長546メートルの区間につきましても、北野下富線の1工区との同時開通に向け準備を進めてまいります。  
 また、入間市と共同で進めている、三ケ島林地区から武蔵藤沢駅方面へとつながる市道4-1366号線につきましては、林地区の浅間山せんげんやま通りから入間市境までの約460メートルの区間の工事を進め、年度内の供用開始を目指します。
 また、米軍所沢通信基地を国立リハビリテーションセンターからヤオコーへと貫く東西連絡道路につきましては、平成31年度の開通を目指し、道路築造工事に着手します。とともに4度に亘る返還に取り組んできた所沢市基地対策協議会が発足50周年となりますので記念事業を実施し、さらなる基地全面返還に向けた気運の醸成を図ります。
 さらに、街路樹も老木化が進んでおり、倒木被害も年に数件発生していますことから、街路樹の適正管理のための指針を新たに策定いたします。
 続いて、橋りょうの整備です。
 台風や短時間豪雨の被害を抑えるべく埼玉県は柳瀬川の河川整備を進めております、しかし、効果を十分発揮するには清柳橋せいりゅうばしの改築が必要となりました。そこで、橋の共同管理者たる清瀬市とともに新たな橋の建築に向け取り組んでまいります。
 同じく、柳瀬川の松戸橋は幅が狭く、歩行者の危険が指摘されておりました。ここで歩道の設置に向け詳細設計を行います。また、清流苑せいりゅうえん第二の橋では、右岸の橋りょう下部工事に引き続き、左岸の工事及び橋桁の製作に着手します。
 また、新座市が整備する(仮称)大和田・坂之下橋 (柳瀬川と所沢市パークゴルフ場の9番ホール上に架かる橋)は、平成32年度の完成を目指して工事が進められております。が、この橋の設置に伴い周辺住民の安全を確保するため、県道所沢青梅線への歩道整備について、道路管理者である埼玉県に協力してまいります。

上下水道の整備

 続いて、上下水道についてです。
 「水道事業長期構想」に基づく「水道事業基本計画」「水道事業中期経営計画」が平成32年度で終了しますので、平成30年度は次なる「所沢市水道ビジョン」と「水道事業経営計画」の策定に着手してまいります。
 また、財源を少しでも確保するため、検針票とマンホール蓋を広告媒体とした広告事業を進めるとともに、宮本町にあります旧水道庁舎を更地にし、民間事業者に貸し付けて活用を図ります。
 さらに、水道通水80周年を記念して様々な啓発事業を展開してまいりましたが、今後も小学校の出前教室を行うなど、さらなる取組を進めます。
 また、老朽化した水道管を、引き続き耐久性の高いものへと布設替えするとともに、浄水場の配水池の耐震化を進めます。
 また、下水道事業では、ゲリラ豪雨や都市化による内水ないすい(浸水)被害対策として、「内水ないすい(浸水)ハザードマップ」の被害地区から120箇所を重点的に雨水ますの改良を行います。
 また、第3期市街化調整区域下水道整備事業を計画的に進めるとともに、引き続き管渠かんきょやマンホールの耐震化及び長寿命化を実施してまいります。


 以上、平成30年度の主な施策につきましてご説明いたしました。引き続き歳入予算の主なものにつきましてご説明いたします。
 まず、一般会計についてです。
 市税につきましては、景気の動向等を踏まえて推計し、518億2,784万2千円を計上いたしました。
 地方交付税につきましてはこれまでの実績や収入額などの見込みを踏まえ、普通交付税10億円、特別交付税9,000万円、合わせて10億9,000万円を計上いたしました。
 国・県支出金につきましては、補助制度の活用を積極的に進め、国庫支出金178億8,950万5千円、県支出金63億1,710万5千円を計上いたしました。
 そのほか、市債につきましては、起債対象事業等を十分に勘案して、各種建設事業債を40億4,680万円、臨時財政対策債を21億円、合わせて61億4,680万円を計上いたしました。
 また、歳入歳出の差引きに伴う財源不足額を財政調整基金からの繰入れで補ったところであります。
 以上、一般会計歳入について申し上げたところですが、特別会計及び事業会計につきましても、それぞれの事業に応じた事業収入、国・県支出金、繰入金などの収入につきまして、実績を勘案のうえ計上しております。

その他の案件

 次に、ご提案申し上げております平成29年度3月補正予算の概要につきまして、ご説明申し上げます。
 はじめに、議案第2号「平成29年度所沢市一般会計補正予算(第7号)」につきましては、民生費などにおいて不足する事業費の追加、併せて、国・県などの補助の確定、執行不用額などの調整による減額について計上いたしました。
 この結果、補正額は8億277万8千円の増額となり、補正後の予算額は1,008億1,815万7千円となるものであります。
 なお、補正予算の財源につきましては、国庫支出金、県支出金、繰入金などの追加をさせていただいております。
 また、予算第2条で繰越明許費、第3条で債務負担行為、第4条で地方債につきまして、それぞれ補正をお願いしております。
 次に議案第3号から議案第8号につきましては、それぞれの特別会計における、国庫補助金等の決定や事業費の確定等に伴う補正を行うものであります。
 続きまして条例その他の議案につきまして、ご説明申し上げます。
 初めに、条例関係についてご説明いたします。
 まず、新規制定といたしまして、議案第25号「所沢市障害のある人もない人も共に生きる社会づくり条例」など、議案第23号から議案第26号までの4件を提案しております。
 次に、一部改正といたしまして、「所沢市一般職員の給与等に関する条例」など、議案第9号、議案第10号及び議案第27号から議案第47号までの23件を提案しております。
 次に、その他の議案でありますが、議案第11号及び議案第12号は「埼玉県市町村総合事務組合を組織する地方公共団体の数の減少について」等協議2件を、議案第48号は「請負契約の一部変更について」を、議案第49号から議案第53号までは「市道路線の認定及び廃止」を、それぞれお願いするものであります。
 なお、提案理由等につきましては、それぞれ記載したとおりです。

むすび

 以上、平成30年度における市政運営の基本方針と、提出いたしました諸議案につきまして、その概要を申し上げました。
 私は、これまで「動け!所沢 紡ごう!絆」の思いを胸に、市政運営に取り組んでまいりました。
 ときに「所沢市は人口が減り続けている」と言う人がおられますが、さにあらず、年間平均人口としては少しずつ増えており、月別推移でみれば微減微増はあるものの、いずれにしても今は344,000人前後をほぼ横ばいで推移しておるのです。むしろ、生まれる人と亡くなる人の差、自然増か自然減で申しますれば、すでに自然減が始まっており、これに抗うことはできません。人口増の市を見れば、その多くは、田んぼをつぶすか上に伸びるか、新たなまちづくりにかかっており、ゆえに、人口の増減に一喜一憂する必要なしと、私は実は感じております。
 そうではなくて、所沢市としましては、東京五輪やインバウンドに浮かれることなく地に足つけて、じっくりしっかり、将来の市政運営を見通しながら、未来あすを見つめ今を動いて、進んでまいる所存です。
 具体的には、「マチごとエコタウン所沢構想」の精神のもと、その事業が、(1)地球温暖化を抑えるのか進めるのか、(2)生物多様性についてはどうなのか、(3)また、人間力を発揚するのか弱くするのか、そして、必要に迫られた福祉の中の福祉なのか、など今一度、吟味しながら、施策を具現化してまいりたいと考えております。
 これからも、市民の皆さま、議員各位、そして2,100有余の市職員とともに、 「善きふるさと所沢」を未来の子どもたちに誇りをもって引き継いでいくため、市民の新たな幸せ実現のため、全力投球で取り組んでまいります。
 議員各位におかれましては、何とぞ慎重審議のうえ、ご議決賜りますようお願い申し上げ、平成30年度の施政方針及び提案理由の説明とさせていただきます。

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