令和4年所沢市議会第1回定例会施政方針・提案説明要旨(令和4年2月17日)(全文記載)

更新日:2022年2月17日

はじめに

 本日ここに、令和4年所沢市議会第1回定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご健勝にてご参集賜り、新年度予算をはじめ市政における重要案件につきまして、ご審議いただきますこと、厚く御礼申し上げます。
 さて、市長3期目の就任後、2年と3か月が経過しました。この10年間、市長を志した原点たる東日本大震災から今日にいたるまで、原発事故、気候変動、そして新型コロナを通じて、私たちは自然からずっと問いかけられているような気がします。「人間は、万能ではないよ。そのままではいけないよ。」と。
 今回の予算編成においても、市としてこの課題に正面から向き合い、これから何をなすべきか、その先の市民の幸せとは何か、「人と人の絆」「自然との調和・共生」それらを包含する「人を中心にしたマチづくり」、そして「脱炭素」ゼロカーボンを本気で達成することを前面に打ち出すべく、熟考を重ねながら予算編成に臨ませていただきました。
 それでは、令和4年度当初予算をはじめ諸議案の審議をお願いするにあたり、市政運営に関する基本的な考え方と、予算並びに条例その他の議案について、その概要を申し述べ、議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
 
(昨年の振り返り)
 さて、昨年を振り返りますと、夏季大会として57年ぶりに日本で開催され、我々に大きな感動をもたらした東京オリンピック・パラリンピックがあげられます。所沢市民体育館から航空記念公園まで約2.4キロメートルを11組のランナーが走りつないだ聖火リレー。当日は、コース沿道、そしてセレブレーション会場に3密を避けつつ多くの方が訪れて、大会の幕開けを共に喜びました。
 所沢市民体育館がナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設に指定されているゴールボールでは、女子チームが銅メダル、男子チームが5位入賞と輝かしい成績をおさめました。これまで、小中学校延べ40校でゴールボール体験会を行ってまいりましたが、大会を通じて、競技の認知度と人気が高まったことを大変嬉しく感じております。さらに、大会には、当市ゆかりの選手8名が出場し、みな大活躍してくれました。
 また、今、開催している北京オリンピック・パラリンピックでも本市ゆかりのパラリンピックの2選手、スノーボードの小須田潤太こすだじゅんた選手とアルペンスキーの本堂杏実ほんどうあんみ選手の大活躍が期待されるところであり、本市としても駅に横断幕を掲げ広く知らしめ、応援を準備しているところです。
 そして、ホストタウンとして受け入れたイタリア共和国チームとは、大会までの交流、大会中の受け入れ等を通じて深い絆を結ぶこともできました。
 このように、コロナ禍の私たちにとって、オリンピック・パラリンピックは、夜の山道を行く旅人の目に飛び込んできた一軒の灯りのようでありました。
 しかし、そうはいっても、新型コロナ対策に奔走し続けた一年でありました。
 そのワクチン接種につきましては、高齢者や基礎疾患のある方の優先接種に続いて、教職員や保育士等へ、また、妊婦さんとその家族へと市独自の優先接種を実施し、迅速に進めてまいりました。当市における2回目の接種率は約87%に達し、昨年12月からは、3回目の接種も開始しております。そして、1月からは高齢者の前倒し接種を開始し、現在は、2回目接種後6か月を経過したすべての市民に3回目の接種を実施しております。各まちづくりセンターでは、ワクチン接種の予約支援を行うなど、市民や利用者が安心して地域活動を継続できる拠点施設としての運営に努めているところです。また、酸素ステーションも設置にこぎつけ、保健所への保健師の派遣も継続するとともに、自宅療養者へのパルスオキシメーターや食料の配送支援も進めているところです。そして、市民医療センターでは、発熱外来、新型コロナ回復後患者の入院受け入れ、飲み薬の処方と中和抗体薬療法に取り組むとともに、保育所などで陽性者が出た場合、いち早く正確な対処ができるよう、PCR検査等に駆け付け、対応をしております。
 一方、経済的な対策では、長期にわたる新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活支援を行うため、低所得の子育て世帯に対し、児童1人あたり5万円を支給するとともに、子育て世帯等臨時特別給付金として、児童1人あたり10万円の一括給付、併せて、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金の支給を行っています。また、生活困窮者自立支援金や住居確保給付金等の国の各施策の申請先をワンストップ窓口として所沢市社会福祉協議会に集約し、市と社会福祉協議会が連携して支援を行いました。また、ひきこもりがちな方々などの社会参加を支援するため、アウトリーチ支援員を配置した拠点を開設いたしました。
 個人同様に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市内事業者の事業継続を支援するため、令和2年度に引き続き「所沢元気回復プロジェクト」として、ところざわ応援食事券事業や換気促進機器導入補助金、プロスポーツチーム等との協働事業など事業者に寄り添いきめ細かな支援を実施しました。
 令和3年度は、この他にも、新型コロナ対策を中心に機に応じて対応しつつ、将来都市像の実現に向けた事業を着実に進めてまいりました。
 まず、教育・子どもの分野では、児童生徒1人に1台貸与したコンピューターなどのICT機器をきちんと活用できるよう、準備を進めてまいりました。そのために各小中学校での教育用インターネット回線をオンライン授業が円滑に行えるよう整備し、一方では、GIGAスクールサポーターを配置しました。また、「学び創造アクティブPLUS」学力向上推進事業を推進しました。
 施設整備面では、学校給食を安定的に提供するため、新学校給食センターの整備に向けた事業契約を締結しました。また、学校トイレの改修では、小学校5校、中学校1校の工事を行い、校舎1系統目の工事を全校完了させました。また、体育館のトイレの洋式化につきましても取り組みを始めたところです。また、山口中学校の擁壁も4年半かかりましたが、まもなく工事が終わり、あとは近隣建物影響調査を残すのみとなりました。
 次に、子育ての分野では、狭隘きょうあい化が課題であった小学校区において民設民営児童クラブ2クラブを開所し、併せて、小学校の教室等を改修して、泉児童クラブ、若松児童クラブ、牛沼児童クラブ、宮前児童クラブ、安松児童クラブの定員を拡大いたしました。また、1歳6か月児健診のときに絵本の読み聞かせを行い、絵本の引き換えチケットを配布することで、地域の子育て支援施設での親子同士の交流につなげる仕組みを作りました。そして、医療面では引き続き、休日、夜間、深夜帯など他の医療機関が対応できない時間帯でも、小児の初期救急医療を提供してまいりました。
 また、所沢カルチャーパークにおきましては、遊具の設置などを行い、平成5年から30年間にわたった整備を終えることができました。
 環境の分野では、ゼロカーボンシティ推進室を新設したほか、脱炭素を全庁的な取り組みとするため、庁内横断型のゼロカーボンシティ推進会議や特命チームを設置して、2030年までの仕組みづくりのための検討を始めたところです。また、市立安松保育園に太陽光発電を設置し、遊休農地の活用と太陽光発電の設置を兼ねた営農型太陽光発電(いわゆるソーラーシェアリング)を事業者と連携して市域に生み出したところです。
 また、家庭ごみの減量化と資源化をしっかり取り組んでいくために、3,500世帯を対象にした市民アンケートを行って「廃棄物減量等推進審議会」でさらなる検討を重ねていただいておりますし、清掃施設建設(東部クリーンセンター)の周辺環境整備としての下水道の布設も、ここですべて終えることができました。
 また、みどりの保全・創出としましては、里山の保全指定、みどりの公有地化を引き続き進めるとともに、市街化区域のみどりを創出しヒートアイランド現象も抑えていくみどりのエコスポットを、第一号として西住吉に整備するとともに、元町東町内会の皆様の要望にこたえ、みどりある広場保全のための土地購入も進めることができました。
 福祉・自治の分野では、「所沢市障害のある人もない人も共に生きる社会づくり条例」を推進するため、ワルツ所沢の各店舗に筆談ボードを配布し、外部への講座の実施や事業所へ補助金支給などを通じ、条例の理念実現に努めたところでありました。
 また、性的少数者、いわゆるLGBTえるじーびーてぃーの方々が日々抱えている困難を解決するため、行政や民間のサービス、社会的配慮を受けやすくする「パートナーシップ・ファミリーシップ届出制度」を新たに始めたところです。
 また、地域においては、民生委員・児童委員の活動をより一層周知するため、PRチラシを配布しましたし、「所沢市地域づくりガイドライン」を作って、各地区で説明を行い、地区の自主的な活動を促しました。
 また、「所沢市マンション管理適正化推進条例」を制定し、長期修繕計画の策定や管理状況等の届出を管理組合や分譲会社に義務付けました。今後は、さらに「所沢市マンション管理適正化推進計画」を策定して、管理計画認定制度を始めるなど、マンション政策を総合的に検討・実施してまいります。
 次に、文化・ブランドの分野です。
 街を歩くとふと音楽が聞こえてくる「音楽のあるまちづくり」として、「まちなかコンサート」や「音まちコンサート」、「エキナカコンサート」を計6回開催しました。そして、グランエミオ所沢にストリートピアノを設置できたことは多くの皆様から好評を博しております。また、町場として栄えた所沢の文化を伝える国登録有形文化財「秋田家住宅」等の整備・活用を図るため、整備活用基本方針の策定に向け協議を始めたところです。
 農業の分野では、経営規模の拡大を望む農業者に対し、約3.4haの遊休農地を引き継ぐことができました。
 続いて、行政の分野です。
 デジタル技術の活用によりサービスを向上するため「所沢市DX推進基本方針」を策定し、まずは窓口のキャッシュレス対応や庶務事務システムの導入を進めました。
 一方、災害対策としては、本庁舎をはじめ計20施設にデジタル移動系防災行政無線を、また、2か所に固定系防災行政無線を整備しました。また、埼玉県より新たな洪水浸水想定区域等が示されたことに対応し、所沢市洪水ハザードマップの内容を更新いたしました。
 上下水道に関しましては、引き続き水道管の更新、浄水池と配水池の耐震補強工事を行うとともに、雨が降ると汚水管に雨が浸入してしまう地域があるので、その対策に取りかかったところです。また、市街化調整区域の第4期整備事業につきましては、計画に沿って汚水管を布設しました。
 加えて、下水道から所沢を発信する手段として、埼玉西武ライオンズ、栗山巧くりやまたくみ選手の2000本安打達成記念マンホール蓋やポケモンがデザインされたマンホール蓋、通称「ポケふた」を設置することもできました。
 なお、被災地への職員派遣につきましては、この3月末の宮城県山元町へ派遣した女性職員の帰任をもって、11年間続けてきた東日本大震災の被災地への派遣は終了といたします。この間、東日本大震災に限らず各地の自然災害被災地に職員は出動してくれましたが、その心意気と苦労に対し、心からねぎらいを申し上げます。本当に頑張ってくれました。お疲れ様でした。
 さて、次に、健幸けんこう長寿の分野では、後期高齢者に対して「保健事業と介護予防の一体的実施事業」の一環として、後期高齢者のフレイルや認知症の進行、社会的なつながりの低下を把握し、必要なサービスへつなげるため、イベントの実施や家庭訪問を行いました。また、妊産婦を支援するため、「妊娠・出産つづけてサポート事業」を更に充実させるとともに、子どもを望む夫婦に対しては、不妊検査・治療費等助成事業を実施したところです。
 医療面では、医療・介護・福祉の連携を強化し、市民医療センターの地域包括ケア病床により在宅復帰を支援するなど、必要とされる入院機能を提供し、市民がより安心して暮らせるよう医療提供体制を充実してまいりました。また、老朽化著しい市民医療センターの今後の方向性を定めていくため、「所沢市市民医療センター再整備基本構想」の策定を進めているところです。
 そして、成長作戦、街づくりの分野ですが、5月にはCOOL JAPAN FOREST構想の一環として、「所沢市観光情報・物産館 YOT-TOKOよっとこ」を開業することができましたし、所沢駅周辺では、引き続き、日東地区まちづくり事業、ファルマン通り交差点改良事業、そして、所沢駅西口のまちづくりに伴う各事業を進めましたし、土地利用転換推進事業についても、それぞれの地区に応じた助言・支援を行うことができました。また、都市計画道路につきましても、それぞれ進捗を図り、特に、北野下富線では用地取得と1工区の工事を進めているところです。
 最後に、人を中心にしたマチづくりでありますが、三ケ島地区をモデルケースにところワゴンの実証運行を開始し、併せて、ところバスの運行ルート見直しやベンチの設置に向けた準備を行いました。また、所沢市地域公共交通計画の策定に向け基礎調査を実施し、現在その結果を分析しているところです。
 また、市民が土に触れ収穫する喜びを味わう体験農場を貸し出すとともに、利用者向け講習会を開催し、「農のあるマチづくり」を推進しました。
 また、街の中にパブリックな場を取り戻し、街を人々のものとするため、旧町地区の今後の姿や方向性を市民とともに図っていく「都市拠点土地利用デザイン推進事業」も、始めることができました。
 とともに、人口減少が進む現代であります。ゆとりある市街地を形成するため、建築物の最低敷地面積を見直すこともできました。
 以上が昨年の振り返りであります。

市政運営と予算編成の基本的な考え方

 さて、それでは、令和4年度における、「市政運営の基本的な考え方」について、述べさせていただきます。
 これまでも繰り返し申し上げてまいりましたが、東日本大震災と原発事故、それが私の市長を志した原点であります。
 「動け! 所沢 紡ごう! 絆」を合言葉に、伝えていくべきは「人と人の絆」「自然との調和・共生」であり、人間が生来もっていた「人間力」である。また、今だけ、自分だけ、いや、所沢だけにも走ることなく、未来(あす)を見つめ、今を動く。すべては未来の子どもたちからの預かり物だと心して、善きふるさとを創り、継承していく、それが私たち大人の使命である。そう信じて一貫して市政に当たってまいりました。
 新年度は、それに「人を中心にしたマチづくり」マチを人に取り戻し、人間力を頼みにして、パブリックやコモンズを再生していくこと。そして、「脱炭素・ゼロカーボンシティ」に本気で取り組んで行くこと。この2つをしっかりと意識して、市職員皆と悩み、汗かき、市民の皆様と協働して、市政を進めてまいります。
 続きまして、令和4年度の「予算編成の基本的な考え方」について申し上げます。
 日本経済におきましては、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が続いており、先行きは未だ不透明であるものの、感染対策を取りながら経済社会活動を継続していく中で、景気が持ち直していくことが期待されております。
 本市の令和4年度市税収入につきましても、固定資産税を中心に市民税も含め増収を見込んだところです。しかし、社会保障経費や公共施設の老朽化に要する経費は増加の一途であります。そのため、余裕のある予算編成とはならず、財政調整基金を例年以上に取り崩すことによって予算を編成いたしました。
 令和4年度は、マチごとエコタウン所沢を目指す本市がゼロカーボンシティへ照準を合わせて、また、「人を中心にしたマチづくり」を進めていく出発点となる1年であります。そのため、事業構築にあたってはそれらを十分意識し、あらゆる分野において、「イチ」からではなく「ゼロ」から再構築するよう、職員に求めました。そして、ゼロカーボンシティ実現のため、「今やるべきこと」には優先的に予算を配分したほか、コロナ禍にあっても市民サービスを安定的に供給することを基本とし、真に必要な行政サービス・事業にメリハリを付け、重点配分いたしました。
 以上を踏まえ、令和4年度当初予算も「一件査定方式」を採用し、その結果、一般会計の総額としては、過去最高の1,103億3,000万円となりました。
 市民生活を守り、新型コロナ対策を行うとともに、ゼロカーボンシティ実現に向けた未来への投資となる事業費をはじめ、民生費や教育費などにもしっかり配分し、充実した事業実施を目指したものであります。
 名付けて、「未来(あす)を照らし、みんなで歩む予算」といたしました。

令和4年度予算の概要

 次に、令和4年度予算の概要を申し上げます。
 一般会計では総額1,103億3,000万円となり、前年度比2.7%、29億3,000万円の増、また、特別会計、事業会計を加えた全会計の合計は、2,002億5,663万9千円となり、前年度比2.7%、53億145万5千円の増となりました。
 一般会計が29億円強も増えた主な理由としては、歳出の約半分を占める民生費が社会保障経費を中心に約18億円増額となったことや、松井まちづくりセンターLED化及び空調設備改修工事を始めとする公共施設の老朽化に伴う工事費や修繕料の約6億円の増額が挙げられます。また、個別には、約4億円に及ぶ各種施設のLED化関連経費や第2一般廃棄物最終処分場をつなぐ下水道布設費約2億3千万円の計上も増額の要因でありますし、一方、「所沢市観光情報・物産館 YOT-TOKO」や山口中学校既存擁壁改修工事の完了は減額の要因でありました。
 なお、歳入につきましては、市税や各種交付金を社会情勢などに合わせて見積もるとともに、市債や基金繰り入れなども活用して、未来の子どもにつけを残さぬよう勘案しながら対応いたしたところです。
 それでは次に、公約に掲げてきた6つの柱、それらを下支えする成長作戦、そしてこれら全体を覆うテーマ「人を中心にしたマチづくり」に沿って、主な施策をご説明いたします。

1「教育・子ども」日本一、子どもを大切にするマチ所沢 

 1つ目の柱は、「教育・子ども 日本一、子どもを大切にするマチ所沢」であります。子どもを大切にするとは決して甘やかすことではありません。子どもを大切にするとは、子どもと向き合い、伝えるべきは伝え、最後まで面倒を見る、温かさと厳しさを背景にしたものであります。
 自分は大切な存在で、やっぱり頑張るんだ。子どもたちが自己肯定感をもって、たくましく成長できるよう、学校を中心に努力してまいります。
 まず、令和4年度も人的支援を進めます。地域の子どもは地域で学ぶ、これまでもできる限り特別支援学級の設置に努めてまいりましたが、新年度も2つの学級の増設をし、心身障害児介助員も増員します。また、引き続き、県採用のスクールカウンセラーとともに市でも採用して、校内の教育相談体制のより一層の充実を図ってまいります。
 加えて、ICTを活用した、より質の高い授業を進めていくため、ICT支援員を配置してまいります。以上、これら市独自の先生や職員、総勢299名体制で学校教育を支援してまいります。
 また、学校を代表する中学生がオーストラリアでファームステイを経験する「中学生海外文化交流派遣事業」につきましては、令和5年度には、派遣する中学生の人数を倍増すべく、その準備を進めてまいります。
 学校施設の整備につきましては、全市的に、ここで小学3年生まで35人学級になることに伴う教室改修を進めるとともに、築40年以上を経過し老朽化が著しい南陵中学校につきましては、校舎内の学習環境の整備及び長寿命化を目的に、森林環境譲与税に基づく森林環境基金を活用しながら、木質化を含む校舎内部改修のための設計を進めます。
 また、学校校舎のトイレの洋式化、バリアフリー化につきましては、ここで1系統目が終わりました。令和4年度からは2系統目の設計を小中学校合わせて3校、改修を小中学校各1校で開始します。また、屋内運動場(体育館)のトイレにつきましても小中学校合わせて12校の設計と、小学校8校、中学校4校の改修工事を順次進めてまいります。そのほか、屋内運動場の床改修を小学校2校、中学校1校で行うとともに、小手指中学校の自転車置き場へ屋根を設置いたします。
 また、学校給食センターの再整備につきましては、PFI方式により建設、運営の委託先が決まりました。維持管理運営は令和20年度までの委託、令和6年4月の給食提供開始に向けて新年度は既存建築物の解体、新センターの設計、建設を進めてまいります。
 なお、かねてより誘致してまいりました小・中・高一貫校でありますが、私立開智学園、令和6年4月の開校を目指し、準備が進んでいることも申し添えます。
 子育て支援につきましては、大規模化、狭隘化の著しい4つの児童クラブ、(小手指・上新井・北秋津・中富小の4つの児童クラブでありますが)既存施設の活用のほか小学校の教室を改修して、定員を拡大してまいります。
 新型コロナウイルス感染症が拡大する中、最前線で働いている民間保育園の保育士や新制度幼稚園の教諭等に対する処遇改善につきましては、月額23,500円の市単独補助に加え、保育士等処遇改善臨時特例交付金を活用しながら、賃金引上げ措置を行い、また、児童クラブの支援員につきましても、同様に措置します。私立幼稚園等につきましては、引き続き保護者に対して補助金を交付し、低所得世帯及び多子世帯を支援してまいります。
 また、こども相談センターに「子ども家庭総合支援拠点」を新たに設置し、継続的なソーシャルワーク業務の充実及び児童虐待防止に集中して対応します。また、発達支援につきましても、こども支援センター発達支援エリアマーガレットで早期発見早期療育を図るとともに、引き続き、保育園・幼稚園への巡回支援を充実させてまいります。
 また、安易な運用を絶対に排したうえで、保護者の疾病などで、いかなる手を尽くしても養育が困難という状況に陥った時、市の信頼する里親に(原則7日間以内ですが、)養育・保護をお願いできるよういたします。
 そして、市民医療センターでは、他の医療機関が診療を実施していない休日や夜間の小児初期救急医療を引き続き担ってまいります。

2「環境」エネルギーの自立、マチごとエコタウン所沢

 次に、2つ目の柱は、「環境 エネルギーの自立、マチごとエコタウン所沢」であります。
 2050年までに二酸化炭素の排出をプラスマイナスゼロにする、脱炭素の宣言は、未来の子孫に対する今の大人の約束です。市も世界首長誓約を始めゼロカーボンシティ宣言と、その約束をいたしました。その高い目標を達成するには、逆算して20年、すなわち2030年までには、あらゆる方面での条件整備を整えておかねばならないようです。そして残りの20年間で、その効果を発揮し続けゼロカーボンへと近づけるのです。
 行政だけではできないことです。企業も市民も、すべての人がその必要性を心から理解して、「自分ごと」として行動していくことが不可欠です。市民が知って市民が理解し市民が行動する。自分事として行動する。そのためにまず「マチごとゼロカーボン市民会議」を開催します。無作為抽出で集まった市民が気候変動対策について話し合う会議は、ヨーロッパで試みられた手法ですが、所沢でも必ずできる。会議での結果を、環境審議会の議論につなげ、2か年かけて「所沢市マチごとエコタウン推進計画」を改定してまいります。
 また、こういう新しい発想、施策の大転換につきましては職員自身が得心し、長期的視野に立って施策を進めていかねば実を結ぶことはできない、と思い至っております。そこで、先進都市たるスペイン王国バルセロナ市に市職員が赴き、「スーパーブロック」の形成など持続可能な都市計画や実践手法とはいかなるものか、いかにして市民合意は成されたのか、ハードからソフトまで革新する現場を己が目と耳で学び、体得することで、脱炭素、車から人へ、持続可能なマチづくりへつながる第一歩とさせるものです。
 以上が、今後のゼロカーボンに向けた、いわば土壌づくりだと仮定すれば、今からでもやれることはやっていく、コツコツと苗木も植えていきたいものです。すなわち、国が示した地域脱炭素ロードマップに示した取組方針をもとに、太陽光発電設備は、どこの施設にいつ設置するのか、照明設備はLEDにどこでいつ換えるのか、それらを定めた計画づくりに着手してまいります。
 また、一方では具体的に、小手指まちづくりセンターと明峰、三ケ島両小学校で屋上防水工事に合わせて太陽光発電を設置するため、その設計を進めます。
 また、照明のLED化といたしまして、松井まちづくりセンター、小手指公民館分館、東所沢駅ロータリーや、校庭に学校開放用の照明がある小学校1校、中学校5校の照明灯をLEDに換えていきます。また、小学校8校、中学校4校の屋内運動場の照明もLED化いたします。そして、令和5年度には残る小中学校全校の屋内運動場をLED化していきます。
 このほかにも、本庁舎で電動アシスト付き自転車を導入したり、実証実験中の民間シェアサイクルを公務にも利用して、車から自転車利用へシフトを試みてまいります。
 また、上下水道局内におきましても、庁舎の電気自動車用充電コンセントを増設し、令和4年度以降次世代自動車を順次導入してまいります。
 次に、みどりの保全につきましては、未来の子どもたちにふるさと所沢のみどりを継承していくため、市内の市街化調整区域に残された貴重な緑地、くぬぎ山特別緑地保全地区、上山口堀口天満天神社周辺里山保全地域、荒幡富士市民の森、三ケ島二丁目里山保全地域内の緑地及び荒幡地内の保存樹林指定地内の合計1.51haを公有地化して保全をすすめてまいります。また、市街化区域におきましても北秋津周辺保全配慮地区に位置付けられた都市緑地を用地取得し、保全を進めてまいります。
 また、生物多様性を保全するため、その象徴としてのホタルやミヤコタナゴだけでなく、オオムラサキの生態等につきましても調査を進めてまいります。そうやって所沢本来の自然の復活を目指します。
 そして、もったいないの心の実践、資源循環の分野としては、捨てればごみ分ければ資源、の基本に返り、ごみ分別の徹底、特に、家庭から出る燃やせるごみの重さにして4割を占める生ごみの減量に向け、施策を進めてまいります。まずは、家庭で簡単にできる方法の普及啓発や処理機器への奨励金の拡大により、さらなる生ごみ減量につなげていきます。また、地球を痛めつけないよう、さらなる減量、資源化に向け、引き続き、廃棄物減量等推進審議会で審議していただきます。
 加えて、令和7年度には受け入れを開始するため第2一般廃棄物最終処分場の設計・本体工事に順次着手してまいります。

3「福祉・自治」人と人との絆を実感できるマチ 所沢

 柱の3つ目は、「福祉・自治 人と人との絆を実感できるマチ 所沢」であります。民生費は、令和3年度も令和4年度もそれぞれ前年度と比較すれば、約18億から19億円ほど増え続けている現状です。その中で、何とか全体のサービスを維持しているところです。
 さて、本市独自で制定した条例「障害のある人もない人も共に生きる社会づくり条例」につきましては、多方面に本来展開すべきことでありますが、令和4年度は障害への理解の深まりと文化芸術活動の視点から、障害のある人もない人も共に参加する、ワークショップを開催します。
 また、新年度もゴールボールのナショナルトレーニングセンターとして指定されている市民体育館は、引き続き日本代表が国際大会等で活躍できるよう、練習環境の整備に努めてまいります。
 また、重い精神障害のある方が住み慣れた地域で生活していけるよう精神障害者アウトリーチ支援事業を継続しつつ、新たにピアサポーターの養成、思春期精神保健及び精神疾患の早期支援にかかる相談支援を実施してまいります。
 生活困窮者の自立につきましては、引き続き、就労準備支援事業の実施や、社会参加に向けた訪問型支援活動を継続してまいります。
 また、成年後見制度についてのさらなる推進を図るため、相談機能の充実等に努めてまいります。
 一方、子ども医療費、ひとり親家庭等医療費、重度心身障害児等医療費の福祉3医療につきましては、今までは窓口負担なく受けられるのが市内医療機関のみでありましたが、令和4年10月からは子ども医療費と重度心身障害児等医療費が、令和5年1月からはひとり親家庭等医療費が、それぞれ市内だけでなく県内多くの医療機関でも窓口負担なく受けられるように変わります。
 その他、第8期高齢者福祉計画・介護保険事業計画におきましては、地域包括支援センターの円滑な運営や高齢者の生活上の困りごとに地域資源を活用して解決できるよう、引き続き検討してまいります。
 次に自治についてでありますが、自治はやはり民主主義であり支えあいであり、まちづくりの原点であります。市としては「所沢市地域がつながる元気な自治会等応援条例」を作るなど、その活動を後方支援してまいりました。また、各自治会・町内会の皆様も地域の人々の幸せのため、コロナ禍にあっても懸命に活動をされております。しかし、それでも加入率は約60%にとどまっている現状です。
 新年度では、小学生を対象としたポスター展に加え新たに小学校へ出前講座を行うなど、自治会・町内会、また、地域づくり協議会の活動、設立支援を行ってまいります。
 なお、4月から施行する「所沢市マンション管理適正化推進条例」につきましては、条例に基づき管理状況の把握を行い、必要に応じてマンション管理士などアドバイザーを派遣するとともに、要支援マンションには専門家団体による重点的な支援をします。また、管理計画認定制度を始めることで、管理組合による自主的な管理水準の向上を図ります。

4「文化・ブランド」文化の風 薫るマチ 所沢

 4つ目の柱は、「文化・ブランド 文化の風 薫るマチ 所沢」であります。
 本市の強みは、やはりみどりと、そして、文化だと思っています。農村文化、町民文化、市民文化をそれぞれ擁し、高校、大学、企業とも文化芸術で連携ができる本市の優れた潜在力は、やはりこれを活かすべきです。
 まず、市民の文化芸術への関心を高め、若手芸術家の創作活動を支援するため、前途ある、本市ゆかりの若手作家を中心とした若手芸術家作品展「ところざわアートのミライ」を開催します。
 また、国の登録有形文化財「秋田家住宅」等の整備活用につきましては、引き続き協議を進め、令和4年度中には整備活用基本方針を策定してまいります。
 一方、3年前、フランス航空教育団来日100周年記念イベントで紡いだ縁を次の100年につなげるべく、短編映画の製作やイベントを実施し、日仏交流の更なる推進を図ります。また、東京オリンピック・パラリンピックでの受け入れ活動がきっかけで交流が始まったイタリア共和国、そのティエーネ市とは、相互に訪問団を受け入れ、文化交流を深めていきます。実は、ティエーネ市、1920年にローマ・東京間飛行を成功させたパイロット、アルトゥーロ・フェラーリンの出身地であり、本市と同じく航空に深い関わりのある町です。また、フェラーリンは、宮崎駿監督の作品「紅の豚」の登場人物のモデルとなった方でもありまして、その点でも縁に結ばれた都市となります。
 また、COOL JAPAN FOREST構想では、文化の会社KADOKAWAと、教育部門やeスポーツでの連携など、これからも様々な分野でタッグを組んで構想を進化させてまいります。
 さて、農産物の中でも全国にも有名なさといもの生産に対しましては、安定した生産と品質向上を目指すため、新たな支援を行ってまいります。また、「所沢市観光情報・物産館 YOT-TOKO」でのイベント等を活用し、所沢農産物や市内直売所を広くPRしてまいります。
 また、今後は、我々の消費行動こそが店を支え、生産者を支えるという側面を重視して、地産地消は言わずもがな、「地消地産」の精神を広めていければ、と思っております。
 このほか、特産品である狭山茶はちゃ香炉こうろを公共施設やイベントで活用して、PRしてまいります。

5「行政」超親切な市役所 所沢

 柱の5つ目は、「行政 超親切な市役所 所沢」であります。
 常日頃から、職員には「公務員は市民のためにある」のプライドで120%の力を発揮していこうと伝えております。一人ひとりの市民の気持ちに寄り添い、福祉や環境、教育等、幅広い分野の施策をデジタル技術も活用して、さらに充実させ、質の高い行政サービスと業務の効率化を進めてまいります。
 令和4年度につきましては、デジタル社会の基盤であるマイナンバーカードを、まちづくりセンターや企業等に出向いて申請を補助し、予約枠も拡大するとともに、市民がマイナンバーカードで手続きができるよう体制を整備してまいります。
 また、令和5年春に施行される個人情報保護法の改正に鑑み、制度に関する職員研修等を行うほか、引き続き監査を実施し法の順守を徹底してまいります。
 また、膨大化してしまった地域防災計画をより簡潔で実効性あるものとするため抜本的に見直すとともに、防災行政無線を新たに3か所整備し、消防団につきましては団員の処遇改善を行ったうえで、第7分団の詰所新設工事と消防ポンプ自動車の更新を行うことで、ハード・ソフト両面から地域防災力の充実強化を図ります。
 また、まちなかでは、賑わいの中にも安心して歩くことができるよう、引き続き警察や商店街振興組合などと連携を図り、実効性を上げられるようプロぺ通りの客引き対策に取り組んでまいります。
 公共施設に関しましては、今後、計画に基づいて長寿命化工事をしていかなくてはなりません。それに先立ち、直近で工事を予定する小学校3校に対し、コンクリート圧縮強度等の事前調査を行います。また、市役所本庁舎でも引き続きエレベーターの改修を行うとともに、空調設備等を改修するための設計を実施します。
 また、市営住宅につきましては、民間資本・技術の導入の観点も含め多面的に調査し、マネジメント計画の策定を進めます。
 上下水道につきましては、引き続き、災害に強いライフラインを構築するため、水道、下水道事業の各計画に基づき、老朽化した管路の更新、施設の耐震化や維持管理を進めるとともに、雨水対策に取り組んでまいります。また、雨水がどうしてもはけない箇所について新年度も引き続き210か所をピックアップし、雨水桝の浸透化を進めます。また、第4期市街化調整区域下水道整備事業は残り3年、あと27.5haとなりましたが、計画的に事業を進めてまいります。
 なお、コロナ禍により再延期となった「第10回マンホールサミットin所沢」でありますが、今年こそと秋の季節に、ところざわサクラタウンで開催します。
 また、水道通水85周年を記念し、西部浄水場を入間航空祭見物のために限定開放いたします。
 選挙に関しましては、7月任期満了の参議院議員選挙におきまして、投票所の感染症対策、バリアフリー化に取り組むとともに混雑緩和を図るため、期日前投票を含む投票所を拡充して、環境整備と投票率の向上に努めます。
 また、平成22年、中核市への移行を踏まえた検討を行い、市自らは設置しないという結論に至っている保健所であり、私もそれを尊重するものでありますが、コロナ禍の収束が見え次第、県と市の担うべき役割を整理したうえで、再検証してまいります。

6「健幸長寿」思わず歩きたくなるステキなマチ 所沢

 そして、6つ目の柱、「健幸長寿 思わず歩きたくなるステキなマチ 所沢」であります。
 まずは、感染拡大を抑制するため、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を滞りなく進めてまいります。その上で、外出自粛や交流機会の減少が顕著な中、それでも身体的・精神的な健康状態の悪化を招かぬよう「トコトコ健幸マイレージ」の一層の周知を図り、密を避けながらでもできる、歩くことによる健康づくりを進めます。
 また、身体的・心理的なケアを必要とする出産後1年までの母と子には、これまでの宿泊型に加え、新たにデイサービス型の産後ケア事業を実施します。
 妊産婦に対しましては、出産前の妊婦健康診査費用の助成に加え、産後うつの予防や虐待予防の観点から、産婦健康診査費用の助成を実施し、産後初期の支援を強化してまいります。
 子どもに対しましては、3歳児健康診査に際しまして、新たに視力の屈折検査を実施して、弱視の早期発見に努めてまいりますとともに、受診者全員に市内協力歯科医院でできるフッ化物塗布券を配布し、虫歯の予防につなげてまいります。
 その他、特定健康診査の受診率向上を図るなど、「第2次所沢市保健医療計画」に基づき「健幸長寿のマチ」の実現に向け、さまざまな取組みを進めてまいります。
 また、スポーツの振興の一環としては、新たに狭山湖運動場に防球ネットとバックネットを設置して、利用の機会を増やすとともに安全面確保、利便性向上を図ってまいります。
 また、弓道場の射場しゃば不足を解消し、利用者の活動の場を確保するため、北中運動場の敷地の一部を所沢市弓道連盟に弓道場用地として貸付けます。
 なお、先ほど市民医療センター再整備基本構想を策定中と申し上げました。が、この3月中には策定を終え、それを具体に落とすための「市民医療センター再整備基本計画」を令和4年度から5年度にかけて策定してまいります。

7「成長作戦」動き出した街づくりを成功させます!

 以上、6つの柱の具体的な事業の、その概要を述べさせていただきました。が、これらを着実に進めるにはやはり税収の下支えが必要です。
 所沢市は、お年寄りが大切にされ、子どもたちが自然の中でたくましく育つ環境を保ちたい。30年後も福祉を維持し、教育を充実したい。そのためにメリハリつけて街づくり、働く場づくり、賑わいづくりを進めてまいります。

 令和4年度は、産業の基礎力を整えるため、産業振興ビジョンの改定や、商工会議所と共同で事業継続力強化支援計画を策定してまいります。

 また、街づくりとして、日東地区の市街地再開発事業としましては、歩道空間利用にも対応した各種道路整備を進めるとともに、ファルマン通り交差点の改良工事と無電柱化を一体的に進めて、人が憩い、出会う場としてのマチづくりを推進してまいります。

 所沢駅西口につきましては、市の表玄関にふさわしいまちづくりとして、土地区画整理事業と市街地再開発事業の一体的施行を進めておりますが、引き続き地域住民の協力をいただきながら事業を進めてまいります。また、歩行者デッキの整備を進めるとともに、開かずの踏切解消のアンダーパス工事、所沢駅ふれあい通り線道路築造事業につきましても、年度当初に認可を受け、秋ごろには西武鉄道と協定を結び、残された用地購入と合わせて整備を進めてまいります。

 また、所沢市では3つの地区で働く場づくり、4つの地区で住む場づくりを進めております。
 働く場づくりの3地区のうち、三ケ島工業団地周辺地区では、区域も定まり、来年度末の事業認可及び市街化区域編入への都市計画決定に向け手続きを進めてまいります。とともに、企業誘致活動に取り組んでまいります。
 また関越自動車道所沢インターチェンジ周辺地区につきましては、事業として実現可能な区域を検討していくため、発起人会に対し助言・支援等を行ってまいります。
 一方、住む場づくりとしての区画整理につきましては、人口減少時代だからこそ、脱炭素やみどり保全など特色を持った街づくりでなくては、と考えております。
 既に事業が進む北秋津・上安松地区及び若松町地区につきましては、その観点を踏まえつつ事業が円滑に進むよう助言・支援を行ってまいります。また、下安松東地区につきましては、来年度末の事業認可及び都市計画決定に向け手続きを進め、また、上安松・下安松西地区につきましても、事業認可に向けて助言・支援を行ってまいります。
 一方、都市計画道路も進めております。北野下富線につきましては、1工区と松葉道北岩岡線の令和5年度同時開通を目指して、新年度は1工区の用地取得と道路工事を行います。更に西武新宿線をまたぐ4工区の整備を進めるため、用地取得と仮設工事を実施してまいります。松葉道北岩岡線につきましては、地下埋設物の工事が完成しましたので歩道の整備を進めてまいります。
 上藤沢・林・宮寺間新設道路は、3工区について用地取得を進め、清柳橋改築事業につきましては、新たな橋と一般県道所沢青梅線を結ぶ市道1-900号線の道路改良工事を行ってまいります。
 また、「所沢市観光情報・物産館 YOT-TOKO」はより効果的な活用を探るとともに、その西側前面道路に歩道を整備してまいります。また、自転車レーンを、カルチャーパーク通りに整備してまいります。
 そして、西所沢駅西口改札口の開設につきましては、鉄道事業者との1日も早い基本協定・基本設計協定をなんとしても締結し、西口改札口及び駅前広場の設計、関係機関との協議等を行ってまいります。

8「人を中心にしたマチづくり」

 最後に、「人を中心にしたマチづくり」です。これは人間中心という意味ではなく、人間の本来持っている人間力を頼み、ルールやシステムで対応するより人間の持つ賢い知恵や支え合いで解決し、コミュニティを大切に、社会みんなのものといえる空間や場や機能(パブリックでありコモンズであり社会的共通資本とも表現されると思いますが)それらの存在を見直して、街を車から人に取り戻し、車がなくても歩いて過ごせるマチ、自然と調和した営みを目指すもので、「マチごとエコタウン」の理念と同じ、市全体の施策を覆うテーマと考えております。
 ただ、「人を中心にしたマチづくり」、意味することの範囲も広く、漠として理解しづらく、なかなか施策が進みません。そこで、庁内に「(仮称)人を中心にしたマチづくりプロジェクトチーム」を立ち上げて全庁的に今後取り組んでまいります。
 まず、具体的にはベンチを、ところバスやところワゴンのバス停なども含めて市内計100か所の設置を目指してまいります。また、市道5-1016号線、通称さくら通りを街路樹の桜も大切に安心して歩けるよう歩道空間などを整備したり、東川沿いの遊歩道を桜を愛でながらゆったりと憩えるよう桜の剪定や遊歩道の維持管理をしたり、さらに砂川堀の散策路を、三ケ島橋から寺山橋の間はもちろん、続けて寺山橋の下流約450mまで自然をそのままに散策路を整えて、歩いて暮らせるマチ、歩きたくなるマチに近づけてまいります。
 また、今、実証実験中のシェアサイクルでありますが、66か所あるステーションを民間企業に働きかけて倍増を目指します。
 更に、歩いて暮らせるマチ、歩きたくなるマチ実現のため、地域公共交通を充実します。本市にとって望ましい地域公共交通の在り方を検討し、市民の意見も反映した「所沢市地域公共交通計画」を令和4年度中に策定するとともに、現行のところバス新所沢・三ケ島ルートの見直しや増便をいたします。また、ところワゴンの実証運行を新たに柳瀬地区に、続いて富岡地区にも、車が手配され次第とはなりますが、導入するよう準備を進めてまいります。
 一方、コンパクト・プラス・ネットワークを念頭に、公共の施設や空間をより適切に配置していくため、立地適正化計画策定のための検討をしてまいります。
 また、「所沢駅周辺グランドデザイン」に基いて、パブリック空間を活用した社会実験を継続しながら、人が出会い人が憩い人が巡る、歩きたくなる街づくりを関係各課連携して追求してまいります。
 また、昭和にできたタウン再生の取り組みの一環として、(これは東京藝術大学 藤村龍至ふじむらりゅうじ准教授とともに地元の街づくり協議会が進めているものですが)椿峰地区における地区計画づくりを支援してまいります。
 そうやって「人を中心にしたマチづくり」これを進めてまいります。
 以上、令和4年度の主な施策につきましてその概要をご説明いたしました。

その他の案件

次に、令和3年度3月補正予算の概要につきまして、ご説明申し上げます。
 はじめに、議案第1号「令和3年度所沢市一般会計補正予算(第12号)」につきましては、民生費などにおいて不足する事業費の追加、併せて、地方交付税の追加交付、国・県などの補助の確定、執行不用額などの調整による減額について計上いたしました。また、元町東の子ども広場を公有地化するにあたりまして、地元町内会からいただいた寄附金を計上しております。
 この結果、補正額は8億9,414万1千円の減額となり、補正後の予算額は1,252億6,394万4千円となるものです。
 なお、補正予算の財源につきましては、国庫支出金、県支出金、繰入金及び市債などで調整をさせていただいております。
 また、予算第2条で繰越明許費、第3条で債務負担行為、第4条で地方債につきまして、それぞれ補正をお願いしております。
 次に議案第2号から議案第8号につきましては、それぞれの特別会計及び事業会計における、国庫補助金等の決定や事業費の確定等に伴う補正を行うものであります。
 また、条例その他の議案につきましては、まず、一部改正として、「所沢市職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例及び所沢市職員の育児休業等に関する条例」など議案第21号から議案第27号までの7件を、次に、条例廃止として、議案第28号「所沢都市計画事業狭山ケ丘駅東口土地区画整理事業施行に関する条例」を、それぞれ提案しております。
 また、その他の議案といたしまして、議案第9号は「規約変更」を、議案第10号は「請負契約の変更」を、議案第29号は「請負契約の締結」を、議案第30号は「市道の管理方法」を、議案第31号から議案第33号までは「市道路線の認定及び廃止」を、それぞれお願いするものであります。
 なお、提案理由等につきましては、それぞれに記載したとおりです。

むすび

以上、令和4年度における市政運営の基本方針と、提出いたしました諸議案につきまして、その概要を申し上げました。
 東日本大震災と原発事故、そして、新型コロナを経験した私たちだからこそ、人間万能主義ではなく自然との調和・共生へ、また、成長発展一辺倒ではなく成熟へ、そして分断ではなく連帯、包摂、支え合いへ、ベクトルをしっかり定めて、「動け! 所沢 紡ごう! 絆」これまでの動きを止めることなく、物事を進めてまいります。
 そして、市民の皆様、議員各位、市職員とともに、「善きふるさと所沢」を未来の子どもたちに継承するため、市民の新たな幸せ実現のため、力を尽くしてまいります。
 議員各位におかれましては、慎重ご審議のうえ、ご議決賜りますようお願い申し上げ、令和4年度の施政方針とさせていただきます。
 ご清聴誠にありがとうございました。

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