令和5年所沢市議会第1回定例会施政方針・提案説明要旨(令和5年2月20日)(全文記載)

更新日:2023年2月20日

はじめに

 本日ここに、令和5年所沢市議会第1回定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご健勝にてご参集賜り、新年度予算をはじめ市政における重要案件につきまして、ご審議いただきますこと、厚く御礼申し上げます。
 さて、市長3期目の就任後、3年と3か月が経過しました。この11年間、市長を志した原点たる東日本大震災から今日にいたるまで、私たちは、原発事故、気候変動、そして新型コロナと様々な災厄を経験してまいりました。が、それは私たちへの警告=「人と人の絆」人は人とつながってこそ幸せなのだ、また、「自然との調和・共生」生き方を見直し、自然に対しもっと謙虚に共生していかねばならないのだ、と覚悟して、施策を進めてまいりました。
 今回の予算編成においても、市としてこの課題に正面から向き合い、「人と人の絆」「自然との調和・共生」それらを包含する「人を中心にしたマチづくり」、そして「脱炭素」ゼロカーボンを本気で達成すべく、熟考を重ね、予算編成に臨ませていただきました。
 それでは、令和5年度当初予算をはじめ諸議案の審議をお願いするにあたり、市政運営に関する基本的な考え方と、予算並びに条例その他の議案について、その概要を申し述べ、議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
 
(令和4年度の振り返り)
 さて、令和4年度を振り返りますと、未曽有の猛威を振るった新型コロナウイルス感染症の拡大に加え、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した原油価格・物価高騰の波が押し寄せ、市民生活に大きな影響を及ぼしました。
 まず、本市では、エネルギーや物価等の高騰を踏まえ、国の決定を受け、低所得の子育て世帯に、児童1人あたり5万円の生活支援特別給付金を支給するとともに、住民税非課税世帯等に対しても、1世帯につき5万円の緊急支援給付金を支給しているところです。
 また、市独自の支援としては、子どものいる家庭には、小中学校の学校給食費を9月分から12月分の4か月間無償とすると同時に、保育園、幼稚園児の給食費高騰が保護者の負担増につながらないよう対応をいたしました。また、現在も、0歳から18歳までの子育て家庭に対し、対象者1人あたり2万円分のデジタルギフト等を支給しているところです。
 また、市内水道利用者に対し、9月、10月検針分の2か月分の水道基本料金を免除するとともに、生活保護世帯に対しては、おこめ券を配布して、生活を支えてまいりました。
 一方、事業者向けの支援としては、保育施設や放課後児童クラブ運営事業者に対して、補助金を交付することで、安定した運営を継続できるよう支援してまいりました。
 併せて、燃料・ガソリン代などの高騰に苦しむタクシー、バスの交通事業者、トラック輸送の貨物運送事業者、そして、農業生産者に対しても支援金などを給付しました。
 一方、市民の活動という面では、様々なイベントが少しずつ再開された年でありました。
 市民フェスティバルには2日間で30万人、ところざわまつりは18万人、そして、「第10回マンホールサミットin所沢」では、サクラタウン開場以来最高の約14,000人にご来場いただき、コロナという長いトンネルの先に明るい光が差し込んできたような、そんな思いになったものです。
 国際友好の道もコロナ禍ではありましたが、つなぐことができました。姉妹都市アメリカのディケイター市とは、高校生の交流は叶いませんでしたが、姉妹都市締結55周年として、市を代表し、11月に副市長と所沢市国際友好委員会委員長が現地を訪問させていただきました。
 また、イタリアのティエーネ市とは、航空の縁でお声がけいただき、7月に市としてティエーネ市を訪問し、文化・芸術をはじめ様々な分野で継続的に交流していくことで合意してまいりました。
 さらに、持続可能なマチづくりに対して自らの五感で先進地に学ぶため、スペイン王国バルセロナ市に職員を派遣しました。
 令和4年度は、この他にも、社会情勢の変化に柔軟に対応しつつ、今まで以上に職員総動員で横断的に事業を進めてまいりました。
 まず、教育の分野では、学校・家庭・地域が一体となり、総がかりで学力向上の取組をさらに推進していく「学び創造アクティブPLUSぷらす」学力向上推進事業や、4名のスクールカウンセラーを小中学校に派遣し、校内の教育相談体制の充実に努めました。
 学校給食センターの再整備では、既存建物の解体、設計、建設工事を進めました。また、学校トイレの改修では、校舎2系統目となる工事を小・中学校で各1校、さらに体育館トイレの改修も新たに開始し、小学校8校、中学校4校の工事が令和4年度内に完了します。
 また、中止されていた子ども写生大会を「アート・プレイ・デイ」としてサクラタウン周辺で再開することができました。
 子育ての分野では、1歳6か月児健診のときに絵本の読み聞かせを行い、絵本の引き換えチケットを配布して地域の子育て支援施設に来てもらうことで、親子同士の交流につなげることができました。
 また、保育需要の変化に対応するため、防衛医科大学校の保育施設を地域型保育事業所と認定すべく、手続きを進めました。
 そして、放課後児童クラブにつきましては、第二上新井、北秋津、中富小児童クラブの令和5年度からの定員拡大に向け、小学校の教室等の施設改修を実施いたしました。
 環境の分野では、公共施設に太陽光発電設備をさらに導入するため、市内約20施設の現地調査を行い、導入計画及び調査報告書を作成しているところです。
 また、二酸化炭素の排出を抑え、光熱費を削減するため、小学校8校、中学校4校の体育館と武道場の照明をLEDに換えたところでもあります。
 さらに、2050年カーボンゼロを自分事としてとらえ、実践に移し、それを市民全体に広めていくため、「マチごとゼロカーボン市民会議」を全5回にわたって開催いたしました。
 また、生物多様性の保全につながる「30さーてぃbyばい30さーてぃ目標」に参加を表明したのですが、それらを含めて本市のこれまでの先導的な環境政策が高く評価され、4月には、国会の衆議院環境委員会の参考人として、また11月には、エジプト・アラブ共和国で開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COPこっぷ27)に世界首長誓約自治体の代表として、それぞれ本市の環境施策を世界に発信することができました。これは市職員や市民の取組の結果であり、さらなる前進が地道に行われていけばと願うものです。
 みどりの保全につきましては、北秋津周辺保全配慮地区に位置付けられた貴重なみどりを保全するため、株式会社スタジオジブリの協力を得て、映画「となりのトトロ」の背景画5点の複製画を作成し、購入型クラウドファンディングにより多くの方からご支援をいただきました。また、市街化区域にみどりを創りヒートアイランド現象も抑えていく「みどりのエコスポット」を、北中地区に新たに設置いたしました。
 次に、福祉の分野では、「所沢市障害のある人もない人も共に生きる社会づくり条例」を推進するため、障害への理解と文化活動の視点から、障害のある人もない人も共に参加するワークショップを開催いたしました。
 所沢市あったかサポートセンターでは、所沢市社会福祉協議会をワンストップ窓口とすることで、生活困窮者の情報を集約し、より効率的に支援を展開するとともに、あったかサポート「りーち!」において、ひきこもりがちな方々の社会参加に向けた支援を実施いたしました。
 また、高齢者福祉につきましては、生活支援体制整備事業として、地域の困りごとを解決するため、「移動スーパーによる買い物支援」や「ベンチプロジェクト」などの取組を支援してまいりました。
 自治の分野では、地域づくりに携わる団体の活動を、地域をデザインしていく活動ととらえ、「地域デザイン交流会」と銘打ってその取組を支援しました。
 また、令和4年4月に施行した「所沢市マンション管理適正化推進条例」に基づき、管理状況届出制度による実態把握を行うとともに、管理状況が今一歩と思われる要支援マンションに対しては、専門家による支援を始めました。また、適正な管理を行っているマンションには管理計画認定制度を運用して「見える化」いたしたところです。
 次に、文化・ブランドの分野です。
 まず、フランス航空教育団来日100周年記念イベントでつながった関係団体と再度連携し、所沢飛行場とそれにまつわる歴史を伝える短編映画の作成を行いました。また、寿町の国の登録有形文化財「秋田家住宅」等について、その整備・活用を図るため、整備活用基本方針の策定を進めました。
 また、農業の分野では、ドローンなどを活用したスマート農業などに取り組むさといも農業者に対し支援を始めるとともに、遊休農地対策として、経営規模の拡大を望む農業者に対し、約2.7haへくたーるの遊休農地を引き継ぐことができました。
 続いて、行政の分野です。
 マイナンバーカードを用いたオンライン手続きでは、子育て・介護分野の主要26手続きでの利用を令和4年度中に開始します。また、行政事務にAI音声テキスト化サービスを導入し、議事録作成等の事務効率化を進め、職員が「職員でなければ遂行できない業務」により一層注力できるようにしたほか、窓口における手続きでも、コロナ禍でのマスク着用など、高齢者等と窓口職員が互いに聞き取りづらい状況がありましたので、円滑なコミュニケーションを確保するため、音声をクリアにする対話支援システムを導入しました。
 また、市役所本庁舎では、令和3年度から2か年かけて、市庁舎エレベーターの改修を行ったところです。
 一方、災害対策としましては、令和元年東日本台風をはじめとする過去の災害の教訓を踏まえ、所沢市地域防災計画を改定したほか、消防団に対しましては、団員の報酬改定を行うとともに、ポンプ車操法大会や消防出初式を3年ぶりに開催したほか、第7分団の詰所新設と消防ポンプ自動車の更新を行いました。
 また、選挙につきましては、7月10日に執行された参議院議員選挙において、投票所の感染症対策に取り組むとともに混雑緩和を図るため、期日前投票所(生涯学習推進センター体育室)を含む投票所(北所沢保育園)を拡充して執行をいたしました。
 上水道につきましては、老朽化した水道管の更新や浄水場施設の耐震補強工事の設計を実施したところですし、また、下水道につきましても、第4期市街化調整区域下水道整備事業を計画どおり行うとともに、下安松地区などでの雨天時浸入水対策を実施しているところです。
 そのほか、水道通水85周年を記念して西部浄水場を市民に開放し、配水池屋上からの市内観望と場内施設の自由見学を行いました。
 次に、健幸長寿の分野です。
 トコトコ健幸マイレージにつきましては、この種の事業は無関心層への働きかけが最後は課題となるのですが、他のイベントとのコラボレーションや、インセンティブを付与するなど様々な工夫を凝らし、13,144人と1月末時点での参加者数は県内最多となりました。
 また、産後ケア事業では、ケアを必要とする母親の心と体の安定を図り安心して過ごしてもらえるよう、宿泊型に加え新たにデイサービス型の支援も拡充をいたしました。
 また、新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、国の方針に基づき、初回接種が終わった12歳以上の人に対してオミクロン株対応ワクチン(3回目~5回目)を実施しているほか、5歳から11歳の小児、生後6か月から4歳の乳幼児の接種にも適切に対応してまいりました。
 市民医療センターでは、新型コロナウイルス感染症の検査体制を充実させ、積極的に発熱患者の診療にあたるとともに、休日や夜間など他の医療機関が対応できない時間帯での小児初期救急医療をとぎらすことなく行ってまいりました。
 また、令和4年度から2か年をかけ、再整備基本計画の策定を進めているところです。
 そして、成長作戦、街づくりの分野ですが、COOLくーる JAPANじゃぱん FORESTふぉれすと構想、ところざわサクラタウンの周辺道路の歩道を整備したほか、子ども向けの「eスポーツ」体験会を開催したり、ニコニコ動画によるイベントに参加するなど新たな文化推進に努めました。
 また、所沢駅周辺では、日東地区まちづくり事業、ファルマン通り交差点第1期改良工事と無電柱化事業、そして、所沢駅西口のまちづくりに伴う各事業を計画に沿って進めることができました。また、三ケ島や柳瀬の土地利用転換推進事業につきましても、地区に応じた助言・支援を行ってまいりました。
 そして、柳瀬川の清柳橋も、橋りょう上部の工事を実施したところです。
 最後に、人を中心にしたマチづくりです。
 そのうち、ハード部門に関して言えば、ところバスの運行ルート、本数の見直しを行い、バス停にはベンチを設置し始めました。また、ところワゴンの三ケ島地区のルートの見直しを行うとともに、柳瀬地区における実証運行をこの3月には開始します。併せて、本市にとって望ましい地域公共交通の在り方を検討し、市民の意見も反映した所沢市地域公共交通計画を策定したところです。
 また、人が集まることで市(いち)がたち宿(しゅく)ができ街になった、その本来性に立ちかえってみんなの場(パブリック空間)を創っていく試みとして、銀座中央広場と秋田家住宅におけるマーケットの展開など、社会実験「TOKOROZAWAところざわ STREETすとりーと PLACEぷれいす」を開催し、効果の検証を行いました。
 昭和にできたタウンの課題を解決していく動きの第一弾、椿峰地区の街づくりにつきましては、地区計画策定に向けた基礎調査を実施するとともに、計画素案の合意形成を図るため、街づくり協議会による説明会及びアンケート実施の支援を行いました。
 さらに、歩きたくなるマチを目指し、市道5-1016号線、通称さくら通りの街路樹植樹、歩道の整備、ベンチの設置を延長140mの区間で実施しており、市内各所においても合計80基のベンチを設置いたしました。
 また、安心して歩くことができるようプロぺ通りの客引き一掃に向け、市職員と警備員によるパトロール、警察、商店街、市職員によるパレードを実施して取り組みました。
 また、音楽のあるまちづくりの一環として、グランエミオ所沢のストリートピアノを継続し、「まちなかコンサート」や「音まちコンサート」、「エキナカコンサート」を計7回開催することができました。
 以上が令和4年度の振り返りであります。

市政運営と予算編成の基本的な考え方

 さて、それでは、令和5年度における「市政運営の基本的な考え方」と「予算編成の基本的な考え方」につきまして、述べさせていただきます。
 これまでも繰り返し申し上げてまいりましたが、東日本大震災と原発事故、それが私の市長を志した原点であります。
「動け! 所沢 紡ごう! 絆」を合言葉に、伝えていくべきは「人と人の絆」「自然との調和・共生」であり、人間が生まれつきもっている「人間力」が発揮される社会である。また、今だけ、自分だけ、いや、所沢だけに走ることなく、未来(あす)を見つめ、今を動く。すべては未来の子どもたちからの預かり物だと心して、善きふるさとを創り、継承していく、それが私たち大人の使命である。
 そう信じて、一貫して市政に当たってまいりました。
 このことに加え、令和5年度は、「人を中心にしたマチづくり」マチを人に取り戻し、人間力を頼みにして、パブリックやコモンズを再生していくこと。そして、「脱炭素」に本気で取り組んで行くこと。この2つをしっかりと意識して、市職員皆と悩み、汗かき、市民の皆様と協働して、市政を進めてまいります。
 次に、「予算編成の基本的な考え方」であります。
 日本経済は、物価やエネルギーの高騰を受け、厳しい状況が続いており、先行きは未だ不透明でありますが、コロナ禍からようやく抜け出して景気は緩やかに持ち直しが続いております。
 そこで、本市の令和5年度市税収入につきましても、個人・法人市民税を中心に増収を見込んだところです。しかし、社会保障経費や公共施設の老朽化に要する経費の増加に加え、物価高騰による様々な経費の増加から、これまでになく多額の財政調整基金を取り崩して、予算を編成いたしました。
 令和5年度は、本市の2大テーマであります「脱炭素」「人を中心にしたマチづくり」の推進に向けた予算配分に加え、本当に困っている人を助けるため、つまり「福祉の中の福祉」に係る事業にもしっかりと配分いたしました。
 また、物価高騰等の影響により様々な経費が増加する状況においても、市民サービスを安定的に供給することを基本とし、真に必要な行政サービス・事業にメリハリを付け配分いたしました。
 以上を踏まえ、予算編成当初、各部局より要求があった事業総額と見込んだ歳入のかい離約200億円を、涙をのんで「一件査定方式」により克服して、その結果、令和5年度当初予算の一般会計の総額としては、過去最高の1,148億3,000万円となりました。
 物価高騰等の影響により厳しい「現在(いま)」も市民生活を守り、市民が安心して生活ができるよう民生費、教育費などに予算をしっかりと配分すると共に、「脱炭素」の実現、「人を中心にしたマチづくり」の推進など未来への投資となる事業への予算配分を行うことで、「よきふるさと所沢」の実現を着実に進めるものでございます。
 名付けて、「現在(いま)、そして、未来(あす)の安心へとつなげる予算」といたしました。

令和5年度予算の概要

 次に、令和5年度予算の概要を申し上げます。
 一般会計では総額1,148億3,000万円となり、前年度比4.1%、45億円の増、また、特別会計、事業会計を加えた全会計の合計は、2,071億8,501万円となり、前年度比3.5%、69億2,837万1千円の増額となりました。
 一般会計が増額した要因といたしましては、民生費の恒常的な増加に加え、所沢市立第2学校給食センターの建設に係る一時払い分が計上されたことや、小中学校のLED化工事の進捗に伴い、教育費が令和4年度に比べて約40億円増額となったこと、また、所沢駅西口の歩行者ネットワーク整備、つまり歩行者デッキ整備に伴う工事費が加わったことなどにより、土木費が約8億円増額となったことが挙げられます。
 一方で、減要因といたしましては、所沢駅ふれあい通り線に係る鉄道施設移設負担金の減や用地購入の減などが挙げられます。
 また、歳入につきましては、市税や各種交付金を社会情勢などに合わせて見積もるとともに、後年度の負担が過重とならないよう勘案しながら市債や各基金からの繰り入れなどにより対応することといたしました。
 それでは次に、公約に掲げた6つの柱、それらを下支えする成長作戦、そしてこれら全体を覆うテーマ「人を中心にしたマチづくり」に沿って、主な施策をご説明いたします。

1「教育・子ども」日本一、子どもを大切にするマチ 所沢

 1つ目の柱は、「教育・子ども 日本一、子どもを大切にするマチ 所沢」であります。
 まず、教育力の向上を図る学力向上推進事業「学び創造アクティブPLUS」につきましては、学校・家庭・地域が連携して、引き続き推進していくとともに、非認知能力を含めた主体的・対話的で深い学びの充実や、英語能力の向上、各種教科等の特質に応じた言語活動についても研究を進めてまいります。
 次に、複数の目で子どもを見て、ゆとりをもって子どもに対せるよう環境を整備していく人的支援につきましては、これを堅持してまいります。具体的には、小中学校全校(47校)に学習支援員を引き続き配置するほか、心のふれあい相談員、生徒指導・いじめ問題対策員、心理士等専門スタッフを置いて、市が独自に雇用する職員、総勢303名で子どもたちと学校を厚く支援してまいります。
 また、ICT機器を効果的に活用した、より質の高い授業を進めていくため、教育センター内に教育デジタル推進室を新たに設置するとともに、引き続き、ICT支援員を配置してまいります。
 また、新たな取組として、夏休み期間中には、小学3年生から6年生を募って、地域の教育力を活用し、算数の学力向上を図り、学習意欲の向上及び中1ギャップ解消の一助とするため、「トコろんのびのび塾」を所沢市立教育センターなどで開催してまいります。
 加えて、平日の夜間には、生涯学習推進センターの学習室を開放し、スタッフ見守りのもと、「トコろん自習室」として地域の子どもたちが活用できるよういたします。
 一方、令和3年度に事業終了となった所沢市陸上競技選手権大会につきましては、所沢市陸上競技協会及び早稲田大学と連携し、市民参加型の新たなイベントとして復活、開催してまいります。
 また、「地域と共に歩む学校づくり」をさらに推進するよう、学校・家庭・地域が学校教育目標のビジョンを共有し、総がかりで子どもたちを育むことを目指し、段階的にコミュニティ・スクールを導入してまいります。令和5年度は、モデル校4校で試行的に実施します。
 さらに、中学校部活動の在り方について、生徒がスポーツ、文化芸術等に親しむ機会の確保及び教師の負担軽減を目的に、休日の部活動の在り方について検討をしてまいります。
 老朽化が進む学校施設につきましては、計画に基づき、上新井小学校、安松小学校及び林小学校の長寿命化改修に向け基本設計を実施します。また、令和4年度に設計を終えた南陵中学校につきましては、森林環境基金を活用して、木質化を含む校舎内部改修工事を令和5年度には、3・4階部分、令和6年度には1・2階部分と、2か年かけて進めます。
 学校トイレにつきましては、校舎2系統目にあたる改修工事を小学校2校(富岡・明峰小学校)と、向陽中学校で実施し、また、設計についても小中合わせて3校(南・三ケ島小学校、小手指中学校)で行ってまいります。また、体育館のトイレにつきましても、小学校8校(所沢小学校をはじめ三ケ島・清進・北・若松・小手指・伸栄・若狭小学校)と、中学校4校(狭山ケ丘・東・美原・柳瀬中学校)の改修工事を実施してまいるとともに、設計では小中学校合わせて12校(西富・中富・富岡・泉・美原・北秋津・上新井・宮前の小学校8校と安松・中央・富岡・山口の中学校4校ですが)の設計をしてまいります。
 また、新学校給食センターは引き続き建設工事を進め、令和6年1月末の完成を目指します。
 子育ての分野では、より拡充が求められている放課後児童クラブの対策として、利用希望の多いYMCAキッズクラブを2支援単位に拡大し、定員40人を増やすほか、小手指小学校での学校利用による1支援単位増やす計画が困難となったことから、民設民営により新たに1支援単位、定員40人を増やします。
 また、市立保育園の給食調理につきましては、富岡保育園と中新井保育園の2園において新たに業務委託を開始します。
 令和4年度からこども相談センターに設置した「子ども家庭総合支援拠点」では、相談業務を懇切丁寧に行うとともに、児童虐待防止に一層注力してまいります。
 また、こどもと福祉の未来館にあるこども支援センターにつきましては、子育て支援エリア(ルピナス)のひろば運営やところっこ子育てサポートの充実を図り、発達支援エリア(マーガレット)では、引き続き発達障害の早期発見・早期療育並びに保育園・幼稚園への巡回支援を充実させてまいります。
 また、全ての妊婦や子育て家庭が安心して出産・子育てができるよう、伴走型の相談支援をさらに充実させていくとともに、妊婦1人あたり5万円分の出産応援ギフト及び赤ちゃん1人あたり5万円分の子育て応援ギフトを支給してまいります。
加えて、この3月で中学校を卒業する世代の若者へ、1人あたり3,500円分のギフトカードを支給して、未来へ挑戦する若者を応援してまいります。
 なお、いずれの支給につきましても、申請の際にLINEを活用することにより、新たな接点を確保し、子育て家庭や若者世代の現状把握や情報発信等に活用してまいります。

2「環境」エネルギーの自立、マチごとエコタウン 所沢

 次に、2つ目の柱は、「環境 エネルギーの自立、マチごとエコタウン 所沢」であります。
 まずは、令和4年度に開催したマチごとゼロカーボン市民会議、その結果を環境審議会の議論につなげ、基本計画にあたる「所沢市マチごとエコタウン推進計画」を改定してまいります。
 さらに、脱炭素を市として永続的に取り組んでいくため「所沢市脱炭素社会を実現するための条例」を今定例会で提出しております。そのうえで、市・事業者・市民が脱炭素の必要性を理解し、行動していけるよう「(仮称)マチごとゼロカーボン推進事業者連絡会」を設置し、シンポジウムの開催等を通じて、各主体が一体となった脱炭素社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
 また、図書館事業としても、急激に温暖化が進む南極・北極の環境に関する講演会を、子どもから大人まで多くの市民を対象に開催してまいります。
 そのほか、都市においてはヒートアイランド現象も課題です。また、ゲリラ豪雨の際には、内水氾濫も起きています。どうしたら緩和できるか、道路を焦点に専門家の手も借りて調査、研究を行ってまいります。
 再生可能エネルギーの普及については、これまで、スマートハウス化推進補助制度を使って、市民・事業者・自治会等の太陽光発電設備の設置費用の一部を助成してまいりました。令和5年度からは、初期費用負担なしで太陽光発電を設置する、いわゆる「ゼロ円太陽光」を、事業者に補助金を出すことで、市民の負担を軽減し、普及してまいります。
 なお、市内公共施設では、小手指公民館と明峰、三ケ島両小学校に太陽光発電設備を設置します。また、山口公民館、所沢小学校、市民武道館でも、屋根・屋上防水工事に合わせ太陽光発電設備を設置するため、その設計を進めます。
 照明のLED化につきましては、小中学校の体育館及び武道場は、全ての小中学校のLED化を令和5年度で完了させます。また、校舎内の照明につきましては、令和5年度から順次設計を進めます。その他、照明をLEDに換える事業としては、保健センター、上下水道局庁舎、新所沢コミュニティセンター、狭山ケ丘コミュニティセンター、所沢図書館本館の屋内照明灯のLED化を、障害者施設のキャンバス、ゆきわり草、はばたき、所沢サンアビリティーズの4施設、収集管理事務所、市民文化センターミューズ、市斎場、市営自転車駐車場につきましては、敷地内にある外灯等のLED化を、さらに、道路照明灯につきましても、新所沢駅西口ロータリー、けやき並木通りのデザイン灯のLED化をそれぞれ進めてまいります。
 また、電気自動車につきましては、令和5年度は公用車1台、ところバスにも1台分導入していきますし、市内の福祉施設を対象として、電気自動車導入に関する費用の一部を補助します。また、民間事業者と連携して電気自動車のシェアリングを開始してまいります。そうやって普及促進を図ります。
 このほかにも、児童館6館に外付けタイプの日よけを設置し、直射日光をさけるという単純にして基本的な方法で、室内温度の上昇やエアコン設定温度の抑制を図ってまいります。
 次に、生物多様性、みどりの保全につきましては、所沢の財産です。失ったらそれで終わり。子どもたちにしっかりと継承してまいります。まずは、市街化調整区域に残された貴重な緑地、くぬぎ山特別緑地保全地区、上山口堀口天満天神社周辺里山保全地域、北野南二丁目里山保全地域、小手指ふるさとの緑の景観地内の緑地を公有地化して保全を進めてまいります。また、市街化区域におきましても、まちなかみどり保全制度やみどりのエコスポット事業を駆使して、まちなかの緑の保全を図っていくほか、昨年、購入型クラウドファンディングで集めた支援金を一部活用し、北秋津周辺保全配慮地区に位置付けられた都市緑地を用地取得してまいります。
 さらに、市が保全する緑地を活用し、カブトムシやクワガタムシ、タマムシ等が集まる落ち葉溜めを作り、子どもたちの日常に「虫取り」を復活させます。また、ホタルやミヤコタナゴ、オオムラサキの生態等につきましても、引き続き調査等を進めてまいります。そうやって、所沢本来の自然の再生を目指します。
 また、治水と生物多様性を両立させるよう、自然河岸が崩れたときに、護岸の整備を行うのではなく周辺用地を多めに取得することで、自然河岸を後世に残し、みどり豊かな水辺を保全してまいります。
 カルチャーパークにつきましては、豊かな自然を維持しつつ、その魅力を市民とともに高めていくため、これからのカルチャーパークを考える市民会議を開催してまいります。
 そのほか、小手指ヶ原公園につきましても、まずは、用地取得を進めてまいります。
 そして、もったいないの心の実践、資源循環の分野では、「はじめます!我が家のごみ減量」を宣言し、ごみ減量・資源化に取り組むご家庭に対し、宣言内容の一部を印刷した特別なごみ袋を配布して、身近な地域、ご近所からごみ減量・資源化の輪を広げていきます。
 また、「マチごとプラスチックごみ削減」を宣言した本市として、市内お弁当業者等の使い捨てプラスチック容器を減らしていくため、何度も繰り返し使えるリユース食器など、環境にやさしい容器を使う事業者に対し支援をしてまいります。
 第2一般廃棄物最終処分場「やなせみどりの丘」につきましては、令和7年度の供用開始を目指し、本格的に建設工事に着手します。また、その周辺整備として、アンダーパスの歩道拡幅に向けた測量、設計を実施するとともに、地区内の溢水箇所の雨水排水対策を検討してまいります。
 一方、令和14年以降、施設の更新時期を迎える西部クリーンセンターにつきましては、焼却から資源化へ、ごみ減量を一層進め、リサイクルを推進していくため、入間市と共同でその在り方を検討してまいります。

3「福祉・自治」人と人との絆を実感できるマチ 所沢

 柱の3つ目は、「福祉・自治 人と人との絆を実感できるマチ 所沢」であります。
 まずは、障害のある人が地域で安心して生活できるよう、「親亡き後」に備え、支援体制の充実を図ってまいります。
 障害者の入所施設につきましては、社会福祉法人藤の実会により新規に1施設が開所する運びとなりました。引き続き、社会福祉法人の入所施設整備計画に対して協力を行い、「親亡き後」の環境整備に尽力してまいります。
 さて、本市は「障害のある人もない人も共に生きる社会づくり条例」を独自に制定し、「共生社会」の実現を目指してきた市であります。令和4年度に引き続き、だれもが参加できるワークショップを開催し、障害者の芸術参加と地域の理解浸透を図ってまいります。とともに、市の公式動画などについては、字幕や手話を付けるよう努め、環境を整えてまいります。
 さらに、目の不自由な方々も安心して交差点を渡れるよう、歩行者信号の状態をスマートフォンに送信できる高度化PICSぴっくすの導入について県警察に働きかけてまいります。
 また、市レベルでは全国初めて、そして、医療、福祉、保健の多職種からなるコミュニティメンタルヘルスチームによる支援としては、いまだ全国唯一の、精神障害者アウトリーチ支援につきましては、障害者本人と家族をまるごと支援する「メリデン版訪問家族支援」という手法を新たに取り入れ、支援の充実を図ります。
 生活困窮者の自立支援といたしましては、引き続き、就労準備支援事業の実施や、社会参加に向けた訪問型支援活動を継続してまいります。
 また、成年後見制度のさらなる推進を図るため、昨年中核機関として位置付けました所沢市成年後見センターを中心にして、地域連携ネットワークの構築を推進してまいります。
 介護認定業務につきましては、タブレット端末を使用し、訪問先等で入力できるようにすること、また、オンライン審査会を増やすことで、より早く認定できるようにしてまいります。
 その他、第6次所沢市障害者支援計画、第9期所沢市高齢者福祉計画・介護保険事業計画におきましては、障害者や高齢者をとりまく環境や社会・経済情勢、対象者のニーズを的確に把握し、計画策定を進めていきます。
 次に自治についてでありますが、地域住民の自治会等への加入と参加を促進するために、転入者への働きかけに取り組むとともに、所沢市自治連合会とも協働し、自治会等の活動のPRに引き続き取り組んでまいります。また、各地区の特性に応じた住民主体の地域づくりを促進するため、自治会・町内会や地域づくり協議会の活動、設立支援を継続してまいります。
 新所沢東まちづくりセンターでは、バリアフリーの観点から、長年の懸案だったエレベーターを設置してまいります。
 また、マンション管理の適正化につきましては、令和4年度から開始したアドバイザー派遣制度、重点支援、管理計画認定制度を効果的に運用するとともに、よい事例を皆で共有できるよう、重点支援成果を取りまとめ、市ホームページやセミナー等で周知してまいります。

4「文化・ブランド」文化の風 薫るマチ 所沢

 4つ目の柱は、「文化・ブランド 文化の風 薫るマチ 所沢」であります。
 まずは、音楽のあるまちづくりの核となるイベント「空飛ぶ音楽祭」を所沢航空記念公園の緑豊かなロケーションをバックに、6年ぶりに開催します。
 また、貴重な資源や要素を備えた三ケ島地区において、文化芸術による愛着や誇りの醸成、地域活性化を図ることを目的として、施策を展開していきます。まずは、武蔵野美術大学の力を借り、住民と美術家とのワークショップを開催し、「座れるアート作品“アートベンチ”」を制作してまいります。
 また、国の登録有形文化財「秋田家住宅」等につきましては、令和6、7年度で基本設計及び実施設計を行う前段階として、各種調査をしていきます。
 イタリアとの交流につきましては、交流が始まったティエーネ市からの訪問団を受け入れるほか、子どもの絵や特産品による交流などを通して文化交流を深めていきます。また、7月に福岡で開催予定の世界水泳選手権のイタリア選手団の事前キャンプを受け入れ、サポートするとともに、子どもたちとの交流、触れ合う機会を創出してまいります。
 農業につきましては、脱プラスチック推進のための「生分解性マルチフィルム」や、土を元気にする「緑肥」などの購入に対し補助金を交付して、環境負荷に配慮した持続的な農業を推進してまいります。
 このほか、所沢ブランド特産品では、さらなるPRと販路支援を重点的に進めることで、地域経済の活性化と所沢ブランドの創造を図ります。

5「行政」超親切な市役所 所沢

 柱の5つ目は、「行政 超親切な市役所 所沢」であります。
 まずは、市の最上位計画である第6次所沢市総合計画・前期基本計画の計画期間が令和6年度をもって終了することから、令和7年度から令和10年度までの4年間を計画期間とする後期基本計画を2か年かけて策定してまいります。
 加えて、未来の所沢を担う18歳から29歳までの若者からさまざまな意見を出し合ってもらい、市としてそれを聴くことで、市政の可能性を探るとともに、市政への若者参加につなげていきます。
 また、近年、企業のCSR=社会的貢献活動が注目され、企業でも積極的に導入しようという動きがあります。その流れを善い意味で活用すべく、経営企画課内に公民連携推進室を設置します。
 また「歩いて暮らせるまち」、「市民活動が盛んなまち」など様々な面で先進的な取組をしているアメリカ合衆国オレゴン州ポートランド市に職員を手上げ方式で選考、派遣し、知見を高め、未来のまちづくりに活かしてまいります。
 市庁舎につきましては、老朽化が進む設備の大規模な改修と、併せてトイレ改修を行うよう、令和5年度に設計してまいります。
 デジタル社会の基盤となるマイナンバーカードにつきましては、まちづくりセンターや企業等に出向いて申請補助を行うほか、休日開庁日の時間延長や日曜日に臨時開庁も実施して、より円滑な交付に努めてまいります。また、図書利用券と連携できるようにして、図書館資料の貸出などにも使えるようにいたします。
 また、令和5年4月1日に施行される個人情報保護法の改正に鑑み、新たな制度を順守し、適正に運用してまいります。
 市の情報発信につきましては、市民向けメール配信システムに加えLINEも活用し、より幅広い世代の市民に必要な情報を届けてまいります。
 防災に関しましては、防災ガイド・避難所マップをスマートフォンでも見られるようにし、多言語化してまいります。そうやって、紙媒体削減と外国籍市民にも確実に伝わるようにいたします。また、その周知にも努めます。
 また、総合防災訓練では、今年は新たに臨時災害FM放送局の開設訓練を実施してまいります。
 消防団につきましては、借料を払って使用してきた第4分団詰所用地に対し、ここで所有者から譲渡の意向が示されましたので、用地取得を進めます。
 上下水道に関しましては、計画に基づき、老朽化した水道管の更新、浄水場の耐震化整備、更新、下水道管耐震化工事等を進めます。また、第4期市街化調整区域下水道整備事業では約9.6haの整備を、雨天時の浸入水対策では、引き続き管内カメラ調査や下水管布設工事を、そして、内水被害に対応するため新たに上新井地区内に雨水貯留施設を設置すべく、詳細設計を行います。
 その他、中長期的な基本計画である「下水道事業経営計画」につきましては、令和7年度改定に向け策定準備を進めます。また、水道料金及び下水道使用料の支払にクレジットカード決済を導入してまいります。
 また、議会運営の合理化と効率化を推進するため、全員協議会室へマイクシステムを導入してまいります。
 選挙につきましては、予定される4つの地方選挙に対し、それぞれ投票所のバリアフリー化や安全対策、感染症対策に取り組み、市民が安心して投票できる環境整備と投票率の向上に努めてまいります。

6「健幸長寿」思わず歩きたくなるステキなマチ 所沢

 そして、6つ目の柱、「健幸長寿 思わず歩きたくなるステキなマチ 所沢」であります。
 男女ともに県内一位を目指す本市の健康寿命は、現在、男性が9位、女性が17位となっており、さらなる努力が必要です。特に「歩く」ことで健康づくりを進める「トコトコ健幸マイレージ」では、累計参加申込者数14,000人と平均歩数8,000歩を目標とし、より多くの方の参加を促してまいります。
 母子保健につきましては、より身近な環境でデイサービス型の産後ケアを受けられるよう、新たに市内開設事業者に対して補助金を交付して市内の実施施設の拡充を目指します。
 「保健事業と介護予防の一体的実施事業」といたしましては、健康状態が不明だったり高血圧が未治療の後期高齢者に対し、イベントや家庭訪問を行います。そうすることで、フレイルや認知症の進行、社会的なつながりの低下を把握し、必要なサービスへとつなげます。
 また、生活習慣病を予防するため、国民健康保険の被保険者に対する特定保健指導、糖尿病性腎症重症化予防対策を医療機関と連携をしながら、それぞれ充実させてまいります。
 がん検診につきましては、子宮頸がんに対しまして自宅で自分で検体採取できる自己検査キットを新たに導入し、子宮頸がん検診の啓発、勧奨を行うとともに、よりリスクの高い未受診者の早期発見、早期受診につなげてまいります。
 子どもの予防接種につきましては、これまでは標準接種年齢になる頃、その都度予診票を発送しておりましたが、今後は、就学前までに受ける必要のある接種の予診票をすべて一冊にまとめ冊子にして、生後2か月頃に発送します。そうやって、予防接種に関する情報や一連の流れを把握しやすくし、漏れなく予防接種を受けてもらえるよういたします。
 市民医療センターにおきましては、再整備に係る基本計画を令和5年度中に策定します。また、いつなんどきでも子どもがお医者さんに診てもらえるよう、本市が誇る小児初期救急医療体制の中核を担うとともに、もうすぐ団塊世代が後期高齢者となる2025年、医療と介護の連携、地域包括ケア病床の活用によって、高齢者の在宅生活を後方支援し、市民がより安心して暮らすことのできる医療提供体制を充実してまいります。

7「成長作戦」動き出した街づくりを成功させます!

 以上、公約に掲げた6つの柱の具体的な事業の、その概要を述べさせていただきました。
 所沢市は、お年寄りが安心して暮らし、子どもたちが自然の中でたくましく育つ環境を保ちたい。20年、30年後も福祉を維持し、環境や教育を充実させたい。そのための下支えが、いわゆる成長作戦。第6次所沢市総合計画の将来都市像「絆・自然・文化 元気あふれるよきふるさと所沢」の「元気あふれる」に当たる部分がそれであります。
 まず、所沢駅西口のまちづくりは、市の表玄関にふさわしいまちとなるよう、区画整理と再開発の一体施行で進めておりますが、令和5年度は、歩行者デッキの整備工事と駅前広場の検討を進め、所沢駅ふれあい通り線の工事にも着手してまいります。また、令和6年秋には商業施設がオープンしますので、交通渋滞対策として、所沢駅西口入口交差点並びに元町交差点を改良し、右折レーンを整備してまいります。
 日東地区につきましては、市街地再開発事業に係る工事も完了しましたので、組合解散に向け助言や支援を行います。とともに、ファルマン通り交差点の改良と周辺の無電柱化を引き続き進めることで、人が憩い、出逢う場としてのマチづくりを推進してまいります。
 また、所沢市では3つの地区で働く場づくり、4つの地区で住む場づくりを進めております。
 働く場づくりの3地区のうち、三ケ島工業団地周辺では、早期の都市計画変更、事業計画策定及び組合設立認可を目指し手続きを進めるとともに、積極的に企業誘致活動に取り組んでまいります。また併せて、大規模な建築物が周囲の景観と調和するよう色彩などの配慮基準も盛り込むべく、所沢市景観計画も改定してまいります。
 関越自動車道所沢インター周辺では、発起人会が選定した区域検討パートナーなどの民間活力を活かし、将来を見据えた区域決定に向け、調整してまいります。
 一方、住む場づくりとしての土地区画整理事業では、既に事業が進む北秋津・上安松地区及び若松町地区につきましては、周辺の自然環境と調和した住環境を形成するよう、引き続き、組合が実施する工事等への助言・支援等を行ってまいります。
 加えて、下安松東地区では、早期の都市計画変更、事業計画策定及び組合設立認可を目指し、手続きを進めます。
 また、上安松・下安松西地区では、既存緑地の保全や脱炭素のまちづくりに向け、地権者組織に対して事業計画策定の助言・支援等を行ってまいります。
 一方、都市計画道路も進めております。
 富岡の郊外マンションの方から西へ向かって西武新宿線をまたぎ小手指のマミーマート(元の島忠のところ)へと繋がっていく北野下富線につきましては、令和6年度中にその1工区と松葉道北岩岡線(花園のヨークフーズから北へ向かう道ですが)をつなげて開通させる予定です。令和5年度は引き続き1工区の用地取得と道路工事を行います。さらに西武新宿線をまたぐ4工区の整備を進めるため、橋りょう実施設計及び用地取得と仮設工事を実施してまいります。
 また、三ケ島地区の上藤沢・林・宮寺間新設道路につきましては、3工区について用地取得を進め、柳瀬地区の清柳橋改築事業では、新たな橋と県道所沢青梅線を結ぶ市道1-900号線の道路改良工事をともに進めてまいります。
 また、県道所沢青梅線と市道4-5号線及び5-4号線が交差する狭山湖入口交差点につきましては、クランク状の交差点を改良するため用地取得を進めます。
 COOL JAPAN FOREST構想につきましては、「所沢市観光情報・物産館 YOT-TOKOよっとこ」のより効果的な活用や今後見込まれるインバウンドへの対応、eスポーツの啓発推進、サクラタウンを中心とした文化の醸成を図るため、引き続き株式会社KADOKAWAをはじめ様々な団体と連携し、取り組んでまいります。加えて、小中高一貫の私立学校、開智学園の令和6年4月の開校に向けた調整も進めていきます。
 一方、新所沢地区では、令和6年2月末で営業を終了すると表明している新所沢パルコの土地利用について、市民の声や知識経験者の知見をいただきながら、市は、地域は何ができるのか、地域住民、事業者との調整を図ります。
 そして、西所沢駅西口改札口の開設につきましては、鉄道事業者と1日も早く基本協定・基本設計協定を結んで、駅舎の基本設計を行うとともに、周辺の安全対策である主要地方道所沢武蔵村山立川線歩道整備のための用地交渉を行ってまいります。
 このほか、地域経済の活性化やコミュニティの醸成など、様々な効果が期待できる地域通貨の導入について検討してまいります。

8「人を中心にしたマチづくり」

 最後に、「人を中心にしたマチづくり」であります。
 人を中心にしたマチづくりとは、人間中心という意味ではありません。そうではなくて、人間は自然の一部でしかないのだから自然を畏怖し、調和・共生を図り、また、人間が生来持っている人間力を信頼して、知恵や支え合いで乗り越え、コミュニティを大切に、社会みんなのものといえるパブリックやコモンズ、すなわち社会的共通資本を大事にしながら、街を車から人に取り戻し、人に出逢いの権利を保障していく。そんなものをイメージしています。
 そのうち、ここではハード部門、街を車から人へ、公共交通を充実する面から申し上げます。
 まず、道を人のものへ、より歩きやすく、歩きたくなるようするために、「まち」×「みどり」のおさんぽコース事業として、道標やコース全体を示す観光案内板等の整備を行ってまいります。
 また、「水とみどりがつくるネットワーク」を構成する砂川堀につきましては、今後も、自然の河岸と生物多様性に最大の配慮をしながら端(はた)を歩けるようしていきますが、令和5年度は北野3丁目地内の210号橋から不動橋まで、延長約550mの測量をするとともに、誓詞橋までの植生調査を実施します。
 また、ベンチについては、今80基まで設置しましたので、あと120基、2年間で計200基の設置を目指して、自治会・町内会をはじめ、地域で活動する団体や企業の協力もいただきながら、ところバスやところワゴンのバス停を含めた市内各所にベンチを設置してまいります。
 また、シェアサイクルにつきましても現在75箇所までステーションを増やしました。これをさらに増やし、より多くの方が利用しやすくなるようしていきます。
 また、これも2年目、小手指南の交差点から椿峰へ、市道5-1016号線、通称さくら通りの街路樹の植樹や歩道空間を整備して、安心して歩ける道へと変えていきます。
 もちろん、公共交通も充実させます。三ケ島、柳瀬地区に続いて、令和5年度は5月以降、富岡地区でも、ところワゴンの実証運行を開始します。また、ところバスにつきましても、柳瀬循環ルートの見直しや増便をいたします。さらに、令和4年度策定した「所沢市地域公共交通計画」をもとにところバス・ところワゴンの充実を含め、各交通事業者が連携して取組を進めてまいります。
 また、コンパクト・プラス・ネットワークを念頭に、市街化区域内における適正な土地利用を誘導するとともに、地域公共交通計画と連携を図って、立地適正化計画を策定してまいります。
 さて、それにしても私は最近思うのであります。人口拡大、経済発展の高度成長期に作られた基準や物差しで、今の暮らし、今の街を測り直し、つくり直すのは、少し無理があるのではないか、と。
 市としては、そこに住まう人々の声を聴きながら、新たな観点、新たな発想も取り入れて、まちの将来像を皆で考え、創っていかねばなりません。
 昭和にできたタウン再生の取組の一環として、東京藝術大学 藤村龍至ふじむらりゅうじ准教授のアドバイスを受けながら地元の街づくり協議会が進めている椿峰地区における地区計画づくりは、引き続きこれを推進して支援してまいります。
 また、こぶし団地につきましては、今の良さを生かしながら建て替え等をスムーズに進めるために、また、旧町地区につきましては、居心地よく暮らしやすい街とするために、それぞれコミュニティを大切に、住民の意見を取り入れた未来のマチの在り方を、専門家の知見を借りながら考えてまいります。
 また、銀座通りにつきましては、「人々が歴史と自然を感じながら心地よく行き交い、出逢い、集える回廊」これが平成7年の市街地整備事業が始まった時の人々の思いでした。それに少しでも近づけられるよう、各マンションの境にある民地境界ブロック塀を所有者と協議したうえ、取り除き、ゆったりと歩けるようにしていきます。
 一方、賑わいづくり、魅力ある街なか空間をつくろうとする潮流も新たな芽生えが見え、また、多様化しております。所沢駅周辺におきましては、グランドデザインの実現に向けたロードマップの策定や、街づくりのプレーヤーの発掘及び育成を進めるとともに、引き続き社会実験の実施、効果の検証等を行ってまいります。加えて、商店街だけでなく、新たなプレーヤーによる賑わいづくりの活動も市内各地で見られるようになってきました。併せて公共交通利用を促しながら、賑わいの街づくりの新たな胎動にも支援をしてまいります。
 そうやって「人を中心にしたマチづくり」これを進めてまいります。
 以上、令和5年度の主な施策につきましてその概要をご説明いたしました。

その他の案件

 次に、令和4年度3月補正予算の概要につきまして、ご説明いたします。
 はじめに、議案第2号「令和4年度所沢市一般会計補正予算(第9号)」につきましては、今、国による施策で話題となっております出産・子育て応援事業経済的支援及び伴走型相談支援(これらは繰越明許して実際には令和5年度の事業となりますが)、また、光熱費高騰対策として所沢市民文化センター光熱費等高騰対策支援事業、所沢市斎場光熱費等高騰対策支援事業、そのほか不足する事業費の追加、国・県などの補助金の確定に伴う返還金、執行不用額などの調整による減額に加え、地方交付税の追加交付などについて計上いたしました。
 この結果、補正額は4,817万5千円の減額となり、補正後の予算額は1,236億8,338万7千円となるものです。
 なお、補正予算の財源としては、国庫支出金、県支出金、繰入金及び市債などで調整しております。
 また、予算第2条で継続費、第3条で繰越明許費、第4条で債務負担行為、第5条で地方債につきまして、それぞれ補正をお願いしております。
 次に議案第3号から議案第8号につきましては、それぞれの特別会計における、国庫補助金等の決定や事業費の確定等に伴う補正を行うものであります。
 また、条例その他の議案につきましては、まず、新規制定といたしまして、議案第19号「所沢市まち・ひと・しごと創生基金条例」及び議案第20号「所沢市脱炭素社会を実現するための条例」の2件を提案しております。
 次に、一部改正といたしまして、「所沢市個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例」など、議案第21号から議案第34号までの14件を提案しております。
 次に、条例廃止といたしまして、議案第35号「所沢市営土地改良事業の経費の賦課徴収に関する条例を廃止する条例」を提案しております。
 続いてその他の議案でありますが、議案第36号は「請負契約の変更」をお願いするものであります。
 なお、提案理由等につきましては、それぞれ記載のとおりです。

むすび

 以上、令和5年度における市政運営の基本方針と、提出いたしました諸議案につきまして、その概要を申し上げました。
 東日本大震災と原発事故、そして、新型コロナを経験した私たちだからこそ、人間万能主義から少し離れて、自然との調和・共生へ、また、成長発展一辺倒から一歩さがって成熟へ、そして分断ではなく連帯、包摂、支え合いへ、ベクトルをしっかり定めて、「動け! 所沢 紡ごう! 絆」確かな歩みで物事を進めてまいります。
 そして、市民の皆様、議員各位、市職員とともに、「よきふるさと所沢」を未来の子どもたちに継承するため、市民の新たな幸せ実現のため、力を尽くしてまいります。
 議員各位におかれましては、提出いたしました各議案、慎重ご審議のうえ、ご議決賜りますようお願い申し上げ、令和5年度の施政方針とさせていただきます。
 ご清聴誠にありがとうございました。

お問い合わせ

所沢市 経営企画部 経営企画課
住所:〒359-8501 所沢市並木一丁目1番地の1 高層棟3階
電話:04-2998-9027
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