ユニバーサルデザイン推進基本方針 第1章 はじめに 1 ユニバーサルデザインとは ユニバーサルデザインとは、『基本的人権の尊重』を基本理念として、障害の有無、年齢、性別、国籍、人種などにかかわらず、すべての人が心豊かに暮らせるような社会を創っていこうとする考え方のことです。 この考え方に基づき、さまざまな人に配慮して、はじめから利用しやすいまち、施設、製品、環境、サービスなどの実現に努めていくことにより、ユニバーサルデザインの取り組みが目に見える形で進んでいきます。 人は、一人ひとりの特性や考え方が異なりますが、ユニバーサルデザインによるまちづくりには、すべての人が互いの特性や違いを認め合い、理解し合うことがなにより重要なのです。その意味で、ユニバーサルデザインは「みんなをつなぐデザイン」といえるのです。 ユニバーサルデザインの提唱者である、米国ノースカロライナ州立大学のロナルド・メイス教授は、『ユニバーサルデザインの7原則』を次のように提示しています。 原則1:誰にも公平に利用できること 原則2:使う上で自由度が高いこと 原則3:使い方が簡単ですぐわかること 原則4:必要な情報がすぐに理解できること 原則5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること 原則6:無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること 原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること (ユニバーサデザインセンターの定義から引用しました。) 2 バリアフリーからユニバーサルデザインへ バリアフリーは、社会に存在するさまざまな障壁(バリア)を取り除いていこうとする考え方で、施設の改善をはじめとして、高齢者や障害者などの社会参加に大きな役割を果たしています。 こうした取り組みを背景として、1990年代に入り注目されるようになった比較的新しい概念がユニバーサルデザインです。はじめから幅広い人々を想定して計画・実施していくことにより、障壁(バリア)を限りなく少なくしていこうという考え方です。 このように、バリアフリーもユニバーサルデザインも、高齢者や障害者をはじめ、誰もが参加しやすく、暮らしやすい社会を創っていこうとする点で、めざす方向は同じです。 3 基本方針の策定にあたって 昭和50年(1975年)、国連総会は、「障害者の権利宣言」を決議しました。また、昭和55年(1980年)には、障害者の完全参加と平等をテーマとして、障害者が社会生活に完全参加し、障害のない人と同等の生活を享受する権利の実現をめざす「国際障害者年行動計画」を採択し、翌年を「国際障害者年」として位置づけました。 このような世界的な動きが大きな原動力となって、ノーマライゼーションやバリアフリーの概念が広がり、それに呼応して「ハートビル法」の制定をはじめとする諸制度の整備が進められ、平成18年12月には、ユニバーサルデザインの視点に基づいたまちづくりを総合的、一体的に推進するため、ハートビル法と交通バリアフリー法を統合・充実した「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(新バリアフリー法)が施行されました。 こうした状況とともに、21世紀に入り、先進国は一様に超高齢社会へと進みつつあります。とりわけ日本は、どの国よりも急速に少子高齢化が進展し、さらには、これまで経験したことのない人口減少社会という時代に突入します。 超高齢社会は長寿社会でもあります。長い高齢期を「余生」としてではなく、第2第3の新たな人生として、いつまでも壮年期と同様に生活を楽しみつつ、社会的役割を失わないことが、わが国にとっても、地域社会にとっても、そして何より私たち一人ひとりにとっても、たいへん重要です。 市では、「第4次所沢市総合計画・後期基本計画」において「ユニバーサルデザインの取り組み」を横断的に取り組む主要課題として位置づけ、平成20年(2008年)3月にユニバーサルデザインによるまちづくりを進めるための理念と方針を示した「ユニバーサルデザイン推進基本方針」を策定し、具体的な取り組みを進めてきました。 平成23(2011)年3月策定の『第5次所沢市総合計画・前期基本計画』では、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、平等で差別のない、人にやさしいまちづくりを推進することとしており、今後も継続性をもってユニバーサルデザインの取り組みを推進していきます。 第2章 ユニバーサルデザインの推進 1 基本理念 年齢、性別、障害の有無などにかかわらず、心豊かに暮らせる社会を実現することは、すべての人に平等に与えられた権利です。 こうした権利を保障していくためには、自分のことだけでなく、他者を認め、周囲の人たちにも配慮できる思いやりの心を、目に見える形で表現していくことが大切です。また、すべての人に課せられた義務であるともいえるのです。 人が心のなかで思うこと、考えることは、その人の行動や行為といった形に表されることによって、初めて周囲の人たちに伝わっていきます。逆にいえば、心のなかで思い、考えることがなければ、行動に現れてくることは決してないといえるのです。 その意味で、ユニバーサルデザインの考え方を、まちづくりや施設、製品、環境、サービスなどに取り入れていくための源泉として、「心のユニバーサルデザイン」をすべての人の心のなかに育んでいくことが最も重要なのです。 こうした考え方に基づき、「心のユニバーサルデザイン」を基本理念として、本市の「ユニバーサルデザイン推進基本方針」を策定されました。 【所沢市のユニバーサルデザイン基本理念】 「すべての人に配慮する 心のユニバーサルデザイン」 ユニバーサルデザインは、基本的人権の尊重を基盤として、人が人として大切にされる「認め合い思いやる心」を表すかたちです。 誰もが参加しやすく、暮らしやすい社会をめざして、市・市民、団体、事業者の協働により、すべての人に配慮する、心のユニバーサルデザインをすすめます。 2 基本方針の5つの柱 ユニバーサルデザインの推進にあたっては、次の5つの柱を基本方針として、横断的・計画的に取り組んでいきます。 (1) みんなでつくるユニバーサルデザインの推進 第4次所沢市総合計画では、「みんなでつくる」を基本的視点のひとつに掲げ、「ゆとり・うるおい・活力ある生活文化都市」の実現に向けて、協働のまちづくりを進めていくこととしました。 この考え方に基づき、市・市民、団体、事業者がそれぞれの役割と責任に応じて、ユニバーサルデザインの普及・啓発活動を推進します。 誰もがいつかは高齢者になります。加齢に伴い、さまざまな障害をもつ可能性も否定できません。その意味で、ユニバーサルデザインの推進は他人事ではありません。 「すべての人のためには自分のために」という思いをもって、周囲のさまざまな人々の声を聴き、思いを感じることから、ユニバーサルデザインはスタートします。 気づいてますか。日常生活のこんな場面 ・階段の上り下りに苦労されている高齢者 ・ちょっとした段差を越えにくい車椅子利用者 ・点字ブロック上に置かれた障害物に妨げられる視覚障害者 ・電車の遅れなど緊急放送が伝わらず駅でとまどう聴覚障害者 ・電車やバスの優先席に座れずにいる高齢者や妊産婦 ・人込みの中は危険がいっぱい、視点の高さがちがう子どもたち (2) ユニバーサルデザインに配慮した計画づくり 誰もが暮らしやすいまちづくりは、互いに「認め合い思いやる心」をもって構想や計画を練るところからスタートします。こうして出来上がったまちや施設、製品、環境、サービスなどは、年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、すべての人に受け入れられるものになるでしょう。 結果(成果)を求めるためには、物事の始まりから完結するまでの過程で、できるだけ多くの人の声を聴き、その思いを構想や計画に反映させていこうとする姿勢が不可欠です。多様な人たちの参画を得て、ともに努力していくことによって、結果は自ずとついてくるのです。 こうした考え方に基づき、市の計画策定にあたってはユニバーサルデザインに配慮し、誰もが暮らしやすいまちづくりの実現をめざします。 (3) ユニバーサルデザインに配慮した施設づくり 新たな公共施設の整備にあたっては、さまざまな利用者の参画を得て検討し、完成後の改修などをできる限り少なくすることが、無駄な支出をなくすことや資源の有効利用につながります。多様な人たちの声を反映させた施設には、多くの賛同が得られることにもなります。 このためには、施設の設計段階から、すべての人に利用しやすく、末永く愛着をもっていただける施設となるよう、ユニバーサルデザインに配慮した施設づくりを進めることが重要です。思いやりの心を込めて、より多くの人々が関わった施設であればこそ、誰もが快適に安心して利用できる施設となるのです。 こうした考え方に基づき、公共施設の整備にあたっては、限りある資源の有効利用と、できる限り多様な人たちの声を反映させた「すべての人に利用しやすい施設づくり」を進めます。また、既存の公共施設を改修する際には、バリア(障壁)の解消を図ります。 (4) ユニバーサルデザインに配慮したサービス・情報の提供 21世紀の社会は、ともすれば薄れてゆく人と人との結びつきを強くすることが重要になります。周囲の人に対する深い思いやり、相手の立場の尊重、さまざまな状況の人々が互いを理解しあうことが大切です。 今、あらためて問われていることは、人々の心と心を結びつけるコミュニケーションのあり方です。コミュニケーションの強さ・弱さは、そのまま、人間関係の広がりやより良い地域社会づくりにつながっていきます。 すべての人が理解し合える社会が理想ですが、そうした社会に少しでも近づくために、誰もが平等にサービスや情報が得られる環境づくりが重要です。 こうした考え方に基づき、日常生活を通じて、より良いコミュニケーションが図られるよう、すべての人に配慮したサービスや情報の提供に努めます。 (5) ユニバーサルデザインに配慮した公共交通環境づくり 誰もが不自由なく安全に移動できる環境づくりに向けて、公共交通が果たす役割はたいへん重要です。鉄道やバスなどの公共交通機関の乗り継ぎを含めた移動全体を円滑化し、利便性の高い公共交通環境を作るには、行政のみならず、地域住民や交通事業者の協力を求めながら、「みんなでつくる」という一体感に支えられた計画的な取り組みを進めていく必要があります。 こうした考え方に立って、市では、平成16年3月に策定した「所沢市交通バリアフリー基本構想」に基づき、交通の結節点である鉄道駅と駅周辺のバリアフリーを進めてきました。引き続き、『高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律』(新バリアフリー法)の趣旨を踏まえ、公共交通環境や施設整備等のユニバーサルデザインを促進します。 第3章 ユニバーサルデザインの展開 1 基本的視点と7つの原則 市民生活や社会経済活動のさまざまな場面で、ユニバーサルデザインに配慮した取り組みを進めていくうえで、共通に心にとめておかなければならない基本的視点と7つの原則を、次のとおり整理します。 市・市民、団体、事業者は、それぞれの役割と責任の範囲において、この視点と原則をふまえた実践行動に、主体的・積極的に取り組むこととします。 基本的視点 視点1:すべての人が理解 ユニバーサルデザインは、すべての人がふつうに日常生活や社会経済活動が営める環境づくりをめざしています。 「すべての人のためには自分のために」を発想の原点として、周囲の関係する人々に理解され、協力し合えるプロセス(過程)を形成していきましょう。 そのためには、実践行動の最初の段階から、わかりやすく丁寧な対応に努め、コミュニケーションを重視した取り組みが求められます。 視点2:すべての人に簡単 施設や製品といった形あるものだけでなく、情報やサービスなどの無形のものも含めて、できるだけすべての人に入手しやすい、わかりやすい、利用しやすい機能や性質を追求していくことが求められます。 「何々をしやすい」ということは、より多くの人に理解され、愛用されることになり、実践行動が広がっていく原動力ともなるのです。 視点3:すべての人に快適 人々の価値観が量から質へと転換してきている今日、ものやサービスに対する付加価値として、簡単で便利であることとともに、快適さや使い勝手のよさが求められています。 誰もが心理的な抵抗や身体的負担を感じることなく、自然体で利用できるようになることで、実践行動の量とともに質も高まっていきます。 視点4:すべての人に安全 人は加齢とともになんらかの身体的障害が生じ、思わぬ事故に見舞われる可能性が高くなります。また、時として間違った判断や動作によって、危険な場面に遭遇することは、誰にも起こり得ることです。 こうした事態をなるべく未然に防ぐことができれば、安全で安心な日常生活を送ることができます。「安全」は健やかな暮らしを保障する、大事な要素のひとつです。 視点5:すべての人に柔軟 人はそれぞれ、皆、異なります。体型や能力も違えば、性格や好みも違います。このごく当たり前のことを前提に世の中の事象を考えれば、一人ひとりの個性に合わせて対応できる製品やサービスは限られています。 したがって、できるだけ一人ひとりに合わせながらも、なるべく多くの人々に柔軟に対応できる、汎用性のある解決策を考えていくことが重要です。 ユニバーサルデザインの7原則 本市では、ロナルド・メイス教授の提唱した7つの原則を、ユニバーサルデザインに配慮した取り組みを実践するときの判断基準として、大切に受け継いでいきます。 原則1:誰にも公平に利用できること 誰にでも利用できるよう作られており、かつ、容易に入手できること。 原則2:使う上で自由度が高いこと 使う人のさまざまな好みや能力に合うように作られていること。 原則3:使い方が簡単ですぐにわかること 使う人の経験や知識、言語能力、集中力に関係なく、使い方がわかりやすく作られていること。 原則4:必要な情報がすぐに理解できること 使用状況や、使う人の視覚、聴覚などの感覚能力と関係なく、必要な情報が効果的に伝わるように作られていること。 原則5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること ついうっかりしたり、意図しない行動が、危険や思わぬ結果につながらないように作られていること。 原則6:無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること 効率よく、気持ちよく、疲れないで使えるようにすること。 原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること どんな体格や姿勢、移動能力の人にも、アクセスしやすく、操作がしやすいスペースや大きさにすること。 (ユニバーサルデザインセンターの定義から引用しました。) 2 5つの柱に基づく重点施策 本市では、総合計画・後期基本計画に基づき、基本方針の5つの柱に沿って、平成22年度の目標年次に向け、次の施策に重点的に取り組んできました。 ユニバーサルデザインの推進のためには、継続性をもって取り組んでいくことが大切であり、そのことによって、誰にとってもよりやさしい社会が達成することができます。したがって、平成23年度以降についても、引き続き、5つの柱にそって、重点施策を推進していく必要があります。 基本方針1:みんなでつくるユニバーサルデザインの推進 重点施策:ユニバーサルデザイン推進の風土づくり ユニバーサルデザインは、市民の皆さん一人ひとりが主役です。誰もが、いつでも、ユニバーサルデザインの視点で物事を考えられるような風土づくりに努め、みんなでつくるユニバーサルデザインを推進します。 ・ユニバーサルデザインの啓発 ユニバーサルデザインの考え方や先進的な事例などを紹介するイベントを開催し、市民・事業者など幅広い参加を得て、みんなでつくるユニバーサルデザインの輪を広げていきます。 また、子供から高齢者までの幅広い参加を得て、自分たちの地域をユニバーサルデザインの視点で点検します。 ・人権教育の推進 市(職員)、市民・団体・事業者に呼びかけ、啓発資料や学習機会を提供し、生涯を通じた人権教育を推進することにより、市民一人ひとりの人権意識の高揚に努めます。 ・障害者週間における取り組み 障害者福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者があらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めるため、障害者週間(12月3日から9日まで)に合わせて記念講演会を開催します。 ・みんなでつくる地域づくりの取り組み 「みんなでつくる」という理念に基づき、地域コミュニティ活動の推進や、外国籍市民との共生など、ユニバーサルデザインの推進につながる取り組みを進めます。 基本方針2:ユニバーサルデザインに配慮した計画づくり 重点施策:行政計画へのユニバーサルデザインの配慮 行政の率先行動のひとつとして、市民の日常生活や社会活動に直結する行政計画を策定する際には、ユニバーサルデザインの考え方や視点に配慮し、計画策定の早期の段階から、市民参加による計画づくりに努めます。 ・パブリックコメント制度の活用 パブリックコメントは、市の政策形成過程において公正を確保するとともに、市政の透明性の向上を図り、市民の皆さんの市政への参画と協働のまちづくりの推進に資することを目的に、平成17年7月1日から導入しています。 ・所沢市自治基本条例の周知、啓発 平成23年2月25日に制定した「所沢市自治基本条例」に定められている基本理念、基本原則等に対する正しい理解を得るための周知、啓発に努めます。 基本方針3:ユニバーサルデザインに配慮した施設づくり 重点施策:施設計画へのユニバーサルデザインの配慮 公共施設の新設または改築の設計・施工にあたっては、ユニバーサルデザインに配慮した施設づくりを進めます。また、新たな施設計画においては、できるだけ早い段階から多様な人々の意見・要望を聴く機会を設け、可能な限り、その声を反映させるよう努めます。 また、民間事業者に対しても、ユニバーサルデザインの理念や基本的視点に基づく取り組みを積極的に指導していきます。 ・公共施設の改善 既存の市有施設について、段差の解消やトイレの改修、わかりやすい案内表示など、だれもが利用しやすい施設となるよう点検し、順次、整備改善に努めます。 ・行政としての取り組み 行政の立場から公共事業はもとより、民間の開発事業等においてもユニバーサルデザインに配慮した取り組みに努めます。 基本方針4:ユニバーサルデザインに配慮したサービス・情報の提供 重点施策:ユニバーサルデザインに配慮した行政サービスと市政情報の提供 市の率先行動として、市役所の窓口サービスにユニバーサルデザインの視点を取り入れ、誰もが利用しやすい、親切で丁寧な接遇応対に取り組みます。 また、さまざまな市政情報について、市民要望に即してわかりやすい提供に努めていきます。 ・さわやか市役所づくりの推進 市民生活の利便性を高め、誰もが利用しやすい行政サービスの充実を図るため、職員の接遇研修や手話研修を計画的に実施します。また、ユニバーサルデザインに配慮した窓口の改善に努めます。 ・誰にも分かりやすい市刊行物・ホームページ 市政情報の積極的な提供と、市民と情報の共有化を図るための重要な手段である市刊行物やホームページ(HP)について、利用者の要望をふまえ、継続的な改善に努めていきます。 ・緊急性の高い情報の発信・受信 災害・防犯情報や緊急通報など、緊急性の高い情報について、誰にもわかりやすい情報発信・受信に努めます。 ・音声コードによる行政情報の提供 視覚障害の方々のうち、点字利用者の割合は10%程度といわれ、活字文書への情報アクセスが非常に困難な状況にあります。特に、プライバシー情報や生活情報の入手は、自立した生活と社会参加に欠かせない情報源です。 そこで、情報基盤整備のひとつとして、音声コードによる行政情報の提供を進めます。 基本方針5:ユニバーサルデザインに配慮した公共交通環境づくり 重点施策:交通バリアフリー基本構想に基づく計画推進 「所沢市交通バリアフリー基本構想」に基づいて作成された事業計画の円滑な推進を図ります。 ・ノンステップバスの導入促進 路線バスを利用する市民の利便性向上のため、バス事業者が実施するノンステップバスの導入に対して経費の一部を補助します。 平成22年度末で、市内路線バスに対するノンステップバスの導入率は72.5%となっています。 ・特定経路の道路環境整備 多くの高齢者や障害者等が利用する鉄道駅と、主要な公共施設等を結ぶ道路空間として特定された区域のバリアフリー化を計画的に進めていきます。 ・駅ボランティア事業の展開 誰もが快適な交通環境づくりを促進するとともに、心のバリアフリーの普及促進を図るため、、鉄道事業者と連携し、民間ボランティアが、通勤通学時に駅のホーム等で困っている人をサポートします。 3 行政、市民、事業者の役割 (1) 市の役割 市では、基本方針の5つの柱に基づき、平成22年度(2010年度)の目標年次に向けて取り組む重点施策を中心に、全庁的な推進体制を構築し、率先してユニバーサルデザインに配慮した行政活動に取り組んできました。今後も引き続き、市民、事業者と協力し合いながら、本市におけるユニバーサルデザイン推進の中心的役割を果たしていきます。 さらに、ユニバーサルデザインの考え方を普及するため、市民、事業者の主体的な活動を積極的に支援します。 (2) 国や県に期待する役割 国や県については、ユニバーサルデザインに関する制度づくりや仕組みづくり、先導的事業の実施など、幅広い視点から施策の推進に取り組むことを求めます。 特に、まちづくりや施設整備、公共交通に対する充実措置や製品開発に対する支援など、行政や事業者が行うユニバーサルデザインの取り組みを幅広く支援することを期待します。 (3) 市民に期待する役割 ひとりでも多くの市民の皆さんが、ユニバーサルデザインの考え方を理解し、日常生活を通じて、「認め合い思いやる心」を形にして実行することを求めます。 また、ユニバーサルデザインの進展に重要な役割を担うNPO活動やボランティア活動などに、子供から高齢者までの多くの市民が参加され、協力されることを期待します。 (4) 事業者に期待する役割 事業者の皆さんには、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた企業経営、店舗づくり、製品づくりに取り組むことを求めます。 また、まちづくりの一員として積極的に地域や行政と協働して、ユニバーサルデザインの普及に協力していただく行動を期待します。 用語解説1 ノーマライゼーション 障害者を特別視するのではなく、一般社会の中で普通の生活が送れるような条件を整えるべきであり、共に生きる社会こそノーマルな社会であるとの考え方のことです。 用語解説2 ハートビル法 平成2年(1990年)、アメリカで「障害を持つアメリカ人に関する法律」が成立したことを契機として、平成6年(1994年)、わが国でも、建築物のバリアフリー化を目的とした「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(通称:ハートビル法)」を制定しました。 用語解説3 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(新バリアフリー法) 高齢者や障害者を含めたすべての人の円滑な移動及び建築物等の施設の円滑な利用の確保に関する施策を総合的に推進するため、基本方針並びに旅客施設、建築物等の構造及び設備の基準の策定のほか、市町村が定める重点整備地区において、高齢者、障害者等の計画段階からの参加を得て、旅客施設、建築物等及びこれらの間の経路の一体的な整備を推進するための措置等を定める法律を制定しました。平成18年(2006年)制定。 用語解説4 交通バリアフリー基本構想 バリアフリー施策を総合的かつ計画的に推進するため、国が定めた基本方針に基づき、一定規模(1日の利用者数が5,000人以上)の旅客施設(「特定旅客施設」)を中心とした地区を「重点整備地区」に選定し、その地区内において旅客施設、道路等のバリアフリー化を重点的・一体的に推進するため、重点整備地区内のバリアフリー化のための方針などを内容とする「基本方針」を作成することになっており、所沢市では平成16(2004)年3月、所沢市交通バリアフリー基本構想を策定しました。 以上です。