モズのさえずり春間近【ふれあいの里だより(令和2年2月号)】

更新日:2020年2月1日

暖冬とは言え2月は最も寒い時期です。今年はドカ雪が降るかもしれないとも言われています。
 2月14日はバレンタインデーですが、古代ローマでは2月15日は特に鳥がむつむ日として豊穣祭(ルペルカリア祭:Lupercalia)として祝われました。鳥は生産、豊穣、安産と関連づけられ鳥が愛をささやき始めることが生命活動と生産の開始を示す象徴となり、これがバレンタイン・デー(2月14日)の起りともいわれています。光の春を感じる中、1月中頃から野鳥たちはさえずりの練習を始めていて、2月にはモズがいち早く恋の季節を迎えます。
 モズは全長20センチメートルで、大きめの頭にかぎ型の鋭いくちばし、体は太めで長い尾を持っています。九州以北のほぼ全国で繁殖し、北の地方や山地のものは冬越しのために南下したり山ろくへ下りたりします。モズといえば秋のイメージがあり、『モズの高鳴き』を聞くと秋の訪れを感じる人も多いと思われます。これは、秋に越冬地へやってきて高鳴きをして縄張り宣言をするので人に近く、目立つ存在となっているからでしょう。狭山丘陵周辺では秋に単独で縄張りを持ちそのまま繁殖するものと、初夏にやってきて繁殖するものとがいます。いずれにしても繁殖を終えると夏場は移動してしまうようです。巣は平地、低山地帯の農耕地や林縁、川岸の林などの低木や笹薮に造ります。
 恋の季節を迎え冬の縄張りを離れたメスはオスの縄張りを次々と訪れます。オスは求愛ダンスをし、小声でほかの小鳥の声を混ぜた複雑な歌を歌います。モズは他の鳥の鳴き声をまねるのが上手で、『百舌鳥』とついたといわれます。秋の強く鋭い鳴き声とは違い、春のさえずりは短めで優しい声です。オスのディスプレイを見て回ったメスはやがてペアになると甘えた声や身振りをし、オスは求愛給餌をします。一夫一妻とされますが、遺伝子調査の結果ほかのオスのひなも混ざっていることが分かったとか。相手を決める選択権がメスにある結果でしょうか。
 モズは動物食で、昆虫類をはじめ爬虫類、ネズミ、小鳥も食べます。小動物を枝に刺してはやにえを作ることで知られますが、これは縄張り宣言だとか貯食のためだとか諸説あり、繁殖期にこのはやにえを食べることにより、良い声を出すとかも言われています。農耕地などの減少も関係があるのかモズは最近数を減らしています。カッコウの托卵相手にもなっているモズ。カッコウが減っているのもこれに関係するのではと言われています。身近な鳥のようですが万葉集には2首しか詠まれていません。
春さればもずの草ぐき見えずとも 我れは見やらむ君があたりをば
春になれば草に潜ってモズが見えないと詠っていますが言い得て妙ではないでしょうか。
 暖かい日差しに恵まれ1月中に成虫越冬しているキタキチョウの飛ぶ姿が見られました。早春に発生するミヤマセセリも今年は早いかもしれません。暖冬の影響でソメイヨシノの開花が遅れるのではと言われています。12月にちらほらと咲いていたヤマザクラはどうなるでしょうか。例年12月ころから咲いていた早春の花、オオイヌノフグリが今年はなかなか咲きませんでした。冬芽も変化が見られ始めるころとなってきました。冬本番もあとわずか。暦の上の春は来ています。

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