春よこいとキタキチョウ【ふれあいの里だより(平成31年2月号)】

更新日:2019年2月1日

気候が陽気になるころということから気更来(きさらぎ)となったとも言われる『如月』となりました。暦の上では春ですが、冬本番の寒さは続きます。
チョウたちは寒い冬を卵、幼虫、さなぎ、成虫と様々な形態で過ごしています。成虫で冬越しをしている種の一つにキタキチョウがいます。
キタキチョウと聞くと「あれ?キチョウでは?」と疑問に思う方も少なくないのではないでしょうか。それもそのはず、従来日本のキチョウは1種とされていましたが、研究の結果南西諸島にのみ分布する種をキチョウ、本州以南に分布する種をキタキチョウと分割されるようになりました。キチョウはキタキチョウに対比してミナミキチョウとも呼ばれます。研究結果が発表された2005年以降に改定や新しく出版された図鑑などではキタキチョウという記述になっています。南西諸島では両種が混在しますが、見た目で区別はとても難しいです。
キタキチョウは前翅長18ミリから27ミリのモンシロチョウより少し小さいその名の通り黄色いチョウで年間を通してオスの方が鮮やかな黄色をしています。極めて普通種ですが、東北北部ではまれです。低山地の森林から人家の近くまで、食草があればいろいろな場所で見られます。幼虫は典型的な青虫で食草はネムノキやハギ、ヤハズソウなどのマメ科で、これらの葉を食べます。カワラケツメイやクズはマメ科でも食べません。センターエリアではハイメドハギに産卵しているところを確認しています。庭や公園によく植えられているミヤギノハギでさなぎが見つかることもあります。
3月から11月ころまで発生を繰り返しますが、雌雄ともに季節による変異があり、夏型、秋型、中間型があります。夏型は翅表の黒縁が強く発達し、秋型は黒縁が後退し、翅裏にあるゴマのような斑紋が目立つようになります。中間型は文字通り間をとった形態をしています。これは主に日長によって生じるとされますが、9月ころには3つのタイプが混在している時期があります。日照時間が短いと卵巣が未発達の成虫休眠型になり、チョウの飛ぶ姿がほとんど見られなくなった11月にキタキチョウばかりが目立ちますが、これらはほどなく冬眠に入り、越冬後交尾します。
様々な花を訪れ吸蜜し、オスは湿地などで集団吸水することもあります。糞尿にも集まります。飛ぶとき以外はほとんど翅を開きませんが、日に透けて黒縁が確認できます。よく見かける黄色いチョウの季節の変化に春から気を付けてみると発見があるかもしれません。
今は草かげなどでじっと春を待っているキタキチョウ。オオイヌノフグリやホトケノザは咲き始めています。ウグイスカグラやウメも咲き始めています。咲き乱れる花々の上を飛ぶ夢でも見ているかもしれませんね。
シジュウカラが囀り始めていますが、巣造りはもう少し先、エナガやモズ、オオタカなどはそろそろ巣造りに入ります。春の足音が聞こえてきそうな2月の森。ノイバラがもう芽吹いていますよ。
澄んだ冬の空、2月19日の宵から20日の明け方に見える月は今年最も大きく見える満月、スーパームーン。27日日没直後は太陽に近くなかなか見る機会のない水星が、西の空に太陽から最も東に離れ見やすくなります。春になると空はぼんやりとしてきます。2月の宵の空には冬の星座オリオン座が凛と輝いています。

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月曜、祝日の翌日(その日が休日の場合を除く)、12月29日から1月3日

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