可愛い尻尾 ツバメシジミ【ふれあいの里だより(令和元年11月号)】

更新日:2019年11月1日

少数ながら日本にとどまる越冬ツバメがいますが大半はフィリピン、インドネシアなど南の国へ渡っていったツバメ。11月になるとチョウの数もぐっと減りますが、地面近くをちらちらと飛ぶ小さなツバメシジミがまだ見られることがあります。

ツバメシジミは前翅ぜんしちょう9ミリメートルから19ミリメートルの小型のチョウで、北海道、本州、四国、九州および周辺離島に普通に見られ、国外ではユーラシア大陸北部に広く分布します。田畑の周辺や河川の堤防など日当たりの良い環境に生息し、都市近郊でも見かけます。また食草があれば山地でも見られます。

幼虫の食草はシロツメクサやコマツナギなどマメ科植物で、新葉、花、つぼみ、果実を食べます。

後翅こうしにある尾状突起が野鳥のツバメの尾を連想させるとしてツバメシジミと名前が付いたとされ、後翅裏面にあるオレンジ色の斑紋も特徴です。飛んでいるとヤマトシジミと区別がつきにくいですが、止まると後翅で確認できます。英名はshort-tailed blueでやはり尾状突起がポイントのようです。

いろいろな花で吸蜜し、地面で吸水もします。止まっているときは後翅をすり合わせるようにしていて、これは尾状突起とオレンジの斑紋で天敵に頭と勘違いさせて身を守ろうとしているとも言われます。メスは食草の花に腹部を差し込むようにして産卵した後そのまま吸蜜もします。

寒冷地では年2、3回、暖地では年5回程度発生します。冬は幼虫で過ごし、3月ころからヤマトシジミより一足早く発生します。オスの翅表は青紫色でメスは黒色ですが季節変異があり、メスの春型は翅表に青く輝く部分が出ます。北海道では特に青色鱗の発達した個体が多く出るとか、早春の美しいメスにぜひ出会いたいものです。

春先から晩秋まで発生直後には多いなど数にばらつきがあるものの身近にいるツバメシジミ。気を付けて見ると足元を飛んでいるかもしれません。もしやと目星をつけて止まった時に尾状突起とオレンジの斑紋が確認できると嬉しくなります。

モズの高鳴き75日と言われ、モズの高鳴きが聞かれてから75日後には霜が降りるとされますが、センター周辺では9月下旬に聞かれましたので霜が降りるのはもう少し先になりそうです。暦の上では霜降から立冬へ、11月下旬には「小雪」となります。

今年は木々の実が成り年かと思いましたが、長雨や台風、大雨と天候不順だったせいか若実のうちに落ちてしまったものが多く見られました。少ないながらガマズミやオトコヨウゾメの赤い実、ムラサキシキブの紫の実、アオツヅラフジの黒紫色の実に出会えるとホッとします。野鳥たちにとっては貴重な餌です。

いつまでもスズメバチが元気だったりジョロウグモの小さいメスが多かったり何かと季節の進みがおかしい感じがしますが、やはりこの時期紅葉が待たれます。冬越しのためにまだ移動中の野鳥もいて、思わぬ出会いがあるかもしれません。
少なくなったチョウとの出会いも期待しながら小春日和には散策を楽しみたい季節です。

お問い合わせ

埼玉県狭山丘陵いきものふれあいの里センター

郵便番号359-1133 所沢市荒幡782番地
西武狭山線 下山口駅 徒歩約15分
電話:04‐2939‐9412

休館日

月曜、祝日の翌日(その日が休日の場合を除く)、12月29日から1月3日

本文ここまで