令和6年所沢市議会第1回定例会施政方針・提案理由説明要旨(令和6年2月20日)(全文記載)

更新日:2024年2月22日

はじめに

 本日ここに、令和6年所沢市議会第1回定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆さま方におかれましては、ご健勝にてご参集賜り、新年度予算をはじめ市政における重要案件につきまして、ご審議いただきますこと、厚く御礼申し上げます。
 まず冒頭、本年1月1日に起きました能登半島地震でお亡くなりになられた多くの方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた皆さま方に心よりお見舞い申し上げます。
 本市におきましても、被災地域の皆さまが、一日でも一刻でも早く、日常を取り戻せますよう、支援に努めてまいります。
 また、改めまして、市長の任を賜っている者として、本市における防災及び危機管理の重要性を強く意識した次第でございます。
 それでは、令和6年度予算をはじめ諸議案の審議をお願いするにあたり、「市政運営と予算編成の基本的な考え方」及び「令和6年度予算の概要」を申し上げ、市民の皆さま方並びに議員の皆さま方のご理解、ご協力を賜りたく存じます。

市政運営と予算編成の基本的な考え方

 まず、令和6年度における、「市政運営の考え方」につきまして申し上げます。
 社会情勢の変化を的確に捉え、発想の転換や既存の枠組みに囚われない柔軟な取組などにより、市民の皆さま方並びに議員の皆さま方からのご意見・ご要望も賜りながら、職員と共に将来を見据えた市政運営に努めることが、重要であると考えております。
 そのような中、令和6年度予算案につきましては、「小・中学校の給食費の無料化」、「18歳までの医療費の無料化」など、市長選挙における公約を踏まえ、着実に市政を進めて行く所存でございます。
 続きまして、令和6年度の「予算編成の基本的な考え方」につきまして申し上げます。
 4年を超え、長きにわたり続いたコロナ禍から脱却し、「ポストコロナ」へ転換しつつあるなど、経済全体の好転が予想される中、秋には、所沢駅西口に広域集客型商業施設が開業する予定であり、本市において、新たな魅力と活気が生み出されるものと期待が寄せられているところでございます。
 そのような中、本市の令和6年度市税収入につきましては、個人市民税や固定資産税を中心に増収を見込んでおります。
 一方で、増加の続く社会保障経費や老朽化施設の整備に関する費用に加え、物価高騰に伴う様々な経費の増加から、歳入見込額を上回る財政需要に対応すべく、財政調整基金の取り崩しを行うなど、本年においても厳しい予算編成となりました。
 令和6年度は、本市が更なる発展・成長を続けるため、子ども及び子育て世帯の方々に対する施策に焦点を当てるなどいたしました。
 限られた財源を市民の皆さま方に最大限有効活用すべく、必要な行政サービス・事業にメリハリを付けた予算配分を行った次第でございます。
 その上で、「一件査定方式」による予算編成を行いました結果、一般会計の総額は、1,216億4,100万円となりました。

令和6年度予算の概要

 次に、令和6年度予算の概要を申し上げます。
 一般会計の総額は、1,216億4,100万円となり、前年度当初予算比5.9%、68億1,100万円の増、また、特別会計、事業会計を加えた全会計の合計は、2,129億4,070万8千円となり、前年度当初予算比2.8%、57億5,569万8千円の増となりました。
一般会計が増額した要因といたしましては、歳出の約半分を占めます民生費が、社会保障経費を中心に約33億4千万円の増額となったことや、第2一般廃棄物最終処分場整備工事の進捗などに伴い、衛生費が約31億7千万円の増額となったこと、また、「小・中学校の給食費の無料化」の実施により、約12億7千万円の増額となったことなどが挙げられます。
 一方で、減額となった要因といたしましては、所沢市立第2学校給食センター建設工事が完了したことに伴う工事費の減や、新型コロナウイルスワクチン接種事務委託料の減などが挙げられます。
 また、歳入につきましては、市税や各種交付金を社会情勢などに合わせて見積もるとともに、後年度の負担が過重とならないよう勘案しながら、市債や各基金からの繰り入れなどにより対応することといたしました。
 それでは次に、分野ごとに主な施策をご説明いたします。

1「防災・危機管理」

 最初に、「防災・危機管理」の分野でございます。
 近年、日本各地で大きな災害が発生しています。自然災害について防ぐ手段はございませんが、だからこそ、自助・共助・公助を連携させ、災害への対応力を高めるための仕組みづくりや取組が重要であると考えます。
 「避難行動要支援者支援・個別避難計画作成事業」につきましては、災害時の一助となるよう制度の周知と避難行動要支援者名簿の作成を実施してまいりました。
 令和6年度は、この仕組みを一層進めるため、市民の皆さまが災害に見舞われたとしても無事に避難できるよう、個別避難計画の作成に着手いたします。
 また、災害時の避難生活に必要な情報提供手段として、令和6年度以降も引続き、臨時災害FM放送局の開設や受信に必要な訓練の実施と周知に取り組んでまいります。
 加えて、市民生活を支える道路や上下水道のインフラ整備についても、「災害に強いまちの実現」に向けて着実に取り組んでまいります。

2「福祉・自治・防犯」

 次に、「福祉・自治・防犯」の分野でございます。
 「福祉」につきましては、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、医療・保健・福祉の各分野の専門職チームによる包括的支援、地域包括支援センターの運営、権利擁護や認知症施策の推進、生活困窮者支援などにより、地域住民の福祉の増進に努めてまいります。
 「自治」につきましては、安心して快適に暮らせる地域社会を実現するため、地域で重要な役割を担う自治会・町内会や地域づくり協議会、市民活動団体などの一層の支援に取り組んでまいります。
 「防犯」につきましては、犯罪被害者等基本法の趣旨に則り、犯罪の被害に遭われた方などの支援に関する施策の総合的な推進に取り組んでいくため、「所沢市犯罪被害者等支援条例」を今定例会で提出しております。

3「子ども・教育」

 続きまして、「子ども・教育」の分野でございます。
 「子ども」につきましては、公約で優先事業として掲げました 「小・中学校の給食費の無料化」と「18歳までの医療費の無料化」を行ってまいります。
 また、0歳児を養育する家庭へ、紙おむつをはじめとする育児に係る生活用品や、ベビー用品などを対象としたデジタルギフトを支給することで、子育て世帯の方々への負担軽減を図ってまいります。加えて、不登校やひきこもりで発達障害が疑われる児童が、社会へつながっていけるよう、全国に先駆けて、家庭訪問による早期のアプローチ及び療育的支援を行ってまいります。
 「教育」につきましては、安心・安全な学校づくりのため、施設設備の改修を進めるだけでなく、防犯カメラの設置やいじめの未然防止プログラムの実施、保護者と学校や教育委員会が直接情報を共有するための連絡ツールの導入などを推進してまいります。
 誰一人取り残されない学びの保障に向けた取組につきましては、地域の教育力を活用した小学生を対象とした基礎学力向上プロジェクトや、コミュニティ・スクールの対象校の拡大、オンライン学習を活用した不登校の児童生徒に対する学習支援の強化、放課後の子どもの居場所づくりなど、子どもの学びの充実に努めてまいります。

4「保健・医療」

 続きまして、「保健・医療」の分野でございます。
 「保健」につきましては、「健幸長寿のまち」実現に向けて、歩くことによる健康づくりを推進するため、トコトコ健幸マイレージ事業を継続してまいります。
 また、高齢者のフレイル予防や自主的な健康づくりの支援を目的として、保健事業と介護予防事業を一体的に運用し、健康リスクの高い方に個別の働きかけを行うとともに、健康に不安がない方にも通いの場などを活用した健康教育を実施してまいります。
 加えて、近年の気候変動の影響により、熱中症対策は喫緊の課題となっていることから、熱中症警戒アラート発表時の注意喚起や、暑さを避けるためのスペースの確保など、熱中症対策を推進いたします。
 「医療」につきましては、安心して子育てができる医療環境を整備するため、市内医療機関と連携しながら、所沢市域全体として、「365日小児の初期救急医療」を提供できる体制を堅持いたします。また、所沢市市民医療センターの再整備に向けて、近隣にお住まいの方に配慮しながら、新病院の設計を進めてまいります。

5「環境」

 続きまして、「環境」の分野でございます。
 ゼロカーボンシティ実現に向けて、再生可能エネルギーの創出、電力使用に伴う二酸化炭素排出量削減及び災害時のエネルギー供給機能の確保を目的に、市の所有する公共施設への太陽光発電設備の導入を推進してまいります。併せて、再エネ・省エネを推進し、市域の温室効果ガス排出量の削減を図るため、スマートハウス化推進補助制度を継続して実施し、市民の皆さま、事業者の方々などの脱炭素への取組を後押ししてまいります。
 また、市内事業者の方々を対象に環境に関するアンケートを実施し、事業者の実態を把握するとともに、本市の脱炭素に向けた取組への理解を促してまいります。加えて、循環型社会形成に向けた取組として、生ごみ処理機購入補助制度を拡充し、家庭からの燃やせるごみの減量を図るとともに、より効果的な資源化・減量化方策の検討などを進めてまいります。
 本市の大きな価値のひとつであります「みどり」については、次世代の子どもたちへ豊かなみどりを引き継ぐため、生物多様性にも配慮しながら、里山保全地域等の指定に取り組んでまいります。

6「産業・文化」

 続きまして、「産業・文化」の分野でございます。
 「産業」につきましては、新たな産業用地への企業の誘致のみならず、小規模でも付加価値の高い都市型産業の立地を促進するとともに、商業振興におきましては、商店街活動への支援に加えて、空き店舗を活用した新規創業支援に取り組んでまいります。
 また、農業においては、市内で生産された農産物のPRを図るとともに、学校給食への導入など、地産地消を推進してまいります。
 そのほか、観光事業では、所沢ブランド特産品や所沢市観光情報・物産館YOT-TOKO(よっとこ)の活用、観光スポットをご案内する道標どうひょうの整備などを進めてまいります。
 「文化」につきましては、市民の皆さまが、日々いきいきと過ごしていただくため、その果たす役割は重要であると考えます。市内で活動する文化団体の方々への支援を継続してまいります。
 また、開館30周年を迎えた所沢市民文化センター・ミューズは、日本最大級のパイプオルガンを備え、日本屈指の優れた音響を誇るアークホールをはじめとする複合文化施設であり、市民の皆さまはもとより、市内外の多くの方々に利用され、親しまれている施設でございます。世界最高峰のオーケストラ公演などを身近に鑑賞できる貴重な場というだけでなく、市民の皆さま方の様々な文化活動が行われる場でもあり、まさに本市の「文化の殿堂」として引続き多くの市民の皆さまが気軽に文化・芸術に触れる機会を提供してまいります。
 加えて、国の登録有形文化財である「旭橋」の電灯復元に着手するとともに、「秋田家住宅」の整備活用に向けた検討も進めてまいります。また、新たな取組として、成果創出期にあたるCOOLくーる JAPANじゃぱん FORESTふぉれすと構想の更なる発展に向け、所沢Mixみっくすカルチャーフェスタを開催いたします。

7「街づくり」

 続きまして、「街づくり」の分野でございます。
 本年秋に、広域集客型商業施設が開業予定の所沢駅西口地区では、所沢駅ふれあい通り線や駅周辺の歩行者デッキなどの整備を進め、本市の表玄関にふさわしい魅力と活力ある街づくりを目指してまいります。また、ファルマン通り交差点周辺の無電柱化も併せて進めてまいります。加えて、西所沢駅の利便性向上のため、同駅の西口改札を開設する取組を推進いたします。
 産業団地の創出を進めている三ケ島工業団地周辺地区においては、令和5年度において設立された土地区画整理組合による早期の工事着手に向けて、支援を継続してまいります。また、関越自動車道所沢インターチェンジ周辺地区においては、事業を実施する主体となる土地区画整理組合の設立に向けた支援を行います。
 都市基盤が整備され、自然環境と調和した魅力ある住環境の実現に向け、北秋津・上安松地区、若松町地区及び下安松東地区の土地区画整理事業において、組合が実施する工事等への助言・支援などを継続してまいります。また、上安松・下安松西地区においては、早期の組合設立認可を目指し、手続きを進めてまいります。
 加えて、歩行者の安全確保のため、両側に歩道を設けた松戸橋の改築や、三ケ島地区における新たな公園の整備を進めるとともに、ところバス・ところワゴンについては、更なる充実を図ります。

8「行財政」

 最後に、「行財政」の分野でございます。
 厳しい財政状況の中、多様化・高度化する市民ニーズに適切に対応し、市の施策を計画的かつ効果的に推進していくため、民間活力の活用などの実施手法も検討する必要があります。
 そのため、まず、本市の最上位計画である「第6次所沢市総合計画・後期基本計画」を本年第3回定例会に議案として提出できるように準備を進めてまいります。また、中核市への移行について、総合的に調査及び準備を行ってまいります。併せて、企業・大学などの皆さまが持つノウハウや技術を活かして、地域課題を解決する公民連携の取組を、引続き進めてまいります。
 加えて、自治体DXでぃーえっくす(デジタル・トランスフォーメーション)につきましては、計画的かつ効果的な施策のため、取組を進めているところでございます。令和6年度は、市民の皆さまの利便性向上を目指して、主要な業務システムを国が示す標準準拠システムに移行する「情報システムの標準化」を本格化させます。
 その他、新たに、全国の自治体の業務改善事例を職員が学ぶ「全国都市改善改革実践事例発表会」の本市での開催、庁舎基幹設備の改修なども取り組んでまいります。
 また、ここまで申し上げてまいりました事業を実施するために必要となる歳入の確保についても、所沢駅西口地区や土地利用推進エリアでの取組などによる市の魅力向上、働く場所・住む場所の確保、加えて、ふるさと納税制度の活用などによって更なる充実を図ってまいります。
 以上、令和6年度の主な施策につきましてその概要をご説明いたしました。

その他の案件

 次に、令和5年度3月補正予算の概要につきまして、ご説明申し上げます。
 はじめに、議案第3号「令和5年度所沢市一般会計補正予算(第9号)」につきましては、民生費などにおいて不足する事業費の追加、国・県の補助金等の確定に伴う返還金に加え、地方交付税の追加交付などについて計上いたしました。
 この結果、補正額は3億2,445万8千円の増額となり、補正後の予算額は1,305億7,508万5千円となるものでございます。
 なお、補正予算の財源につきましては、国庫支出金、県支出金、繰入金及び市債などで調整をさせていただいております。
 また、予算第2条で繰越明許費、第3条で債務負担行為、第4条で地方債につきまして、それぞれ補正をお願いしております。
 次に議案第4号から議案第7号につきましては、それぞれの特別会計における、国庫補助金等の決定や事業費の確定などに伴う補正を行うものであります。
 続いて、条例その他の議案でございますが、まず、新規制定といたしまして、議案第18号「所沢市犯罪被害者等支援条例の制定」及び議案第19号「所沢市地区計画区域内における建築物の制限に関する条例の制定」の2件を提案しております。
 次に、一部改正といたしまして、「所沢市地域公共交通協議会条例の一部改正」など、議案第20号から議案第42号までの23件を提案しております。
 次に、条例廃止といたしまして、議案第43号「所沢市教育委員会委員定数条例の廃止」を提案しております。
 次に、その他の議案といたしまして、議案第44号及び議案第45号は「請負契約の変更」を、議案第46号から議案第49号までは「市道路線の認定及び廃止」をそれぞれお願いするものです。
 また、諮問第1号及び諮問第2号につきましては「ダイオキシンを少なくし所沢にきれいな空気を取り戻すための条例」の規定に基づき、議会の意見を求めるものです。
 なお、提案理由等につきましては、それぞれ記載のとおりです。

むすび

 むすびに当たりまして、私が申し上げるまでもなく、所沢市は可能性の宝庫のまちでございます。その数多あまたの可能性を花開かせていくことによって、市民の皆さま方の笑顔と幸せが増えていきますように努めてまいります。
 議員の皆さま方におかれましては、提出いたしました各議案につきまして、慎重ご審議のうえ、ご議決賜りますようお願い申し上げ、令和6年度の施政方針とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。

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