御幸町山車及び二代原舟月作人形「関羽・周倉」 附 人形銘札一枚

更新日:2016年7月1日

 御幸町の山車は、かつて所沢町の鎮守神明社の秋の祭礼(9月15日)に曳かれていたもので、大正以降は大きな祝賀行事の際に曳かれるのみとなり、現在は「ところざわまつり」(例年10月の第2日曜開催/ところざわまつり実行委員会主催)において曳き回しされています。
 山車の製作年代は、屋根の破風板裏面に残る墨書から明治6年(1873)9月と判明しており、西多摩郡石畑村(現在の瑞穂町石畑)が八王子から購入したものを、さらに所沢の綿糸商・秋田 正太郎が購入して下町(現在の御幸町)に寄贈したと伝えられています。山車の総高は4.8メートル、総彫・総地紋の彫刻が全体に施されており、台は欅材、車輪は樫材。内部は、花頭型の出入口で前部と後部が仕切られ、総彫の脇障子が4か所にあり、外回りには勾欄が付いています。
 2体の山車人形は、中国・三国時代の英雄「関羽」と従者の「周倉」(周倉は正史『三国志』にみえない架空の人物)であり、人形製作者は二代原 舟月(明和5年?から天保15年)、製作時期は江戸時代後期の文化から天保頃と推察されます。両像とも桐材の木彫、玉眼、胡粉地に彩色がなされ、頭部の首下に角材のヤトイほぞを設けて胴体に差し込む構造となっており、いずれの頭部も首ほぞ正面に「原 舟月作」(楷書)の陰刻銘が施されています。関羽の頭髪は胡粉で作られ、「美髯公」と称された髭は獣毛を植え、胡粉にベンガラを混ぜて顔に赤みを帯びさせて、偉丈夫な面相を作り出しており、一方、従者の周倉は、もと山賊との伝を髣髴させるような黒い肌の恐ろしげな忿怒相に仕上げ、頭髪・眉・髭等には厚く植毛を施し、頭巾を被せています。
 附指定の人形銘札は、表に舟月自筆とみなされる「古今亭原 舟月作(朱文円印「原」)」、裏に「古今亭原 舟月作」(後筆)の墨書があり、人形制作当時のものと判断されます。
 山車人形は、諸書に記録された江戸を代表する萬木彫細工人二代原 舟月の製作であり、その完成度の高さに加えて保存状態もよいことからすると、現存例が少ない二代原 舟月の代表作に数えられるものと思われます。江戸の祭りの遺風を伝える華麗豪華な山車の造りとそれをさらに引き立たせる一流人形師による2体の山車人形は、江戸とその地回り経済圏の文化を語る上での第一級の資料と評価されます。
【指定年月日】昭和44年6月27日

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