旧和田家の衣生活資料

更新日:2020年1月15日

 「旧和田家の衣生活資料」は、三ヶ島の茶業農家の和田家で長年使用・保存されてきた衣生活資料です。
 和田家は、昭和30年代には茶業を主たる生業としていましたが、古くは養蚕を行い、その副産物である屑繭で自家用の絹布を織っていました。また、親戚筋に機屋を有することで木綿紺絣(所沢絣)や村山大島紬の賃機織りにも従事するなど、時代を鑑みつつ数種の生業・副業を経ています。資料には生業の変遷が反映され、衣料の賄い方や管理の仕方、身だしなみといった衣生活全般を通した暮らしの有り様を克明に読み解くことができます。大まかに以下のように分類されます。
服物(着物208点、帯42点、下着47点、付属品15点、携行具5点、被り物4点、履物3点、子ども着25点)
 一部に仕事着や家着もありますが、大部分はよそゆき着とハレ着です。布地には紬、平絹、斜子、縮緬等があり、手織りの紬がその多くを占めます。また、女性の着物は八代目から十代目の妻が製作あるいは購入し、嫁入りに持参したものと伝えられており、その年代は明治後期から昭和30年代初期が主となります。
衣類の管理用具(66点)
 針箱や衣桁の他、つぎあてやはぎ合わせ等の繕いに用いるための膨大な端切れがあります。端切れは、保存した縫い手の意図を反映し風呂敷包みのままとしています。
製糸・機織り用具(24点)
 衣料の製作は繭作りに始まり、繭から取った生糸で白生地を織って柄物や無地に染めたり、生糸を染めて縞に織ったりしました。製糸用具には座繰りや百回しがあります。機織り用具には、筬、筬柄、杼があります。また、織りじまいの経糸を綜絖と筬に通した状態の資料が10組あり、これらはいずれも織布の端が残っているので、糸と織りあがった布地、使用された筬と綜絖が同時に確認でき、たいへん貴重な資料です。機織りの残糸には生糸、精練染色を施した絹糸、フトリ(太織)と呼ばれる繭の表面から出た熨斗糸、及び紺や色物に染めた綿糸があります。また、所沢絣や村山大島紬の残糸も認められ、これらは和田家で賃機織りが行われていたことの裏付けとなります。
容姿用具(4点)
 容姿用具は身だしなみを調えるためのもので、女性の結髪用具や化粧用具等があり、一式揃った状態で保管されているものもあります。
寝具(33点)
 寝具も寝間で身に纏う衣類であり、夜具は就寝時の綿入れ長着といえます。なかでも、木綿縞や木綿紺絣の残糸を利用したオリチラガシ(織り散らかし)の布地を多数枚はぎ合わせた布団側は、ふだん着を再生して繰り回す技や副業の様子が読み取れ貴重です。日本髪の女性が就寝時に用いた箱枕も状態が良く、未使用品を含む3組が指定の対象となっています。
その他(4点)
 衣類の収納用具である箪笥のうち、江戸時代の掛硯様式を踏襲する二段重ね上開き箪笥、また状態のいい布製品で戦時中の慰問袋や挟み箱の被いなどがあります。

【指定年月日】令和2年(2020)1月15日

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