令和3年11月号 小暮晴彦さん・小暮重行さん(三代続く市内唯一の養蚕農家)

更新日:2021年10月28日

プロフィール

小暮こぐれ 重行しげゆきさん 小暮こぐれ 晴彦はるひこさん

(北野南在住)

重行さんは純所沢産落花生『トコピー』の生産にも力を入れている。
地元の活性化にも尽力し、北野天神社での「夜桜あかり」にも携わる。

「お蚕様」と呼ばれた時代を令和の今に伝える

市内唯一の養蚕ようさん農家である小暮家は家長の晴彦はるひこさんと奥様の房子ふさこさん、長男の重行しげゆきさんと奥様の由木子ゆきこさんの4人で養蚕を営んでいる。
かいこまゆを作り出荷するまでの期間はわずか1カ月ほど。小暮家では、今でも春蚕期はるごき夏蚕期なつごき晩秋蚕期ばんしゅうごきと年3回繭の出荷をしている。
蚕が小暮家に届くと包みをほどき、晴彦さん夫婦と重行さん夫婦がペアとなって手際よく数万匹いる蚕をできるだけ重ならないように散らして、まず長旅で疲れた蚕を休ませる。

「蚕は桑と温度を食って大きくなる」と晴彦さん。外気との寒暖の差が激しい時は暖房機で室温を調整するが、湿度が高くなると病気になりやすいので、窓の開閉で湿度を調整するなど、蚕の成育に適した環境作りが欠かせない。
「おやじは夜中も起きて蚕の所へ、室温を調整したり桑やりをしたりして、蚕にかける想いは人一倍強いよね」と重行さん。「蚕は手をかければかけるほど良い繭を作るから、手は抜けないんだよね」と輝いた目で語る重行さんの養蚕に対する熱意を小暮家一家で支えている。


地元の北野小学校では毎年3年生の総合学習の一環として、小暮家から蚕を譲り受け、児童1人1人が土日は家にも持ち帰り、蚕の飼育をしている。
「蚕の成長はあっという間だから、初めて蚕を見た時と、繭を作り蛾になるまで世話をした後の子どもたちの顔はね、全然違うんだよ。生き物を世話するって事は大切な経験になるんだよね」と子どもたちからの手紙を丁寧に読み返しながら晴彦さんは言う。


蚕が勢いよく桑を食べている時のカサカサという音が聞こえなくなり、頭をあげる動作をし始めると、それは繭を作る合図だ。 「上蔟」という繭を作る場所へ蚕を移動させる工程は、一番人手が必要で、この時ばかりは知人や遠方の親戚にも手伝ってもらっての作業となる。
長男である重行さんは、周囲から当然のように家業を継ぐと期待されている事に窮屈さを感じ、一度は大手企業に就職。充実した社会人生活を送っていたが、趣味の無農薬での田畑作りをするようになると、畑を無農薬でやる事は片手間でできる事ではないと痛感。30歳で退職し家業を継ぐことを決意、気づけば20年以上が経っていた。

「養蚕業は分業制だから、どこかがやらなくなったら、産業自体が無くなっちゃうんだ」と淡々と決意を秘めた表情で語る重行さんは、会社員時代に培った技術を取り入れ、父晴彦さんが大切にしている養蚕を守り抜いている。
(取材:坂本)

web版こぼれ話 ※「お蚕様」の写真もありますので、幼虫の苦手な方はご注意ください。

蚕の成長~配蚕はいさんから出荷まで(おもに晩秋蚕期)~

蚕が小暮家に来てから出荷されるまでを、写真で紹介します。

配蚕はいさん

桑の収穫

上蔟じょうぞく

毛羽けば取り

出荷

成虫

ギャラリー

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