令和3年7月号 丹下開登さん(俳優)

更新日:2021年6月26日

プロフィール

丹下開登たんげかいとさん

(南住吉在住)

社会の偏見や差別をテーマに扱う舞台「チョコレートドーナツ」でダウン症の少年・マルコ役を演じる。俳優として舞台などに立ちながら、就労継続支援事業所の菓子工房でケーキの製造に従事。幼い頃からアイドルグループ・嵐の大ファン。

未来を切り開く 空高く飛ぶ "カイト" のように

令和2年12月、舞台「チョコレートドーナツ」のカーテンコールでひときわ輝きを放つ青年がいた。映画版が日本でも反響を呼んだ同作品が、宮本亞門さんの演出で世界で初めて舞台化。ダウン症の少年・マルコ役を演じた、自身もダウン症のある丹下開登たんげかいとさんは「終演後のカーテンコールは最高でした」と振り返る。
ダウン症のある人たちのエンタテインメントスクール・ラブジャンクスに2歳半から所属している丹下さん。ダンスのレッスンに励んでいたある日、「チョコレートドーナツ」の舞台化に際して、マルコ役を募るオーディションがあることを知る。自信はあまりなかったというが、見事ダブルキャストの一人に抜てき。「うれしかったけど、自分にできるのか不安でした」。それもそのはず、それまでに演技経験はなかったのだ。
1カ月間、連日のように続く稽古の日々。共演者には、東山紀之さんや谷原章介さんといった名立たる俳優陣。皆に付いていくために、必死になって台本を覚えた。母の清美さんは、「自宅や移動中の車内でも、とにかく台本と向き合っていた。声を掛けるのをためらうほど没頭している様子でした」と丹下さんの集中力に驚かされたという。

同性愛や障害に対する社会の偏見・差丹たん下げ開かい登とさん別に立ち向かう人々を描いた同作品。丹下さん自身も過去に誹ひ謗ぼう中傷を受けたことがあり、障害者をさげすむようなセリフに、辛い過去を重ねてしまうことも。次々と変わる台本を覚え直したり、感情を乗せて演じたりすることにも苦労した。
しかし、稽古を振り返って出てくるのは「楽しかった」という前向きな言葉。その姿勢は、高校生の頃に始めた作詩にも表れている。希望、未来、信頼…。丹下さんの作る詩はこうした前向きなテーマのものが多い。自分の胸の内をピュアに表現した詩は、障害の有無に左右されず自分の未来を信じる、どこまでも真っすぐな心の丹下さんを象徴している。


『共に過した時間は僕等を支えて
いつまでも大人になっても思いが伝える
大切にして写真はアルバムにあるから
僕は小さい頃を思い出す
生んてくれてありがとう
忘れないてこれからもずっと楽しいかった日々が残るから
20年間は自分は変わりだすから
未来は繋ぐ』(母・清美さんに贈った詩/原文ママ)


初めての舞台で大役を果たした丹下さんの夢は、幼いころから憧れているアイドルグループ・嵐のような存在になること。今後は舞台だけでなく歌やダンスも披露したいと意欲を見せる。
空飛ぶカイトのように、自分の未来を切り開いていってほしいと思いを込めて名付けられた「開登」。真っすぐな心を持った青年は、羽を広げ、空高く羽ばたいていくことだろう。(取材:宮崎)

web版こぼれ話

共演者との絆

舞台・チョコレートドーナツの共演者に自作の詩を見せたという丹下さん。
感銘を受けたピアニストが曲を付けて、オリジナルのCDを作ってくれたそう。
美しいピアノの音色と温かい共演者の歌声で色付けされていく丹下さんの世界観に引き込まれました。

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