令和2年11月号 安彦良和さん(漫画家、アニメーター、アニメ監督)

更新日:2020年10月27日

プロフィール

安彦やすひこ 良和よしかずさん

(市内在住)

社会現象を巻き起こし、今なお世代を超えて愛されるアニメーション作品「機動戦士ガンダム」でキャラクターデザイン、作画監督を務めるなど、アニメーターとして活躍。
漫画家に転向後は「ナムジ」(日本漫画協会賞優秀賞)など、歴史を題材とした作品などを多数世に送る。
現在、自身の「最後のアニメ」と思い定める作品を制作中。

70周年記念誌の表紙絵作者は漫画・アニメの「匠」

時は明治時代。
日本初の飛行場「所沢飛行場」で、早朝の青空をバックに今まさに飛び立つアンリ・ファルマン機。
クラシックな飛行服姿で立つ男性は、初めて飛行機で空を飛んだ日本人、徳川好敏よしとし大尉がモデルだ。
その目が見据えるのは、はるか東の空か、その先の未来だろうか。
市制施行70周年記念誌の表紙を飾るこの絵の作者は、安彦良和さん。
日本を代表する漫画家・アニメーターの1人だが、本人はあくまで自然体。
「アンリ・ファルマン機の資料を見ると、操縦席がむき出しでシートベルトも見当たらない。昔の飛行機乗りは命がけだったんですね」。
語る口調はどこまでも穏やかだ。
生まれ育ったのは、北海道の山の中。漫画を描くのが大好きだった少年時代、「これが職業になったらどんなに良いだろう」と思っていたという。
だが、大人になり縁あって足を踏み入れたのは、アニメの世界だった。
多くの作品に関わりアニメーターとして高い評価を得たのち、漫画家に転向した。
安彦さんが生み出す漫画は歴史ものが多い。
なぜその出来事が起こったのか、なぜ今があるのか。漫画というタイムマシンに乗り、その時代の人たちの目を通してその時代を見る。
「例えば、戦争はその時代の人が愚かだったから起こったわけではない。いつの世もそう変わらないのではないでしょうか。我々は、いつまた過ちを起こすかもしれないのです」。
ヒーローではなく、負け犬だったり人間くさいキャラクターに引かれるという安彦さんが描く登場人物たちは、内面まで丁寧に描き込まれ、安彦漫画の大きな魅力のひとつとなっている。
「お風呂が付いた部屋に住みたくて」家賃の安さに引かれ、所沢に転入したのが40年以上前。
数年後に一軒家を構えたことで、「生活者」の実感が湧いたという。
「趣味は仕事」という安彦さんだが、気分転換にプロ野球観戦や映画館に足を運ぶことも。
愛犬との散歩で訪れる近隣の林もお気に入りだ。
「所沢の魅力は、みどり。常緑の森よりも、冬になるとしっかり葉を落とす平地林の景色は、北海道で生まれ育った自分には安心感があります」。
町らしい町と田舎らしい田舎が隣り合う所沢には、東京ではない・東京にはない価値があると安彦さんは言う。
「講演会などの自己紹介で『所沢から来ました』と言うと、温かい笑いが起こるんです。良い意味で、人をほっとさせる場所なのかもしれませんね」。
今後の目標は?の質問に、「手がけている漫画もアニメも、きちんと完結させたい」。
その後は気楽に描き続けるかな、と付け足し控え目に笑う様子に、真っすぐで人見知りな漫画少年の面影が垣間見えた。
そんな安彦さんの作品は、所沢が80周年を迎える頃もその先も、多くの人に愛され続けるだろう。
(取材:加賀谷)

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