平成30年6月号 佐原 邦宏さん(環境技術開発会社社長)

更新日:2020年10月23日

プロフィール

佐原邦宏さん

三ケ島在勤。環境技術開発会社である株式会社TBM代表取締役社長を務める。
排水油脂から発電燃料を作る新エネルギーシステムを開発。
新エネルギーの地産地消を目指し、実証実験を重ねている。国内最大級の発電量を誇る発電車は、東京スカイツリーのライトアップ1日分の電力供給が可能。
福島県いわき市出身。

ごみをエネルギーへ 夢のシステムを開発

「ごみがエネルギーになったら」。
エネルギー問題が取り上げられる今の日本で、これほど魅力的な言葉はない 。そんな夢のようなエネルギーが実在することをご存知だろうか。
飲食店などの排水から取り出した油脂(排水油脂)を使う、フード・グリーン発電システムを世界で初めて開発した人がいる。三ケ島地区で環境技術開発会社を経営する佐原邦宏さんだ。

人が生活する上で、切っても切り離せない水と油。
飲食店や食品工場などの食品産業から排出される排水油脂は、全国で年間31万トンに上る。
「排水油脂は、そのまま垂れ流せば水が汚れ、環境汚染につながります。しかし、無くすこともできない。産業廃棄物として処理するしかなく、事業者を悩ませる問題でした」と語る佐原さんが排水油脂に着目し、会社を設立したのは1999年、40歳の時だ。しかし、最初から環境技術開発に携わっていたわけではなかった。

起業前は、製造業の効率化を進めるコンサルタントとして、さまざまな製造現場に足を運んだ。
「どうしたら顧客の抱える問題を解決できるのか。まずは、現場に行き、現物を見て、現象を観察する。そうすることで、初めて問題の本質がわかるんです」。
徹底した現場主義を学んだ佐原さんだからこそ、現場の問題を解決するための“モノ作り”の世界に自ら飛び込んで行ったのもうなずける。

「自分が関わってきた製造業の課題に取り組もうと、まず、飲食店の厨房に行き、スタッフに混ざって現場を体験しました」。
そこで初めて排水油脂を知ったという。厨房の一角にたまった、臭く重い油脂の塊。たった1m四方の容器をきれいにするまでに2時間かかった。

この体験があったからこそ、ごみでしかなかった排水油脂をエネルギーに変える画期的な技術が生まれたのだ。
「フード・グリーン発電システムは、排水油脂を発電燃料化する過程で、環境に悪い副産物は一切出ません。排水油脂に頭を抱えていた事業者からは『そんなにうまい話があるのか?!』と言われたほどです」と軽快に笑う。

驚くことに、佐原さんは現状を成功と思っていない。
「システムを作っただけでは意味がないんです。社会に広く取り入れられ、人の役に立って、初めて成功と言えます」。
水を守り、人の役に立つことが目的であり、あくまでシステム開発は手段。問題の本質を見極める佐原さんらしい言葉だ。
今後は、市内イベントで発電車を使った電力供給も考えているという。世界初の技術が所沢で見られる。そんな日も、そう遠くないはずだ。
(取材:佐々木)

WEB版限定 こぼれ話

市内で発電車が活躍!

平成30年2月に所沢まちづくりセンターで行われた「次世代自動車シンポジウム」では、EV車に電力を供給しました。この発電車、国内最大級の発電量を誇っているすごい車なんです。そのパワーは東京スカイツリーのライトアップを一夜まかなえるほど!非常時には、独立電源として一般家庭約200戸への電力供給が可能なんです。

フード・グリーン発電システムを支える裏方

夢のシステムを支える機械は、実はこの工場から生まれています。いろいろな部品を独自加工することで、他社では真似できない開発ができるのです。

佐原さんの意外な一面!

モノ作りの第一線を歩んでいる佐原さん。しかし、そんな佐原さんは「物に触れば壊れる!」と言われるほど、モノ作りとは縁遠い性格だったとか。そのため、昔の友人に現在の仕事を話すと、とても驚かれるそうです。

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