令和5年10月 横山 進さん 「武蔵野の落ち葉堆肥農法」実践農家

更新日:2023年9月25日

プロフィール

横山よこやま すすむ さん

(下富在住)

趣味はゴルフの練習。自宅に自作した
練習場でクラブを振りながら、ヤマを
どうするかなど無心に考えられることが
ありがたいと語る。
愛犬のスッキパーキー犬「くう」は、ヤマ
を見守る良き相棒。

江戸時代から続く人と自然の英知 「武蔵野の落ち葉堆肥たいひ農法」を後世へ

 話は1694年、江戸時代までさかのぼる。江戸の人口が爆発的に増え、食糧不足の打開策として、川越藩主柳沢吉保やなぎさわよしやすが開拓を推進した土地が、今の埼玉県武蔵野地域(川越市、所沢市、ふじみ野市、三芳町)。もともとこの地域は火山灰土で覆われ作物が育ちにくい「痩せた」土地でカヤ野原だった。そこで開拓時に農家はまず木を植えて平地林(ヤマ)を育てた。そしてヤマの落ち葉をかき集め、堆肥として畑に入れる「武蔵野の落ち葉堆肥農法」を行うことが可能となった。300年以上続くこの農法は、令和5年7月に世界農業遺産に登録された。先祖代々の農地を守り、この農法を続けている農家の1 人が横山進よこやますすむさんだ。

 
 「落ち葉堆肥農法」では、晩秋から冬にかけての約4カ月はヤマの管理が特に大切な時期となる。落ち葉を掃くために下草や枝を取り除くこと。さらに大変なのが、ヤマの伐採作業だ。老木はナラ枯れの被害につながりやすく、倒木の危険性もあるため、木を伐採し、若い林に再生する必要がある。

 
 「『世界農業遺産』は『文化遺産』などとはぜんぜん違って環境の変化に適応しながら進化し続ける「生きている遺産」なんだ」と横山さん。「この地域は木を植える『緑の開発』で始まった。いまはヤマがどんどん減ってきているけど、木は生活になくてはならないもの。時代に合った形で木を残し、増やすため、ヤマが減った分、畑に木を植えている。言わば『21世紀版緑の開発』を行って、先祖が残してくれた畑・ヤマ・落ち葉堆肥農法を次の世代へ引き継いでいきたい」と横山さんは、今春、畑にペカンナッツの苗木を植えた。

 
 「ペカンは菓子にも、非常食にもなる。実をつけるのはまだまだ先だけど、いずれ誰かの恵みになってほしい」と語る横山さんは、ヤマへの感謝を原動力に、ペカンの実を収穫できる日を夢見て今日もヤマも畑地も守り育てている。

  
(取材:坂本)

メモ

市HPで「武蔵野の落ち葉堆肥農法」の詳細がご覧いただけます。

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