令和7年7月号 見澤孝仁さん (所沢牛生産者)

更新日:2025年6月26日

プロフィール

見澤孝仁みさわたかひとさん

市内在住

自身の牛の管理をする以外は、他の牧場の牛を運ぶ仕事をしている。所沢市畜産協会の会長や自治会の役員も務め、活躍の範囲は多岐に渡る。
 牛に関わる時間が多い中で、データをエクセルでまとめるなどのパソコン作業が息抜きになっている。

所沢牛のおいしさの秘訣は飽くなき探求心

日本には松坂牛や神戸牛など、地名を冠したブランド牛が存在するが、我らが所沢市にも所沢牛があるのはご存じだろうか。
 こどもと対話するかのように、愛情に満ちた表情で牛に餌を与えているのは、現在市内で唯一の肉牛肥育農家であり、所沢牛生産者である見澤牧場の見澤孝仁さんだ。
 
 見澤牧場ではかつて酪農を営んでおり、約50年前に本格的に肉牛の肥育を開始。現在は年間約96頭の所沢牛を出荷している。見澤さんが育てる所沢牛は、乳牛と黒毛和種を掛け合わせた交雑種と言われる品種で、赤身と脂のバランスと脂の甘さが特徴であるという。
 見澤さんは中学生の頃から肥育に携わり、当時からどうすれば大きくて上質な肉を持つ牛に育てることができるかを考えていたという。
 「大きく、上質な肉の牛に育てるためには、少しでも多く餌を食べさせることが重要。そのためには、牛と接するときに出た『なぜ』をとことん突き詰めて研究し、餌の量や栄養バランスを調整することが大切」と語る姿はまさに探求者である。そして、膨大な量の研究が実り、埼玉県の品評会で知事賞を受賞。現在では牛肉の最高等級であるA5ランクの評価を受ける肉牛を年間で複数頭出荷することができるようになった。
 しかし、所沢牛が知事賞を受賞しA5ランクの評価を受けるまでには大きな壁が待ち受けていた。
 50年前に肉牛の肥育を開始した際は、以前酪農を営んでいたこともあり、乳牛を肥育していた。平成8年に更なる肉質の向上のために、現在の交雑牛の肥育を開始したという。「交雑牛に変えた当初は、肉の中に上手く脂が入らず苦労した。品評会などで良い評価を得ることができなかったのが悔しかった」と当時を振り返る。
 悔しい思いをたくさんしたというが、そこで折れずにひたむきに研究を続けることができるのが見澤さんの魅力である。当時の悔しさをバネにし、持ち前の探求心を活かし、さまざまな農家を訪問し餌のビタミン量の分析や、餌や育て方の研究を続けた。そしてついに、交雑牛を育て始めてから約5年の歳月を経て、初めてA5ランクの評価を受けたときは、思わず涙が出るほど嬉しかったという。
 「長い間、農産物や畜産物の市場価格は大きく変わっていないが、餌や燃料代などの費用は近年どんどん上がっている。決して楽ではないが、この先10年、15年と頑張って牛を育て続けたい」と語る目には並々ならぬ覚悟を感じる。
 「たくさん研究して、丁寧に育てた牛肉を皆さんに一度味わっていただき、所沢牛のおいしさを知って欲しい」と語る見澤さんの語気には熱がこもっていた。
(取材:深町)

餌を食べる所沢牛
餌を食べている所沢牛

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