令和8年9月号 小澤大悟さん(石和設備工業 代表取締役)

更新日:2026年8月26日

プロフィール

小澤おざわ大悟だいごさん(市内在勤)

街の水道屋が挑む大きな挑戦

 西新井町の街角に佇む、カフェのように洗練された空間がある。緑と清潔感にあふれるこの場所、実は「インフラスタンド」と呼ばれる公衆トイレだ。
「トイレが持つ、汚い・暗いなどのイメージを変えたかったんです。」と力強く語るのは、街で「トイレの人」と声をかけられることもある小澤大悟さんだ。
 今では、多方面で活躍する小澤さんだが、初めから経営状況が良かったわけではなかったという。親族から事業を引き継いだ当初、経営難により苦しい日々の連続だった。
事業の立て直しに心血を注ぐ中で、水道工事業界でも、自分たちが主体となって新しい価値を提案したいと考えたという。
与えられた設計どおりに工事することが評価される水道工事業界。このままでは自社の個性や、水道屋としての可能性を十分に発揮できないと感じていた。
「学生時代は、どの分野でもクラスで一番にはなれませんでした。その経験から、優秀な経営者や、歴史ある他の水道工事業者と正面から競うのではなく、独自の路線で他社が挑戦したことがない、新しい形の公衆トイレを作ろうという発想でインフラスタンドはできました」と語る。
 その結果、憩いの場となるベンチ、イベントスペースやデジタルサイネージがある、今までに無い公衆トイレが完成した。
そして、11月のTOKOROZAWA DESIGN WALKに合わせてトイレを空間の主役にしたイベント「KAWAYA市」を開催した。すると、新しいコンセプトの清潔なトイレがあることで滞在時間と会話が増え、多くの人が集まるコミュニティの拠点になった。
「コミュニティが広がり、異業種の人とのワクワクするような出会いが増えました。そして、『コミュニティはインフラだ』という言葉を大事にしています。上下水道と同じく人との繋がりも街にとって不可欠なインフラだと思っています」と優しく微笑む。人との繋がりを大切にする小澤さんが中心にいるからこそ、インフラスタンドで多くの人の輪が広がってっていくのだろう。

 小澤さんの次なる挑戦は、災害時のトイレ問題の解決だ。災害時、一般の方が清潔なトイレを設置・運営するのは非常に難しいという。
 この問題への解決策が、平常時でも使用でき、災害時にも無電源かつ上下水道が使えない状況でも使える循環型トイレの普及だという。
「循環型トイレを普及させるために、インフラスタンドを改修して実験場にする予定です。そこで得たデータをもとに社会実装可能なレベルまで循環型トイレの販売・運用モデルを作り上げたいです。そして、軌道に乗った段階で仲間にノウハウを共有して、この課題を解決したいです」と熱く語る。
 トイレのイメージを覆し、災害時のトイレ問題という大きな社会課題を解決するのは、街の水道屋かもしれない。  
 (取材:深町)

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